すると後半、AXEは島崎選手を残し、同じ新人の貝谷選手に加え、東京2020銅メダリストの羽賀ヘッドコーチ兼選手が満を持して登場! 助っ人として韓国リーグで腕を磨いた乗松選手との “ゴールデンコンビ” でRIZEの反撃を抑えますが、20-15とRIZEに5点差まで詰められて前半戦を終了しました。
夏に行われた予選・東京大会で公式戦デビューを果たした貝谷選手は、当時のインタビューで「やることがたくさんあって、頭が回らない。」と話してくれましたが、この試合では声を出して積極的にボールを受けに走ります。チェアワークの滑らかさも半年のトレーニングを経て増し、日本初の女性ハイポインターのプレースタイルが徐々に見えてきた様に感じました。
この大会がデビューとなった島崎選手も、吉村選手がロングパスをブロックしてターンオーバーかと思われたこぼれ球に素早く反応! これをしっかりとフォローしてトライするなど、ゲーム感覚の高さに目を見張ります。
お父さんの洸史さん曰く、「プレッシャーを受けると混乱する場面もありました。まだまだですよ。」との評価でしたが、ラグ車をメンテナンスをする手を止めて瑛漣選手のプレーを見つめる姿に、とても微笑ましい親子愛を感じます。
レディースラインで盛り上がる -第3Q
点差が詰まって緊迫した展開になってきた後半戦。ここでAXEは、東京2020銅メダリスト、アシスタントコーチに就任した倉橋選手が入ります。第2Qに続きコートに残る貝谷選手との “レディースライン” に会場が盛り上がります。
するとRIZEも、上原 優奈選手(2.0F)を投入し、更に会場は熱気に包まれました!
しかし、このターンを制したのはやはりハイポインターの峰島選手。峰島選手のポストプレーから貝谷選手にボールを繋いでトライを演出すれば、和知選手や吉村選手に猛烈に襲いかかってターンオーバーを奪います。激しいプレーの連続に、ここまで出場し続けている和知選手、吉村選手の体力の消耗も激しくなってきたRIZEは、小刻みな選手交代で選手の回復を図ります。
島崎選手、貝谷選手に青木選手が加わった若いAXE選手陣に刺激され、乗松選手、橋本選手も懸命にラグ車を漕いでフォローに入ります。若手とベテランの絶妙なハーモニーを見せたAXEが32-24と接戦を抜け出して第3Qを終了しました。
怒濤の反撃を振り切ったベテランの快走 -第4Q
8点差で迎えた最終Q、ここでAXEは日本代表ヘッドコーチの岸選手(Class0.5+)がこの試合初めてコートに入りました。トレードマークの黄色いグラブが、コートに入ると会場からは大きな拍手が起こります。愛弟子・青木選手とのコンビが久しぶりに見られたAXEでしたが、機先を制したのはRIZEでした。
和知選手、吉村選手、今井選手に荒木 太郎選手(Class0.5+)を加えたラインが、怒濤の反撃を見せてポイントゲッターの青木選手に襲いかかります。猛烈なプレッシャーに堪らずファールで一時退場となった青木選手を尻目に、数的有利に立ったRIZEが今井選手のターンオーバーなどで得点を重ねて遂に3点差まで迫ってきました!
ここでAXEを救ったのは、ニック選手でした! 第1Q以降体力を温存してきたニック選手は、水を得た魚のように縦横無尽にコートを駆け回ります。ディフェンスでは、得意の豪快なタックルでターンオーバーを奪うなど、絶好調で個人技を見せ付けるニック選手の連続トライでリードを更に広げます。
最後は、「合わせたんだ(笑)。」と試合後に笑ったニック選手は、試合終了のブザート共にトライラインを駆け抜ける “ブザービート” を披露。終わってみれば、44-36の快勝でAXEが今年度の5位を死守しました。
笑顔絶えないAXEのリオ・コンビ
試合後の会見に臨んだのは、岸選手と山口選手の新旧代表。リオパラ銅メダリストコンビでもある2人は開口一番、「この大会は、若手の経験を積み上げることを重視して臨みましたが、その目的は十分に達成されたと思います。」と晴れやかな笑顔で大会を振り返りました。
パリパラ・イヤーと言うことで、日本代表の質問をされた岸選手は「今日はクラブチームの会見なので・・・」と苦笑いをしつつも、「(貝谷選手や島崎選手のような)若い選手がどんどん出てきてくれるのは、日本代表にとっても良いことです。今後、チーム数ももっと増えて盛り上がって欲しい。」と、日本車いすラグビーのすそ野拡大を切に望んでいました。
代表の山口選手も、「若手に引っ張られて僕たちベテランのパフォーマンスも上がりました。まだまだ若い人たちには負けません。」と、パラリンピアンとしてのプライドも覗かせていました。
敗戦チームのコメントを取ることは許されず、RIZE CHIBAの今シーズンの総括を聞くことはできませんでした。しかし、主力選手たちを多数欠きながらも最後まで見せ場を作ったRIZEの全員ラグビーに来シーズンも期待したいところです。