昨シーズンは27勝33敗という成績だったが、B1昇格初年度のクラブとしては歴代2位。ワールドカップ日本代表で、そのパフォーマンスでも人気を集める川真田紘也を獲得した今シーズンは、前述のプロジェクトにも含まれていた”ハピネスアリーナ”が開業するということもあり、より注目を集めるに違いない。
優勝候補の地区移動で激戦必至の中地区
そして、かつては東地区、近年は西地区が激戦区と言われていた中、今シーズン最も激しい争いが展開されそうなのが中地区だ。昨シーズン東地区2位の”アルバルク東京”(A東京)と、西地区優勝の”名古屋ダイヤモンドドルフィンズ”(名古屋D)が地区移動し、8クラブ中7クラブまでがチャンピオンシップ(CS)進出経験を持つ。
A東京はメンバー構成がほぼ変わらず、リトアニア出身のデイニアス・アドマイティスHCが3シーズン目を迎えることで、戦略の浸透度は他の追随を許さないレベル。Bリーグで唯一連覇を経験しているクラブだが、ここ5シーズンは優勝に手が届いておらず、今シーズンはアドマイティス体制の集大成として優勝への想いは特に強い。
対照的に名古屋Dは5人の新戦力を迎えた。中でも、一昨シーズンの琉球のリーグ制覇に大きく貢献した今村佳太の加入は、昨シーズン初めてCSセミファイナルに進んだ名古屋Dが、さらにもう一つ階段を上るための最善の補強と言える。日本代表経験者も多く、チームの地力は確かだ。
もちろん、昨シーズン中地区を制した”三遠ネオフェニックス”も地区優勝候補の一つ。千葉Jを強豪に押し上げた大野篤史HCは、三遠でもその指導力を発揮。NBAで6シーズンプレーしたデイビッド・ヌワバや日本代表の吉井裕鷹、将来の日本代表と目される湧川颯斗らを獲得し、今シーズンも上位進出が期待される。
そして、A東京を連覇に導いたルカ・パヴィチェヴィッチHC率いる”サンロッカーズ渋谷”も面白い。日本代表でも大黒柱となっているジョシュ・ホーキンソンの存在感が大きい上、元日本代表の田中大貴やベンドラメ礼生など選手層も厚く、中地区優勝争いには確実に絡んでくるだろう。
B1初昇格は埼玉県の越谷アルファーズ
その他では、B1昇格初年度を迎える”越谷アルファーズ”が興味深い。レギュラーシーズンでは”アルティーリ千葉”(A千葉)に21ゲームもの大差をつけられながら、プレーオフではそのA千葉を連破してB1昇格。シーズンを通しての成長と勝負どころでの集中力が光り、B2昇格から5シーズンを経て最高峰の舞台にたどり着いた。ブラジル代表経験者のティム・ソアレスやフィリピン代表のカイ・ソットなど、昨シーズンB1で活躍した選手を補強し、戦力的にはB1でも十分に戦える
何より、3シーズン前に宇都宮を頂点に導いた安齋竜三HCの存在が、他クラブにとっては不気味だろう。国内最大級のショッピングモールを抱える埼玉県越谷市も、全国的な知名度はまだ高くない。バスケットを通して”越谷”の名前を広め、地域を活性化していくクラブとしての施策も含めて躍進に期待したいところだ。
大型補強でB1返り咲きを狙う信州ブレイブウォリアーズ
B1に負けじと、B2やB3のクラブも飛躍を誓っている。14クラブがしのぎを削るB2では、長崎と同様に最速昇格を狙う”福井ブローウィンズ”、過去にB1を経験した”ライジングゼファー福岡”などが昇格を争うとみられる中、無念のB2降格となり、出直しを図る”信州ブレイブウォリアーズ”はB1復帰への並々ならぬ決意で大型補強を敢行。
日本代表の渡邉飛勇やB2のMVP経験者のテレンス・ウッドベリーの獲得も目を見張るものだが、直近の2シーズン連続でB1得点王に輝いたペリン・ビュフォードの獲得はファンを大いに驚かせた。圧倒的な存在感でB2を席巻することは間違いない。
日本初のプロ・新潟アルビレックスBBの逆襲
17クラブで争われるB3の注目クラブは、日本初のプロバスケットボールクラブでもある新潟アルビレックスBB。2018-19シーズンには中地区優勝も果たしながら、その後は低迷し、Bリーグ初の2シーズン連続降格で今シーズンはB3に舞台を移すこととなった。