「サンレーヴスにいた時は、Bリーグは一見華やかに見えて、大変なこともすごく多いという現実を体験させていただいた期間でした。やりたいことや実現したいことがあっても、いろいろサポートをいただかないとできないというもどかしい気持ちを抱えて過ごしていたんですが、川崎は『新しいアイディアを実現する』というところが会社としてもモチベーションが高かったですね」
「U15女子チームを作ることもそうですし、新しいことをやるということに対してクラブ全体がすごく前向きなところが、今につながってると思います。そういうクラブに呼んでいただけた僕は本当に運が良い、ありがたいと思っています」

円陣で指示を出す岩﨑HC∸吉川哲彦撮影
全国の強豪と戦い、交流する機会を創出
大会開催の最大の目的は、U15女子チームの試合機会創出。目標に設定できるものがあることで、チームにも選手個々にも良いモチベーションが生まれる。まだ3回目の開催ながら、他クラブの意欲の高さも相まって既に良い効果が表れていることを、岩﨑HCも実感しているようだ。
「秋田さんは距離的にも遠いですし、ジュニアウインターカップで勝ち進むようなチームなので、我々のような県予選で負けるチームはこういう機会がなければ試合をする機会は絶対にないと思うんですよ。でも、同じBリーグのクラブということがきっかけで、秋田さんと対戦できることをモチベーションにできる。秋田さんは監督さんも協力的で、今回も『男子に負けない大会にしましょうね』と言ってくださったんです」
「そうやって、皆さんで大会を作ってくれてるんです。選手たちも、去年戦った相手とどれくらい差を縮めることができたのか、自分たちが成長できたのかどうかを感じることができる。地域だけで終わらずにいろんな選手と関わるきっかけもできますし、私もいろんなチームを見て戦術や教え方、スタイルの違いに刺激を受けることができて、コーチ冥利に尽きるところもありますね」
何よりも良い成果となっているのは、カテゴリー全体のレベルアップだ。日本バスケットボール協会主催で毎年1月に開催されるジュニアウインターカップは、中学バスケット部や地域のクラブチームに加えて、BリーグU15チームも都道府県代表として顔を出すようになってきている。それは男子ばかりではなく、女子にもその現象が起きているところだ。
大会をきっかけに増える育成世代の女子チーム
「ジュニアウインターカップに秋田さんと山形さん、推薦枠で我々と横浜ビー・コルセアーズさんの4クラブが出て、今までで一番多く全国大会に顔を出すことができました。レバンガ北海道さんや富山グラウジーズさんがチームを作ってくれたり、アルバルク東京さんも作ろうかと言ってくださっていて、いろんなところに影響が出て規模が大きくなっているのを実感してます」
「そういう話が耳に入ってくると、そこに連絡するんですが、「そちらの大会に出ることはもう決めてます」と言っていただけたりもするので、本当にありがたいですね。自分のチームも頑張らないといけないんですが、この大会自体がカテゴリーを成長させてるなと感じるので、今後もぜひ不二家さんに継続してサポートしていただきたいです(笑)」

大会を企画した岩﨑HC∸吉川哲彦撮影
過去2回は神奈川・箱根で開催されてきたこの大会も、今回は川崎駅から徒歩10分ほどの所にある”カルッツかわさき”での開催となった。かつての川崎は東芝ブレイブサンダースとして、企業色の特に強いクラブだったが、Bリーグ移行後はプロクラブとして地域に根ざした活動に注力。
川崎駅徒歩5分の場所にある商業施設・ラチッタデッラの中に”KAWASAKI BRAVE THUNDERS COURT”というバスケットコートを開設したほか、昨秋には川崎駅構内に”KAWASAKI VISION”という大型ビジョンも設置。現在では、クラブのバナーやポスター等を市内のいたる所で目にするようになった。
岩﨑HCが「カルッツで開催できたのも、今回から川崎市にご協力いただいてるおかげなので、どんどん輪が広がっていくんじゃないかと思います」と言うように、クラブと行政の連携が進んでいることもこの大会に良い影響を及ぼしている。
前年度の大会に出場した選手の中からは、その後に世代別日本代表の強化合宿に招集された選手も誕生。今大会からも、MIPに選ばれた君島凛(茨城)が直後にU16日本代表の強化合宿に招集されている。

MIPに選ばれた君島凛(茨城)∸吉川哲彦撮影

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