安定した投手力健在も“戦国・東地区”で思わぬ苦戦 – 東地区5位(8勝10敗)
JDリーグ創設以降、2シーズン連続でプレーオフセカンドステージに進出したデンソーブライトペガサス。安定した投手力と、どこからでも得点を奪う打撃力は強豪ひしめく東地区においても屈指のチーム力だ。
2024シーズンは、悲願のダイヤモンドシリーズ進出を達成すべく、強打の外国人選手・Mia Davidson(ミア・デービットソン)捕手、太陽誘電ソルフィーユから日本代表にも選ばれている中溝 優生選手を獲得。万全の布陣で地元・愛知県安城市での開幕戦に臨んだ。
プレーオフ進出を争う上位チームとの3連戦、いきなりの“天王山”となった安城ラウンドには、多くのファンが駆け付け、オープニングゲームのナイターは大盛況となった。
対するは、2年連続で東地区を制した王者・ビックカメラ高崎ビークイーン。悲願のダイヤモンドシリーズ進出に向けて越えなければならない壁に挑むべく、開幕投手に選ばれたのは、昨シーズン東地区の新人王に輝いた坪野 三咲投手だった。
初回、内野の2失策と思わぬ展開でノーヒットながらも先制点を許す。しかし坪野投手は、流れに乗った強打・ビックカメラ高崎ビークイーン打線に毎回のように安打を浴びながらも、要所を締める粘りの投球で7回を1失点で完投。期待に応えたが、打線が得点を奪えず開幕戦を落してしまう。
続く第2戦は、絶対的エースの “推しのソ” Carley Hoover(カーリー・フーバー)投手が登板。大型補強で上位進出を狙う、ライバルの戸田中央メディックス埼玉を相手に5回まで2-2と接戦を演じるも、6回2死から勝ち越された。
そして第3戦、昨シーズンにダイヤモンドシリーズへ進出したホンダリベルタとの「絶対に負けられない一戦」では、初勝利の期待を背負い開幕戦に続き坪野投手がマウンドに上がる。東京オリンピック・アメリカ代表のAlly Carda(アリー・カーダ)投手との投げ合いは、6回まで無失点同士の譲らぬ投手戦。しかし、7回にまたもや2つの失策で得点を許したデンソーブライトペガサスは、ライバル相手に開幕ラウンドで勝利を挙げることができず。
結果、デンソーブライトペガサスは、波に乗り切れない悔しい前半戦となった。
試合の流れを引き寄せる力のある投手陣
フーバー投手のパワーピッチングは、防御率2.16と例年通りの安定した戦いをチームにもたらしている。闘志溢れる投球スタイルはもちろん、登板日以外でもベンチで明るく選手たちを鼓舞する献身ぶりは、デンソーブライトペガサス3シーズン連続のプレーオフ進出に向けて欠かせない存在だ。
加えて、二本柱に成長した坪野投手も、前半戦で昨シーズンを上回るイニング数を投げ、防御率1.74と申し分ない結果を見せている。
特に前半戦最終戦となった上越ラウンドでのSGホールディングスギャラクシースターズ戦では、世界中の強打者が集う“超銀河系打線”を相手に堂々の投球を披露。僅か1失点に抑える完投勝ちを見せて、次世代のデンソーブライトペガサスを担うエースとしての片鱗をうかがわせた。
両投手共、四死球をきっかけに失点を許す勿体ない展開が何度かあった。味方の援護を信じ、得意球で早めに追い込むパターンが増えれば、上位チームに連勝できる力のあるチームだけに、“戦国・東地区”は後半戦、最後の最後まで目が離せない。
爆発に必要な各打者の“もう一つの役割”
ポイントゲッターとして期待されたデービットソン選手は、3本塁打でチーム最多タイの7打点と結果を見せた前半戦だが、注目する数字は四死球13。大型補強として期待された中溝選手も四死球で勝負を避けられる展開が続き、塁上を埋める役割に徹することが多かった。