「特に、見ている方も『あのチームってVERDYになったんだ』って思ってくれていると思うので、『新規参入だけどやっぱり強いね』って言ってもらえるようになりたいですね。女子はチーム数も試合数も男子に比べると少ないので、私たちがもっと女子を盛り上げたいです」。
“3×3″という競技自体の認知度は着実に向上しているものの、競技の普及や発展という点はまだ十分ではなく、それがプレミアのチーム・選手の入れ替わりの多さにつながっていることも否めない。
“3×3″の普及にはまず自分が楽しくプレーする
「部活動に所属してない子でも出られるような大会とか、そういう機会がもっとあればいいんですけどね」と語る吉武も、競技の第一人者の1人として、まずは自身がプレーを楽しんでいる姿を見せることが重要だと考えているという。
「それでチームのことを知ってもらえたらとか、『あの子面白いな』って”3×3″を見るきっかけになったらと思って、私は常に全力でやります。一番大事なのは、自分が楽しんでプレーすることだと思います。せっかくこうやって時間を割いて、仕事じゃないことをやってるので、楽しくやらないともったいないじゃないですか。
高校生や大学生の子に教える時によく言うんですけど、怒られるのが怖くて委縮しちゃうのはもったいない。みんな好きなことをやりたくて部活をやってると思うので、やっぱり楽しむことが一番」。
「楽しくプレーしていれば、10分間の短い中でもいつか自分たちの流れになるんですよ。そういう時に『ナイスプレー!』って声をかけられるのがまた力になる。楽しくやることは絶対に忘れないようにと思ってます」。
吉武は選手入場やフォトセッション、表彰などあらゆる場面でポージングを披露し、観客の笑いを誘うエンターテイナーの一面も持つ。スポーツは楽しむためにあるということを、改めて教えてくれる貴重な存在だ。
競技発展に強い想いを持つ髙橋 芙由子
競技の第一線でプレーしている選手は、そのキャリアを重ねれば重ねるほど、競技の発展に対する想いを強く持つ。開幕ラウンドを制した”FLOWLISH GUNMA.EXE“の主力である髙橋 芙由子もその1人だ。
プレミアでのプレーはまだ2年目だが、髙橋はチームの拠点がある群馬県前橋市から”スポーツ推進地域おこし協力隊”の任務を委嘱され、スポーツによる地域活性化に取り組んでいる。
言うまでもなく、その軸にあるのは”3×3″。Bリーグのような完全プロリーグと異なるプレミアは、選手のほとんどが仕事や学業との2足のわらじを履く状況。”3×3″選手が子どもたちの憧れや目標となるように、環境を整えていきたいと髙橋は考えている。
「”3×3″でプロ、というところまでいかないと、私たちもプレーしている意味がないと思います。今は、私たちがその土台を作らないといけない。ちょっとずつでもプロの環境に近づけていくのが私たちの仕事で、そのためにはレベルを引き上げていかないといけない。最終的には”3×3″で稼げるように、リーグも巻き込んでいきたいです」。
“3×3″は残念ながら男女ともにパリオリンピックの出場権を逃してしまったが、冒頭に書いた通り、日本のバスケット界は右肩上がりの成長を続け、メジャースポーツへの道を突き進んでいるところだ。
5人制に負けじと、選手たちが力を合わせて競技の普及と発展を目指している”3×3″も、その波に乗ることができるか。プレミアを含めた”3×3″界の今後の動きに注目していきたい。
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