続く2回表、NECプラットフォームズは本村 夏穂選手が四球で出塁するも、勝股投手が後続をしっかりと抑えて流れを掴む。すると、その裏、ビックカメラ高崎は先頭の “推しのソ” 炭谷 遙香選手のレフト前、遠藤 愛実選手のセンター前ヒットなどで1死二、三塁と再び先制のチャンスを作る。

ここで打席に入った井出 久美選手に出されたサインはスクイズエンドラン。大塲ｰ清原のバッテリーはこのサインを読んだか、難しい球で井出選手を空振りの三振に仕留め、飛び出した三塁走者もタッチアウト。光るバッテリーワークでダブルプレーを獲り、NECプラットフォームズは絶体絶命のピンチを切り抜けた。

スクイズエンドランを阻止したNECプラットフォームズｰJournalｰONE撮影

滑るボールを丁寧に扱い力投

試合開始後には止むだろうと予報されていた雨が降り続く中、両投手とも滑るボールの扱いに苦労しながら力投を続ける。

NECプラットフォームズは、竹内選手が2打席連続で安打を放つなど、初回以降走者を出して勝股投手にプレッシャーを与えるが、スポーツ大会で調子を上げてきた勝股投手は、ライズボールを決め球にホームを踏ませない見事な投球を見せて、地元ファンから大きな拍手を浴びる。

NEC打線相手に力投する勝股美咲（ビックカメラ高崎）ｰJournalｰONE撮影

ビックカメラ高崎も、強打のクリンアップ 工藤・内藤・炭谷選手がセンターを中心に大きな打球を放ちスタジアムを沸かせるが、広い守備範囲を誇るNECプラットフォームズの外野陣がことごとく好捕して大塲投手を援護する。

バックの堅い守りにも助けられ、大塲投手はチェンジアップを有効に使った緩急ある配球で、強打ビックカメラ高崎打線に得点を許さず、試合は終盤へと突入していった。

ビック打線を打ち取り笑顔でベンチに帰る大塲亜莉菜（NEC）ｰJournalｰONE撮影

試合を決めるベテラン陣の強さ

ビックカメラ高崎の強さは、なんと言っても百戦錬磨のワールドクラス・ベテラン陣が発揮する勝負強さだ。前節、日立との首位攻防戦では、世界のエース・上野 由岐子投手が3年ぶりの先発マウンドを9回延長タイブレークまで完投し、引き分けに持ち込んだ。

6回裏、そのビックカメラ高崎が誇るワールドクラスのベテラン陣が、好投する大塲投手の一瞬の隙を見逃さなかった。

1死から打席に入った、1番・藤田選手が甘く入った高めの球に反応すると、黄色いボールが真っ黒い空に向かって高々と飛んでいく。レフトが一歩も動けない程の豪快な先制ソロ本塁打を放ち、遂に均衡を破った。

6回裏 先制本塁打を放った藤田倭（ビック）ｰJournalｰONE撮影

この一発で気落ちすることなく2死無走者と「あと一人」までこぎ着けた大塲投手だったが、雨で滑ったボールが工藤選手の身体を直撃し2死から走者を出してしまう。

ここで打席に入ったのは、東京2020日本代表の4番も務めた内藤選手。試合の流れを逃さないクラッチヒッターの内藤選手は、藤田選手に勝るとも劣らない豪快な2点本塁打を左翼に放ち貴重な追加点を挙げた。

本塁打を放った内藤を迎えるビックカメラ高崎ナインｰJournalｰONE撮影

地元の声援が完封勝利を呼ぶ

土壇場で3点をもらったビックカメラ高崎の勝股投手は、7回表のNECプラットフォームズの代打攻勢にも動じず三者凡退で完封勝利。

「地元の声援が力になった。何度も”頑張れ”という温かい声が聞こえた」と、雨の中最後まで熱い声援を送ってくれた高崎のファンに笑顔で手を振る勝股投手。

完封勝利した勝股美咲（ビック）はMWPインタビューで笑顔ｰJournalｰONE撮影

高卒ゴールデンルーキー・井出捕手のリードについても、「私のことを分かってくれている」とそのリードを絶賛。上野投手、藤田選手、内藤選手といったベテランの力に加え、勝股ｰ井出の若いバッテリーの活躍はビックカメラ高崎ビークイーン逆転Vへ欠かせないピースとなるだろう。