ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルス Canonのファフ・デクラーク(Faf De Klerk)選手と田村優選手-Journal-ONE撮影
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取材・文:
Journal ONE(編集部)
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日中から激しく降りしきる雨の中、リーグ戦3位の東京サントリーサンゴリアス4位の横浜キヤノンイーグルスのリーグワンのプレーオフ3位決定戦。勝っても負けても今シーズンの最終戦となったFriday Nightの東京・秩父宮ラグビー場には、8,270人の観客が集まりました。

最終戦もファンと共に

試合開始2時間前、雨にもかかわらずサンゴリアス応援席には多くのファンの皆さんが詰めかけています。今シーズンの最終戦をファンと一緒に応援しようと、この日メンバー外となった選手たちが応援グッズを配布しています。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合前にファンと交流するSUNTORYの選手たち-Journal-ONE撮影

“ラグビーワールドカップ2019” で大活躍したチームの看板選手・松島 幸太朗選手も、応援ハリセンを配り、サインに応じている様子を見ると、サンゴリアスが如何にファンを大切にしているかが分かりますね。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合前にファンと交流する松島幸太朗選手(Suntory)-Journal-ONE撮影

やさしい笑顔でファンひとりひとりの目を見ながらサインをしているのは、トニー・アロフィポ(Tony Alofipo)選手です。オーストラリア出身のアロフィボ選手は、3月17日の花園近鉄ライナーズ戦で公式戦初出場を果たし、そのデビュー戦でトライを挙げた期待の新星!
今シーズンを振り返り、田中 澄憲監督が「若い力が本当に成長してくれた。」と話した選手のうちのひとりです。

「今シーズンも多くのファンに応援してもらい、本当に感謝しています。チームは優勝に届きませんでしたが、最終戦に勝てるようにファンと一緒に応援します。来シーズンは、もっと成長してチームの勝利に貢献したいです。」と話してくれました。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合前にファンと交流するSUNTORYのトニー・アロフィポ(Tony Alofipo)選手-Journal-ONE撮影

ファンと目線を合わせるため、197cmあるひときわ大きな身体をかがめて握手やサインに応じている選手は、トム・サベッジ(Tom Savage)選手です。イングランド出身のサベッジ選手はLO(ロック)として今シーズンのリーグ戦のほとんどで出場。サンゴリアスの強さである終盤怒濤の好守を支える貴重な戦力として活躍しました。

「今シーズンも素晴らしいチームメイト、ファンと戦うことが出来て良かった。優勝には届かず残念な結果とはなりましたが、来シーズンは絶対に優勝したい。」と、試合での激しいプレーでは想像も付かないやさしい表情で話してくれました。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合前にファンと交流するSUNTORYのトム・サベッジ(Tom Savage)選手-Journal-ONE撮影

熱気に押され、雨も小降りに-前半戦

初の4強入りを果たしたイーグルスが、チーム史上最高位となる3位を獲得するか?ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦-Journal-ONE撮影リーグワン元年のリーグ戦を制した常勝・サンゴリアスが意地を見せるか?
集まった多くのファンの熱気に押されて小降りになった雨の中、試合が始まりました!ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦-Journal-ONE撮影

試合開始早々、準決勝のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦でも見せてくれたアタッキングラグビーで試合の主導権を取ったのはサンゴリアスでした。
3分に、ハーフウェイライン付近でラインアウトを得たサンゴリアスは、右から左にボールを展開。中央から更に左サイドライン手前でFB(フルバック)雲山 弘貴選手に繋ぐと、最後はWTB(ウイング)尾崎 泰雅選手がスピアーズとの準決勝で幻のトライを再現するかのようなトップスピードで抜け出し、左隅にダイビングトライ!SO(スタンドオフ)アーロン・クルーデン選手のG(コンバージョン)は決まらなかったものの、0-5と先制に成功します。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Suntoryのアタック-Journal-ONE撮影

今度は15分にイーグルスが反撃!
ラインアウトからボールを持った南アフリカ代表SH(スクラムハーフ)ファフ・デクラーク選手がサンゴリアスディフェンスの隙を突いて抜け出し、NO8(ナンバーエイト)シオネ・ハラシリ選手へつなぐと、素早くサポートに入ったWTBの松井 千士選手が受けて左中間にトライ。SO田村 優選手のゴールも決まり7-5と逆転。3位決定戦も行き詰まる逆転の連続ショーが始まります。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonの松井千士選手のアタック-Journal-ONE撮影

続く20分、サンゴリアスがペナルティを得ると、クルーデン選手がPG(ペナルティゴール)を成功させて7-8と再び逆転に成功。更に27分にも敵陣ゴール目前まで迫ると、モールで押し込んでトライかと思われましたが、ライアンアウトでノックオンがありトライキャンセル。
それでも勢い止まらぬサンゴリアスは、ラインアウトからFL(フランカー)の小澤 直輝選手が飛び込んでトライ!クルーデン選手のGも決まって、7-15と点差を広げて前半を折り返しました。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦-Journal-ONE撮影

