夏で成長した真価を発揮せよ!
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第9節。オリンピック・パリ大会やワールドカップなどの国際大会が開催される夏場の約3ヶ月間、日本代表選手たちが活躍する “世界屈指のソフトボールリーグ” であるJDリーグは長い夏休みに入る。
今夏にはイタリアで大きな国際大会 ”XVII Women’s Softball World Cup 2024 Finals(第17回 女子ワールドカップ ファイナル)” が行われ、女子ソフトボール日本代表は宿敵・アメリカ代表を下し見事に金メダルを獲得。
2028年開催のオリンピック・ロサンゼルス大会で、正式種目への復活が決まった野球・ソフトボール。3大会連続の金メダルを目指す日本女子ソフトボール界は、早くも今年の3月に25人の選手を第1次国内強化合宿に招集。LA2028へ向けた始動した年のワールドカップで優勝したことは大きな一歩となる。
ここまでの日本代表活動で日の丸を背負った選手たちが、自身の心技体を磨き上げることはもちろん、送り出した各チームへその経験をどう還元するのか?チームが劇的な変化を遂げるサマーブレイクを経て進化したチームが、どういった戦いを見せてくれるかにも注目が集まる。
どちらも注目選手揃いの攻撃・守備のチーム
2024シーズン5勝13敗で東地区6位の大垣ミナモ が東西交流戦で対戦したのは、同じく5勝13敗で西地区5位の伊予銀行ヴェールズ。今後のプレーオフ進出に向けて、一つでも多く勝ち星をつけたい両チームにとって、この試合は”負けられない一戦”だ。
大垣ミナモの “推しのソ” 中山 日菜子投手は第1次国内強化合宿参加したチームのエース、伊予銀行ヴェールズには2023シーズンに西地区新人賞を投手・野手部門で取った “推しのソ” 遠藤 杏樺投手、齋藤 明日加選手。そして2年連続で盗塁王を獲得している松瀬 清夏選手が所属している。
実はこの夏、リーグ中断期に大垣ミナモの監督が交代するという衝撃のニュースが入った。新しく就任したのは、それまでコーチとしてチームを支えていた須藤 麻里子監督。ちょうど一年前は、キャプテンとして後半戦開幕勝利に貢献していた。
昨日、監督として初めて迎えたJDリーグ公式戦。相手はタカギ北九州ウォーターウェーブだったが、スコア 0 – 3 の2安打完封負けと悔しい結果に終わった。しかし、昨日の敗戦を感じさせないような元気な声がグラウンド中に響きわたる大垣ミナモに、”ミナモらしい元気なプレー” は早々に戻ってくるなという予感を持って試合に入っていく。
今回、浦安ラウンドが行われた千葉県浦安市 浦安運動公園の隣には東京ディズニーシーがあり、まさに夢の舞台。グラウンドからアトラクションが見えるこの場所での試合は選手達のモチベーションもより一層上がる。
負けられない一戦、ここに始まる
試合は序盤から動く。2回表、大垣ミナモの5番・岩月 優衣選手が1死からセンター前ヒットで出塁すると、続く6番・内田 小百合選手がセカンドにランナーが交差し捕球しづらい絶妙な打球を放ち、守備がもたついた間に両者ともセーフに。
7番・近本 和加子選手が抜群の選球眼で四球を選び、下位打線でも点を取れることが強みの大垣ミナモに最初の得点のチャンスが訪れた。ここで回ってきた8番・西野 希美選手がこのチャンスをしっかり掴み、センターへの犠牲フライで一点を先制。
反撃する伊予銀行ヴェールズは3回裏に1番・瀧川 愛海選手が低めを上手くすくい上げ、センター横を破るタイムリー2ベースヒットを放ち同点に追いつく。さらに、1死満塁と大量得点のチャンスを作り、打席に向かうはご当地・千葉県が生んだスラッガー・本間 紀帆選手。
地元から応援に駆け付けた多くのファンの声援を受け、本間選手が放ったレフトへの飛球はフェンス越えとはいかないものの、犠牲フライには充分な距離。この回2点目を取った伊予銀行ヴェールズが逆転に成功し、このまま試合をものにするかと思われた。