女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス シャイニングベガは6回、森山春奈選手が満塁の走者を一掃する値千金の逆転タイムリー三塁打を放つ-Journal-ONE撮影
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取材・文:
Journal ONE(編集部)
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フロンターレのサポーターも注目する激闘!

世界最高峰の国内トップリーグ “JD”リーグ” は、負けたら終わりのノックアウトラウンド第3戦へ。2日目となった11月12日(日)の神奈川県川崎市の等々力野球場は、前の試合で “ダイヤモンドシリーズ” 進出を延長タイブレークで決めた “ホンダリベルタ” に続き、西地区2位・愛知県を本拠地とする “豊田自動織機シャイニングベガ” と、東地区4位・ワイルドカードで昨日のプレーオフ1stラウンドを逆転ホームランで勝ち抜けた、愛知県を本拠地とする “デンソー ブライトペガサス” の一戦となりました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ 1stラウンド デンソーブライトペガサスの今村あこ選手は勝ち越しとなる3ランホームランを中堅に放つ-Journal-ONE撮影

朝から小雨が降り続き、前の試合の気温は9℃。午後に入って雨は止んだものの、11℃と気温も上がらない初冬のような寒さです。前の試合が激しい点の取り合いとなり2時間半を越える戦いとなったことを受けて40分ほど遅れて始まったこの試合は、天候はもちろん選手たちの時間調整でも体調が心配されるところですが、選手たちもファンもお構いなし。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇に盛り上がるシャイニングベガの選手たち-Journal-ONE撮影

奇しくもこの日、お隣の等々力陸上競技場で開催された、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)の川崎フロンターレと京都サンガF.C.の試合を観に来たサポーターたちも、外野のフェンス越しから熱い声援を送っています‼

昨日の勢いそのままに –序盤

「良い勝ち方ができてチームに勢いが出ている。それを次の試合に持ち込んで有利に試合を進めたいです。」と小島 あみ選手が前日の勝利インタビューで話していたとおり、先にチャンスをものにしたのはブライトペガサスでした。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ 2ndラウンド デンソーブライトペガサスは小島編み選手が初回に四球を選んで先制点のチャンスを作る-Journal-ONE撮影

シャイニングベガの先発、東京2020のメキシコ代表としてオリンピック初出場のメキシコを4位に導いたダラス・エスコベド(Dallas ESCOBEDO)投手の立ち上がりを攻めるブライトペガサスは、先頭の住友 ゆづき選手、2番の小島選手が四球を選んで1死二、三塁のチャンスを作ります。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス シャイニングベガの先発、東京2020のメキシコ代表としてオリンピック初出場のメキシコを4位に導いたダラス・エスコベド(Dallas ESCOBEDO)投手-Journal-ONE撮影

ここで打席に入った、4番・剱持 祐衣選手が、制球が定まらないダラス投手の甘く入った高めの直球を捉えてライト前へ運ぶ先制のタイムリーヒットを放ちます! 昨日、逆転勝ちした勢いそのままに、幸先良く先制点をあげました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 初回デンソーの4番・剱持 祐衣選手がダラス投手からライト前へ運ぶ先制のタイムリーヒットを放つ-Journal-ONE撮影

時折吹く強い風と低い気温に思わず身震いする中、ブライトペガサスのマウンドに上がったのは、今日も “半袖” で元気いっぱいのカーリー・フーバー(Carley HOOVER)投手です。昨日の1失点完投勝利から20時間後に同じマウンドに立ったフーバー投手も、連投の疲れも見せずシャイニングベガの上位打線、須藤 志歩選手、大平 あい選手、佐藤 友香選手を三者三振に切って取る最高の立ち上がりを見せます。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 昨シーズンの西地区最多勝でベストナインにも輝いた “絶対的エース” のカーリー・フーバー(Carley HOOVER)投手が昨日の1失点完投勝利に続いて先発登板-Journal-ONE撮影

