“群雄割拠の戦国時代”といった状況が続いているこの種目では、日本選手権も毎年優勝者が変わっている。坂井の連覇は、2012年以来の快挙だった。2位・3位は、坂井と0.01秒差の10秒14。同タイムながら着差ありで東田旺洋(10秒134)が2位、栁田大輝(10秒139)が3位となった。100分の1秒のなかに3選手が挑戦を競い、しかも、3枠目の五輪代表の座を巡っては、わずか0.005秒の差が明暗を分ける可能性が高まる結果となった。
高校生が躍動した男女800m
落合晃はU20日本新、久保凜はU18日本新
パリ五輪の代表選考には届かなかったが、鮮烈な印象を残したのが男女800mだ。ともに春先から好記録を連発していた高校生の落合晃と、久保凜がシニア勢を抑えて優勝を果たしたのだ。
男子800mを制した落合は、予選で1分45秒82をマークして、5月に樹立したU20日本記録を更新。自身が占めていた今季U20世界リスト4位の記録も引き上げた。決勝でも、「パリ五輪を目指して、参加標準記録(1分44秒70)を狙う」と、序盤から果敢なレースを展開。さすがに実現には及ばなかったものの、先頭は譲らず1分46秒56で初優勝を果たしている。
女子800mに挑んだ久保凜は高校2年生で、2008年1月生まれの16歳。予選からオリンピアンの田中希実や卜部蘭と対戦したが、一歩もひけをとることなく、2分03秒60で組1着、全体でもトップタイムをマークして翌日の決勝に駒を進めた。
決勝では、2周目でいったんトップに立ったが、バックストレートで田中に首位を奪われる展開となる。しかし、ラストで田中をかわして先頭を奪い返すと、並みいる歴代優勝者らを突き放し、自身の持つU18日本記録を0秒37更新。今季U18世界3位に浮上する2分03秒13の好タイムで、初めての優勝に花を添えた。
今年は、U20世界選手権の開催年で、8月末にペルーのリマで開催されることになっている。落合も久保も代表に選出されれば、メダル争いに絡む活躍が期待できそうだ。
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