創造的なプレーでスタンドがどよめく-後半戦

後半、中央付近での陣取り合戦から抜け出したのは8点ビハインドのイーグルスでした。
6分、ラインアウトからSHデクラーク選手が、見事なフェイクを掛けてブラインドサイドを抜け出した後、裏へキック!そしてそのボールを自らキャッチするという離れ業を披露してトライ!12-15と3点差に迫り、イーグルスカラーである赤いレインコートに身を包んだファンたちから大きなどよめきと歓声が上がります。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonのファフ・デクラーク(Faf De Klerk)選手の鋭い突進-Journal-ONE撮影

ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonのファフ・デクラーク(Faf De Klerk)選手の鋭い突進-Journal-ONE撮影

直後のキックオフボールをキャッチしたデクラーク選手は、またも高いキックで陣地を戻すと、雨でスリッピーなボールを取り損ねたサンゴリアスディフェンス陣からボールを奪取!一気に22mラインまで攻め込みます。この攻撃はトライに結びつきませんでしたが、更にイーグルスは13分にノットロールアウェイの反則からゴール前でPGのチャンスを得ると、ラインアウトを選択して一気に逆転を狙います!このラインアウトのボールはサンゴリアスがキープして必死にディフェンスしましたが、度重なる創造的なプレーに試合の流れが変わってきます。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonのファフ・デクラーク(Faf De Klerk)選手のハイパント-Journal-ONE撮影

確実にサンゴリアスにダメージを与え続けたイーグルス。逆転のチャンスはその3分後にもやってきました。18分、サンゴリアスのノットロールアウェイからボールを奪うと、モールで一気に押し込んでNO8ハラシリ選手がインゴールで押さえてトライ!FBの小倉 順平選手のGも決まって、19-15と再び逆転に成功します。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonの再逆転トライ-Journal-ONE撮影

それでも負けられないサンゴリアスは21分、イーグルスがノットロールアウェイで手放したボールをラインアウトから繋いで一気にモールで押し込みます。最後は後半途中から入ったHO(フッカー)中村 駿太選手が持ち出してトライ!19-20と再逆転の激しい攻防に、こんどは黄色いレインコートが鮮やかなサンゴリアス応援席から大きな歓声が沸き起こります。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Suntoryの中村 駿太選手のトライ-Journal-ONE撮影

1点を争う攻防はまだ続きます。チーム史上初の3位に執念を見せるイーグルスは、26分にSOの田村選手が襲いかかるサンゴリアスディフェンスの裏へ柔らかいタッチでキックを出すと、そのボールに突っ込んできたのはFBの小倉選手!さらにフォローに入るWTBの松井 千士選手がパスを受けて左中間にトライ!小倉選手がGを決めて26-20と4度目の逆転劇となります。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonの松井千士選手の試合を決めるトライ-Journal-ONE撮影

最後の力を振り絞り、アタックをかけるサンゴリアスですが、イーグルスの必死のディフェンスに敵陣まで攻め込んでいくことが出来ません。38分、追加点かと思われたイーグルスのPGはポストに当たってインフィールドに。これをサンゴリアスが奪って最後のリターンを試みましたが、ボールを奪ったイーグルスのSHデクラーク選手が、メインスタンドで声援を送るイーグルスファンサイドに向かってタッチに蹴りノーサイド。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦-Journal-ONE撮影

ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合後に健闘を称え合うSUNTORYのトム・サベッジ(Tom Savage)選手-Journal-ONE撮影

イーグルスが公式戦でサンゴリアスに初勝利すると共に、チーム史上最高の3位と最高の結果でシーズンを終えることになりました。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦-Journal-ONE撮影

ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 勝って喜びを爆発させるCanonの選手たち-Journal-ONE撮影

思いが溢れ言葉に詰まる

イーグルスの沢木 敬介監督は、「自分たちのスタイルで1年間掛けて戦ってきたものを、この試合でも仲間やファンに見せようと1週間フォーカスして準備して来た。最後のサンゴリアスの反撃を凌ぎ切れたのは成長。」と、この試合に掛けてきた思いを話します。
「新しい景色が見えたことは良かった。サントリーへの苦手意識も、この勝ちで解消されていくだろう。今日の勝利はファフに限る。」と、来る9月からフランスで開催される “ラグビーワールドカップ2023” でも活躍が期待される南アフリカ代表SH・デクラーク選手の活躍を讃えます。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合を振り返るCanonの沢木監督-Journal-ONE撮影

チームメンバー全員について聞かれた沢木監督。一瞬言葉に詰まり、目を潤ませながら話します。「この試合のメンバー発表の際に、メンバーから外れた選手たちが泣いていた。チームがひとつになってきたことを感じた。試合に出られないメンバーも含め、チーム一丸となって、やってきたことを全て出し切ろうとやってきた。良い経験ができたので、まだまだ上を目指していきたい。また、引き続き見ていてワクワクするようなラグビーを目指す。」とチームの成長を振り返り、「日曜日のファン報告会で良い結果が報告できる。」と最後はホッとした表情で会見場を後にしました。