勢い付くブライトペガサスの攻撃陣は、2回に川畑 瞳選手、3回にも住友選手が先頭打者ヒットで出塁し、シャイニングベガのディフェンス陣にプレッシャーをかけ続けます。しかし、そこはリーグ2位、伝統の高い守備力を誇るシャイニングベガの内野陣が落ち着いてプレー。竹中 真海選手、須藤選手の華麗なダブルプレーや、池上 桃花捕手の盗塁刺殺でダラス投手を助けて無得点に抑えます。

今シーズン唯一の対戦(6月4日の交流戦)では、シャイニングベガがアレクシス・ヘンドリー(Alexis HANDLEY)投手の立ち上がりを攻めて先制。ブライトペガサスが追うような試合展開となりましたが、この試合は逆にブライトペガサスが先制してシャイニングベガが追う真逆の展開となりました。

試合巧者の反撃 -中盤

3回1死までフーバー投手にパーフェクトに抑えられていたシャイニングベガ打線でしたが、8番の竹中選手が三塁線を襲う内野安打で出塁すると、9番の池上選手も内野安打で続きます。須藤選手の左飛で2死ながら二、三塁と一打逆転のチャンスを作り、2番の大平選手が打席に向かいます。

この場面、パワー系投手のフーバー投手をリードする小島捕手が選択した攻めは何と、“チェンジアップの連投” でした。意表を突かれた大平選手から3つの空振りを奪ったフーバー投手が、絶体絶命のピンチを切り抜けました。

4回にも、先頭の佐藤 友香選手がセンター前にヒットを放って同点のランナーを出し、Taylor ELLSWORTH(テイラー・エルズウォース)選手の四球で1死一、二塁のチャンスを作りますが、今度はブライトペガサスの二遊間、今村 あこ選手、川畑選手の華麗なダブルプレーのお返しでフーバー投手を助けます。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス ショート今村あこ選手(デンソー)などの好守備でフーバー投手を助ける内野陣-Journal-ONE撮影

初回以降、ランナーを出すものの追加点が遠いブライトペガサス。「初回に先制したのは大きかったですが、中盤に追加点が取れないと勝てないと思っていました。」と中森 菜摘監督が振り返った勝負所と見た5回、先頭の黒田 菜那選手に代打・舟橋 京花選手を送ります。

「綺麗なヒットではなく、打席で自分のスイングをすればヒットは打てる。」と耳打ちされた舟橋選手は、外角の速球を出し入れするシャイニングベガバッテリーの配球を落ち着いて見極めて四球を選び期待に応えます。更に、ここまで2打席とも出塁し1番打者としての役割をしっかりと果たしていた住友選手が、今度は意表を突くセーフティバントを見せ1死二、三塁! ベンチワークで追加点のチャンスを作り出します。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 追加点の取りたいデンソーの中森菜摘監督は代打舟橋京花選手の出塁から追加点を狙う円陣を組む-Journal-ONE撮影

しかし、ダラス投手は力強い速球を主体に、ブライトペガサスの上位打線をポップフライに切って取り無得点。ここに来ていつもの投球が戻ってきたダラス投手をベンチもハイタッチで迎えて盛り上がります。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス シャイニングベガの先発、東京2020のメキシコ代表としてオリンピック初出場のメキシコを4位に導いたダラス・エスコベド(Dallas ESCOBEDO)投手が1失点完投の力投-Journal-ONE撮影

粘り強さが信条の打線が爆発 –終盤

すると6回、1番・須藤選手から始まる好打順に逆転の望みをかけるシャイニングベガは、1死から大平選手が粘って四球を選ぶと、続く佐藤選手が三遊間深くに内野安打! ついに同点のチャンスを作り出しました。「ダラスのために何とかしたいと、チームが結束していた。」と話した4番・田井 亜加音選手が、フーバー選手の決め球である内角高めの速球を鋭くレフト前へ弾き返します。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇を呼び込む4番・田井 亜加音選手が、フーバー選手の決め球である内角高めの速球を鋭くレフト前へ弾き返す-Journal-ONE撮影

前進していたレフトの釼持選手がボールに追いつく中、三塁で止めるかと思った永吉監督の手がぐるぐる回ると、大平選手は迷わずホームへ突入! 釼持選手からの好返球に回り込みますが惜しくもタッチアウト! ブライトペガサスの守備陣がフーバー投手を助けました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回のシャイニングベガ4番・田井 亜加音選手がレフト前へヒットを放つもブライトペガサスのレフト・釼持選手の好返球で本塁生還を阻止-Journal-ONE撮影

