ミナモの先発は、オリンピック・東京大会(東京2020)のオーストラリア代表、この夏も第17回 ワールドカップ予選ラウンドで、グループステージ突破に貢献したEllen ROBERTS(エレン・ロバーツ)投手。サンディーバの主軸に対し、低めを丁寧に攻めるエレン投手に対し、四球を選んでチャンスを作るもののあと一本が出ない投手戦が続きます。
しかし4回、二巡目となったところで強打のサンディーバ打線がその力を見せ付けます。ハンナ選手、山内 早織選手と一発長打が自慢のサンディーバ中軸がしっかりと四球で出塁すると、打席に入ったのは8番のルーキー・女鹿田 千紘選手。先輩投手陣を物怖じせずにリードする女鹿田選手は、度胸満点!初球の速球を振り抜いた打球は右中間を破る2点タイムリー二塁打を放ちます。強力打線に対して細心の注意を払い続けてきたエレン投手が見せたコントロールミスを見逃さない素晴らしい攻撃でサンディーバが試合の流れを支配していきます。
試合の転機となったエースの降板
すると5回裏、好投の坂本投手が降板。マウンドには前半戦の勝ち頭・東京2020メキシコ代表の左腕・Tailor MCQILIN(テイラー・マクイリン)投手が上がります。
「前の回、坂本投手がボディバランスを崩してしまいました。一旦ベンチで様子を見ようと、急遽テイラー投手をマウンドに送ったのです。」と、試合後に村山監督が教えてくれましたが、この緊急事態をミナモ打線が見逃しませんでした。
先頭の長井 美侑選手がヒットを放ち、1死2塁とピンチを迎えると、ミナモの門松監督は代打に高卒ルーキーの岩月 優衣選手を送ります。緊急登板で球筋が安定しないテイラー投手の速球を捉えた岩月選手の打球は、ライトのフェンス際まで高々と舞い上がります。追いかける堅守・山口 みどり選手が伸ばしたグラブの少し先!グラブをかすめたタイムリー3塁打で1点を返されます。
ここでたまらず、坂本投手をリエントリーでマウンドへ上げまずが、コンディションを戻すには時間が足りません。1死3塁から須藤 麻里子選手に犠牲フライを打たれで同点に追いつかれると、続く近本 和加子選手も出塁。あとアウトひとつのところまで必死のディフェンスを見せた坂本投手ですが。続く3番・内田 小百合選手にセンターオーバーの勝ち越しホームランを浴びてしまいました。
終盤に意地を見せるも・・・
強力・サンディーバ打線に立ちはだかるミナモの先発・エレン投手に対し、サンディーバもこの人たちが意地を見せます。
最終回2死まで追い詰められた場面で打席に入ったのは、負傷明けで1番に座る昨シーズンの本塁打王・坂本 結愛選手。負傷退場の原因となった死球を思い起こさせるようなインサイド中心の攻めで1-2と追い込まれますが、内外角と緩急で揺さぶるエレン投手の決め球をことごとくカットする高い技術を見せます。
すると、エレン投手が投じた渾身の内角速球を狙い打った打球は、打った瞬間にホームランと分かるレフトポール脇への大飛球で1点差に詰め寄ります!
「私は基本的にカウントに関係なく配球を読んで狙い撃ちするのですが、(追い込まれていたので)かなり広めにストライクゾーンを定めてその狙った球をしっかりと捉えることができました。」と、試合後の話してくれた坂本選手。見せてくれた縫い合わされた右手の傷跡の中には、まだプレートが埋め込まれていているとのこと・・・
「万全かと言われると・・・」と言葉に詰まりながらも、「復帰戦で一本が出て良かった。次はしっかりとチームが勝てるような打撃を見せたい。」と前を向いて話してくれました。
続く日本代表の唐牛 彩名選手も際どい球を見切って3-2からレフト前にヒット。2死1塁と同点のチャンスを作ったサンディーバでしたが、反撃もここまで。開幕戦は地元・ミナモの勝利となりました。
仕切り直しで打線が爆発!
一晩明け、村山監督は、「昨日は打者が上手くボールをコンタクトできず、悔しい敗戦となりました。ナイターでの実戦練習をもう少ししておけば良かったなと。」と昨晩の試合を振り返りつつも、「夏に取り組んだ通り、打線の強化には手ごたえを感じました。全員が良く振れているし粘れている。坂本選手にも復帰第1号が出るなど良い兆しもあるので、気を取り直して今日明日は勝ちたい。坂本選手の高い技術力があってのホームランでしたね。」と坂本選手の復帰に一安心といったところ。
「今日の太陽誘電さんとの試合は打ち合いになることがしばしば。チャンスを確実に得点に結び付け、打ち勝つソフトボールを見せたいですね。長谷川投手には出来るだけ頑張ってもらいたい。」と話した村山監督の予想どおりの展開となりました。
サンディーバは2回、山内選手の四球と高瀬 沙羅選手のレフト前ヒットで2死2、3塁とチャンスを作ると、昨年の盗塁王・杉浦 穂華選手がセンター前にタイムリーヒットを放って試合の主導権を握ります。