ときには、まだまだセガサミールクスを知らない方が多いイベントに出演する機会もあるそうだが、MAAAOは「その場の皆さんが、温かくて楽しかった」と話す。その暖かい理由を、KANAUは品川区ならではのものと感じている。

品川でのイベントにもやりがいを感じているMAAAO-Journal-ONE撮影
「品川区はファミリーが多いと感じています。ダンスを見て子どもたちが楽しんでいると、それにつられたお父さんお母さんもノリが良くて(笑)。僕たちのことを当日知ったばかりでも、元気のいい声援を送ってくれるんです。アットホームな感じはありますね」
文化振興や部活動の地域移行に、ダンスが貢献
一方で、セガサミールクスの地域活動は単にダンスやチームの魅力を発信するだけではなく、行政の文化振興や課題解決にひと役買っていることも見逃せない。
文化振興の観点で見れば、チームは昨年「品川区民芸術祭2024 ドリームステージ」にて区民の皆さんとコラボレーションした。このイベントは区が“プロと区民の共演”をテーマに、毎年秋に開催しているイベントで、セガサミールクスは区民とのコラボダンス企画を実施。2カ月の練習期間でスペシャルショーケースを制作し、最後に発表会としてきゅりあん(品川区立総合区民会館)大ホールでその成果を披露したのだ。

取材時のパフォーマンス練習はMAAAOが大技に挑戦したーJournal-ONE撮影
MAAAOにとって、これが一番印象的な地域活動になったという。練習から発表会までの様子について、彼女の受け持ったクラスは「すごい制作がスムーズ」だったそうで「緊張せずにみんなが素を出して、わたしに接してくれました」と思い出す。参加者との円滑なやり取りをするために工夫したことを聞くと、MAAAOは「気軽に話してもらえるように雰囲気作りを含めて頑張りました!適度に距離を縮められるように心がけました。そこの塩梅が難しかったですけどね(笑)」と明かしてくれた。
また、行政の課題解決の観点で見れば、セガサミールクスが役立っている取り組みが2つある。一つは、体験型のふるさと納税返礼品を提供していることだ。昨秋にはふるさと納税の普及に伴い減収が続く品川区の財源確保に寄与する取り組みで、「ふるさと納税返礼品ダンスレッスン」を開催。加えて、今年4月6日(日)に開催した「品川区ふるさと納税 2025 SEGA SAMMY LUX ファンミーティング」の参加権も、返礼品になっている。

練習中はダンサー同士の会話が響き渡る‐Journal-ONE撮影
もう一つの貢献としては、品川区における部活動の地域移行に関して実証実験を支援している。同区の教育委員会は令和5年度から令和7年度までの部活動地域移行推進期間として、部活動の地域移行等を推進している中、様々な運動機会の創出を図る目的で、ホッケー、ラグビー、ダンスを地域部活動として実証事業の対象にしている。
セガサミールクスは令和5年度に続き、令和6年度もダンスを担当し、昨年5月から7月末にかけて区内の小学校5年生から中学校3年生を対象に、全10回のレッスンを実施。60名を超える品川区の小中学生を指導したという。
講師として参加したMAAAOは、参加者のダンス経験に差があったため「どうやって教えようか悩んだ」そうだが、子どもたちに寄り添ったダンスを教えることに努めて、充実感も感じている。
「私は子どもたちを一人ひとりよく見て、どうやるか考えました。経験の差があるのに同じ時間で一緒のレッスンをやるのではなく、ダンスが上手くできない子にもちゃんと踊ってもらって、楽しさを感じてほしかったんです。ダンスのレベルを分けながら子どもたちをレッスンしていたので大変ではありましたが、みんなの成長を感じられて、教える面で自分の成長も感じられて楽しかったです」

和やかな雰囲気でイベントについての話が進んでいく‐Journal-ONE撮影
品川区からDリーガーが生まれる未来を
そんな地道な活動を通じて、いまKANAUとMAAAOに芽生える想いは、次世代により一層ダンスの魅力を伝えることだという。D.LEAGUEが成長し、TikTokをはじめとした、SNSでダンスに触れる機会の増加、テレビ番組でダンスを目にする機会も多くなっており、昨夏はパリ五輪でブレイキンが正式種目になった。ダンスを取り巻く環境は、いま明るい。
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