しかし、2死ながらも二、三塁とシャイニングベガ同点のチャンスは続きます。「今年のプロ野球(NPB)日本シリーズでも勝負を決めたのはフォアボールでした。フーバー投手の得意球であるインコース速球のボール球をしっかりと見極め、ヒットに値するフォアボールを選ぶことも大事だと円陣で話しました。」と永吉監督が話していたとおり、続く力強い打撃が持ち味のテイラー選手がこの試合2つ目の四球を選び、2死満塁とチャンスを広げました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス シャイニングベガのTaylor ELLSWORTH(テイラー・エルズウォース)選手は2つの四球を選んで勝利に貢献-Journal-ONE撮影

「目立った選手がいない今シーズンは、その日調子の良い選手が日替わりで活躍してくれました。今日の試合で言えば、結果は出ていないものの森山選手の状態はとても良かったので期待していました。ですから、何とか森山選手に回して欲しいと思っていたところ、テイラー選手が四球を選んでくれて “良し” と思いました。」と、3塁コーチャーズボックスで見守っていた永吉監督。

指揮官の期待を背負い打席に向かう森山 春奈選手は、「前の打席、チャンスを活かせませんでした。みんなが繋いで作ってくれた再びのチャンスでしたので、次に繋ごうと思い打席に入りました。」と、落ち着いた面持ちには確かな自信がありました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス シャイニングベガは6回、森山春奈選手が満塁の走者を一掃する値千金の逆転タイムリー三塁打を放つ-Journal-ONE撮影

「ストライクだけを待ってしっかり振ろうと思っていました。フィーバー投手を想定して練習してきた成果を出すことができました。」と、準備に余念の無かった森山選手が初球のストライクから積極的にスイングしていきます。カウント2-1となった4球目、外角高めの速球を振り抜いた打球は左中間を深々と破る走者一掃の逆転タイムリー三塁打!女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス シャイニングベガは6回、森山春奈選手が満塁の走者を一掃する値千金の逆転タイムリー三塁打を放ち塁上でガッツポーズ-Journal-ONE撮影

シャイニングベガ応援席は狂喜乱舞。ベンチの選手たちも大きな歓声で森山選手の値千金打を賞賛すると、三塁ベース上で何度も両手を突き上げて森山選手も喜びを爆発させます。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇に盛り上がるシャイニングベガの選手たち-Journal-ONE撮影

しかし、永吉監督はまだまだ攻撃の手を緩めません。続く打席に代打の切り札・樺山 奈々選手を送ると、スタジアムが騒然とする中で樺山選手が冷静に四球を選んでガッツポーズ! 代走の渡辺 翆選手が二盗し、2死二、三塁と更に突き放しにかかる場面で打席には前の回に素晴らしいダイビングキャッチで追加点のピンチを作った、8番の竹中選手が打席に入ります。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇を呼び込むダイビングキャッチを見せたシャイニングベガのショート 竹中真海選手のビッグプレー-Journal-ONE撮影

「竹中選手のダイビングキャッチが大きかったです。リーグ戦でもあの難しい打球を好捕していたので、きっと捕ってくれるとレフトから見ていました。」と、殊勲打を放った森山選手が振り返ったとおり、得意の守備でチームを盛り上げてこの回の逆転劇を呼び込んだ竹中選手が、今度はバットでも見せてくれました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇にダメ押しとなる2点タイムリースリーベースを放つシャイニングベガの竹中真海選手-Journal-ONE撮影

「私は試合を決める一打を打つような選手ではないので、とにかく塁に出て繋ぐことが役目です。森山選手が打ってくれていたので勢いに乗って、精神的にとても楽な状態で打席に入ることができました(笑)。」と、冷静に3-2まで粘った竹中選手が真ん中の速球をジャストミート! ドライブのかかったライナーはレフト線を破るトドメの2点タイムリースリーベースとなり、最終回を前に粘り強い打線がついにフーバー投手を捉えて逆転に成功しました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇にダメ押しとなる2点タイムリースリーベースを放つシャイニングベガの竹中真海選手-Journal-ONE撮影

