延長タイブレークも両者譲らず
8回のタイブレークは無死二塁からの攻撃となる。上野投手、7回からリリーフした日本代表のキャプテン・坂本 実桜投手が力投を見せて両者無得点。
9回のタイブレークは1死二、三塁と投手にとってはさらに厳しい展開から始まる日立の攻撃は、4番・山内 早織選手、5番・ムリポラ選手を迎える好打順。日立応援団が必死の応援を続けるも、上野投手の前にヒットを打つことができずに無得点。これで日立の勝ちが消滅した。
同じ1死二、三塁のシチュエーションで一点取ればサヨナラという場面、ビックカメラ高崎も打順良く2番・原田選手から始まる。ファールで粘る原田選手に根負けしない坂本投手は、強気のピッチングで原田選手を三振に切って取ると、続く日本代表の4番を務めたチャンスにめっぽう強い内藤 実穂選手を打席に迎える。
サヨナラか?引き分けか? スタンドのボルテージが最高潮に達する中、内藤選手が放った打球はショート正面のゴロ。これを守備職人の杉浦 穂華選手がしっかりとさばいて一塁刺殺。
行き詰まる9イニングスの攻防も両者譲らず。引き分けに終わった首位攻防戦の結着は、11月からは行われるプレーオフに持ち越しとなった。
熱戦を振り返り決意新たに
「勝ちに等しい引き分けだったと選手に伝えました」と、試合を総評したのは村山監督だ。
試合前の入りについては、「試合前、キャプテンの坂本投手から、『会場が地元と近いのでホームゲームだと思って戦おう』と話しがあった」と話した村山監督は、自らも「1位と2位の戦いというよりも、目の前の試合に勝つこと、やるべきことをやろうと話した」と泰然自若で臨んだ決戦前の様子を振り返った。
「明日は相手に合わせることなく、今日のゲームは一旦リセットして、日立らしく楽しくソフトボールができたらと思います。初回から襲いかかって行こうかなと思います」と、いつも通りの優しい笑顔でスタジアムを後にした。
「先発で投げたのが3年ぶりだったので、今までになく良い緊張感を持ってマウンドに上がれた」と振り返ったのは、MWPに選ばれた上野投手だ。「ベテランが引っ張っていかないといけないチームなので、みんなが取ってくれた点を守れなかったのは悔しかった」と、7回の失点場面を悔やんだ。
ダイヤモンドシリーズ優勝に向け、いい形でプレーオフに行きたいと話した上野投手は、「これからのソフトボール界を全チーム揃って盛り上げていきたい。是非、球場に足を運んで欲しい」と来るクライマックスに向け、益々盛り上がるJDリーグをPRしていた。