キャプテンとしてチームを支えたCTB梶村 祐介選手は、「イーグルスはリーダー経験者が多いので、上手く役割を分担しながら自分が得意とするゲーム内で引っ張っていくことが出来た。フィジカルとタックルの質は高かった。」と重責を果たした今シーズンを振り返ります。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 Canonの梶村祐介選手の鋭い突進-Journal-ONE撮影
「キャプテンをやらせてもらい、チームのことを考える時間が増え、プレッシャーを力に変えることを学んだ。先ずはトップ4に残りチームとしてひとつの壁を越えた。3位になれたことも、サンゴリアスに勝ったことも特別です。」と、ひとつひとつの経験を思い返すように話します。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合を振り返るCanonの梶村祐介主将-Journal-ONE撮影

「自分たちとしては、望んでいた結果(優勝)ではないですが、ステップアップしてイーグルスの新しい歴史を作りたい。選手自身がやれるという自信を掴んだシーズンだったと思うので、来シーズンはそれをより強固なものにしていきたい。」と、早くも次なる高みを目指していました。

最終戦の活躍を振り返って

数々のスーパープレーで会場から多くの拍手を集めたSHのデクラーク選手。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合後に笑顔を見せるCanonのファフ・デクラーク(Faf De Klerk)選手-Journal-ONE撮影
「自分としてとても良い試合が出来ました。チームとしてもサンゴリアスに初めて勝った素晴らしい試合でした。そして、トップ4に入ることができた素晴らしいシーズンでした。非常に結束力の高いチームが、勝利という結果を出した。試合後に選手たちが流した喜びの涙がそれを物語っているのだと思います。」と、笑顔でシーズンを振り返ります。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合後に笑顔を見せるCanonのファフ・デクラーク(Faf De Klerk)選手-Journal-ONE撮影

この試合で2トライを挙げ、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いた、WTBの松井選手も、「今日のPMOは、ファフ(・デクラーク)と思っていました。」と謙遜しながら。
「過去1度も勝ったことがないサンゴリアスと3位決定戦に臨むので、試合前から気合いが入っていました。何とか結果を出すことができ、良い形でシーズンを終えることができました。」と笑顔で試合を振り返ります。
沢木監督が、「能力の高い松井はセブンスでプレーをしたこともあって、なかなか15人で結果が残せなかった。今日は期待に応えてくれた。」と会見で話していたことを伝えると、「本当に結果を出せて、勝つことが出来て良かったです。」と、嬉しそうに話してくれました。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 PMOに輝く活躍を見せたCanonの松井千士選手-Journal-ONE撮影

来シーズンに期する思い

4位に終わったサンゴリアスの田中監督は、「準決勝から今日までの短い時間(中4日)でフィジカルのリカバリーと頭をクリアにしてモチベーションを高めて臨んだ。チームで最後しっかり勝ち切って終わろうと意思統一して準備してきた。今日は本当にキヤノンさんが強かった。」と今日の結果を振り返ると共に、「若い力が本当に成長してくれたし、チーム内の競争やハードワークする部分をしっかりと残せた。」と今シーズンを総括します。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合を振り返るSuntoryの田中監督-Journal-ONE撮影

共同キャプテンのHO(フッカー)堀越 康介選手も、「相手がどうこうと言う前に、まずは自分たちにベクトルを向けて、やることを明確にしてやってきて、いい準備ができました。しかし、後半は自分たちの規律が乱れパワーダウンしてしまった。キヤノンさんが我慢強くて、そこにやられた」と試合を振り返りました。ジャパンラグビー リーグワン プレーオフ 東京サントリーサンゴリアスvs横浜キヤノンイーグルスの3位決定戦 試合を振り返るSuntoryの堀越康介共同キャプテン-Journal-ONE撮影

「(この試合のメンバーについて)今シーズン成長著しい若手に自信があったので起用した。リーグワンのレベルは年々高くなっており、とてもタフな試合が増えてきている。他のチームでも活躍する若手がどんどん出てきているので、この悔しさを胸に来シーズンに活かしたい。」と進化を続けるリーグワンにおいて、栄冠を奪還するために必要なポイントを話す田中監督でした。

NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23プレーオフトーナメントも残すところ1試合!
連覇を狙う埼玉パナソニックワイルドナイツと、悲願の創部初優勝を目指すクボタスピアーズ船橋・東京ベイの一戦は、東京・国立競技場を舞台に素晴らしい戦いが期待されます。

“ラグビーワールドカップ2023” も開催されるラグビーイヤーとなる2023年は、2019年の “ONE TEAM” フィーバー以上に私たちを熱狂させてくれること間違いなしです。
日本で身近なスポーツになって来たラグビー。その感動と興奮を体感するために、来シーズンは是非お近くで行われるラグビーの試合を観戦してみてはいかがでしょうか。

アクセス
秩父宮ラグビー場
  • JR総武線・各駅停車 千駄ヶ谷駅/信濃町駅-徒歩15分
  • 東京メトロ銀座線 外苑前駅-徒歩5分
  • 都営大江戸線 青山一丁目駅-徒歩10分

 

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