4点ビハインドで迎えた最終回。ベンチの声援を受け、反撃に転じたいブライトペガサスでしたが、立ち直ったダラス投手の前に3者凡退。プレーオフ1stステージで健闘を見せ、JDリーグを盛り上げてくれたブライトペガサスがここで力尽きました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇で勝利したシャイニングベガの選手たち-Journal-ONE撮影

我慢の一戦を振り返って -豊田自動織機

「“スミイチ”(初回の得点以降、無得点が続く緊迫した試合展開)の展開では、点を取った方が追い込まれる気持ちになるので、選手たちには大丈夫と毎回言い続けて終わった試合でした(笑)。良く選手が繋げて点を取ってくれました。」と、ホッとした表情で話し始めた永吉監督。

今シーズンは接戦で我慢強くチャンスを作り、それをことごとく得点に繋げてきた勝負強さが光ります。6月のインタビューでは、「チームが強くあり続けるためには、育てながら勝つことが大事。」と教えてくれた永吉監督でしたが、この強いチームを創り上げた要因を尋ねると、「やはり、夏合宿のキツい練習にあったと思います。私が監督に就任してから守備をしっかり鍛えて、ミスで負けないソフトボールを目指してきました。夏はもうこれ以上捕れないというところまで守備練習はやりましたし、打撃も手のマメが何度も潰れるほどやってきました。あれだけキツい練習をしてきたのですから、“ここで負けるようなチームではないよ” と選手たちに改めて話し、それに選手たちが応えてくれましたね。」と、逆転した場面と重ね合わせて答えてくれました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 6回の大逆転劇で勝利しインタビューに応えるシャイニングベガの永吉慎一監督-Journal-ONE撮影

かつての教え子である中森監督、金江コーチが率いるチームとの対戦については、「やはりやり難いですよね(笑)。」と笑顔を見せながら、「中森監督、金江コーチは本当に素晴らしい打撃のチームを創っています。実際に対戦すると、本当に良いチームを創ったなぁと感心します。もちろん、気持ちの上ではまだまだ負けられませんけどね。」と、感慨深げな表情で素晴らしいライバルチームを賞賛します。

リーグ戦ではお互いに切り札を隠し、来たるダイヤモンドシリーズを想定してリーグ戦を戦ってきたシャイニングベガとレッドテリアーズ。いよいよ迫った大一番について話しを向けると。「こちらはダラス投手で行くしかないですし、トヨタさんも後藤投手で来るでしょう。ここまで来たらガチンコ勝負、気持ちが強い方が勝つ展開だと思います。面白い試合ができるよう頑張ります。」と、ダイヤモンドシリーズに向けた抱負を語ってくれました。

「目指しているところが日本一なので、先ずは勝ててホッとしています。全員総力で勝ちとれました。」と、満足した表情で試合を振り返り始めたのは、キャプテンの田井 亜加音選手です。

「デンソーさんは勝ち進んできた勢いも加わって、本当に強いチームでした。試合前にそういった要素も想定してゲームに入りましたので、臆すことなく白熱した試合ができました。」と、受身にならずに試合に入れたことを勝因のひとつと話す田井選手。

先行されて無得点が続く焦りの出そうな試合展開でしたが、「フーバー投手からは、なかなかヒットが打てないだろうと試合前から監督を中心に共有はしていました。中盤からは徐々にミートできていたので、先に点数を取られても焦りはありませんでした。」と、チームが精神的に成長したと教えてくれました。

「夏キャンプの苦しい練習が自信となり、プレーオフ、ダイヤモンドシリーズに繋がると監督に言われ続けていました。私たちはそれを信じ、限界を超えてやりきりましたが、それが結果的にこの試合に活きたと思います。次のトヨタさんにも全力で挑んで、培った貯金を全部使い果たして戦い切ります。」と、ダイヤモンドシリーズへの抱負を話してくれました。

噛みしめるように振り返る -デンソー

「悔しいです。」と静かに微笑みながら2度繰り返した中森監督が、噛みしめるように好試合を振り返ります。

「初回に先制点を取ったことは大きかったですが、追加点が取れない厳しい展開でした。シャイニングベガさんは、ダラス投手を中心にした素晴らしい守備のチーム。竹中選手のような素晴らしいプレー(追加点を阻んだダイビングキャッチ)が攻撃のリズムを掴んで(逆転の)3点に繋がったのかなと。」と、恩師・永吉監督の負けないチームを賞賛します。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 2試合続けて接戦を演じたブライトペガサスの中森菜摘監督が試合を振り返るインタビューに応じる-Journal-ONE撮影

「カーリーで行くと決めていたこの試合。あれだけ競っている試合だったので、(逆転を許した6回に)交代させる気はありませんでした。」と、絶対的なエースを攻略したシャイニングベガ打線が上回っていたと話す中森監督は、「多くのベテラン選手が抜けたことで経験が少ない選手が多いシーズンでした。カーリー投手が左肩を痛めるハプニングもありましたが、毎日を全力でプレーする、全力で過ごすことで成長してきたので、ベストを尽くして出せた結果だと思っています。その中でプレーオフに出て1つ勝てて成長できた。私も監督1年目でしたので、本当に成長させてもらいました。」と、シーズンを振り返りました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 昨シーズンの西地区最多勝でベストナインにも輝いた “絶対的エース” のカーリー・フーバー(Carley HOOVER)投手が昨日の1失点完投勝利に続いて先発登板-Journal-ONE撮影

「選手たちには、”自分がどういう選手になりたいか” “自分がどういうプレーをしたいか” を考え、私やコーチたちとコミュニケーションを取りながら、選手の強みを活かせるようサポートしてきた1年でした。」と、デンソーらしいソフトボールを創り上げてきた中森監督は、試合後の円陣で泣いていた選手たちと更なる成長を誓い合ったと話してくれました。女子ソフト JDリーグ| プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機シャイニングベガvsデンソーブライトペガサス 初回デンソーの4番・剱持 祐衣選手がダラス投手からライト前へ運ぶ先制のタイムリーヒットを放つ-Journal-ONE撮影

「今年、私たちは優勝できませんでしたが、まだまだダイヤモンドシリーズは続きます。観ていてWOWなプレーがたくさんあるソフトボール。これからもソフトボール界を盛り上げていきたいです。」と、デンソーファンはもちろん、ソフトボール全体の発展を思慮深く考えてコメントする中森監督のクールビューティーな姿に、トップアスリートの人間性を改めて学ばせてもらいました。

ダイヤモンドシリーズへ進出するベスト4が出揃い、いよいよ女子ソフトボール世界屈指のトップリーグ・JDリーグはファイナルステージへ進みます!

舞台は埼玉県朝霞市にある朝霞中央公園野球場。11月18日(土)のセミファイナルでは、この日の初戦を延長タイブレークで勝ち抜いたホンダリベルタが、東地区2年連続優勝、昨年のダイヤモンドシリーズ初代女王の “ビックカメラ高崎ビークイーン” と。続く2試合目はこのレポートで紹介した “豊田自動織機シャイニングベガ” が、西地区2年連続優勝の “トヨタレッドテリアーズ” と対戦! ここで勝ち残った最後の2チームが、翌11月19日(日)にJDリーグ2シーズン目の女王の座を手に入れることになります。

今年の3月に日本中を盛り上げた、WBC(2023 WORLD BASEBALL CLASSIC)、10月に59年ぶりの関西対決、38年ぶりの阪神タイガース優勝で盛り上がったNPB(日本プロ野球)のファイナルに負けずとも劣らない戦いが予想されるこの週末。

女性アスリートが笑顔いっぱいに全力プレーで臨む、JDリーグ2023のクライマックスを観に、スタジアムへ脚を運んではいかがでしょうか?

プレーオフ1stラウンド SGH vs デンソーのレポートも是非!
プレーオフ2ndラウンド 日立 vs ホンダのレポートも是非!!

アクセス
等々力球場
  • JR品川駅 -東海道本線(8分) -川崎駅 -南武線(16分) -武蔵中原駅 -徒歩11分

 

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