東京2020のその先へ!
2021年の東京オリンピックで銀メダルを獲得したバスケットボール女子日本代表は、今夏のパリ大会ではバスケットファン以外からも大きな期待が寄せられる。
当時日本を率いたトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)が男子代表に転じ、恩塚 亨AC(アシスタントコーチ)が指揮官の座を引き継いで迎える今回、女子代表は金メダルを明確に視界に捉える。
東京五輪を知る選手たちを9名選出
オリンピック内定選手は、前回の代表チームから12人中9人が再び選ばれた。指揮官は代わったものの、あうんの呼吸によるスムーズな連係が期待でき、その点では継続性の高い顔ぶれと言うことができるだろう。
その経験値を特に買われたのが、東京大会は直前まで故障を抱えていながら、本番で見事な活躍を見せた宮澤 夕貴と本橋 菜子。中でも宮澤は、東京大会の後は代表候補にも招集されてこなかったにもかかわらず、今回は直前になって代表候補に名を連ね、最後の12人の枠に入った。自身3度目となるオリンピックは、これまでの経験を存分に生かしてくれるに違いない。
キャプテンに選ばれた林 咲希は、東京大会の準々決勝ベルギー戦で、残り15秒に起死回生の逆転3ポイントを決めたことで知られる名シューター。赤穂 ひまわりも、林と同様に東京大会では不動のスターターとして、長身を生かしたリバウンドとディフェンス、要所での得点とフル回転した。
宮崎 早織は、東京大会では出場機会がさほど多くなかったが、その後”Wリーグ”でトップクラスの司令塔となり、オリンピックを控えた強化試合の多くでスターターを務めている。ディフェンダーとしての評価が高い東藤なな子も、チーム最年少だった東京大会から着実に成長し、オフェンス面でも頼れる選手となった。
日本代表を牽引する髙田 真希、町田 瑠唯、馬瓜 エブリン
そして、髙田 真希と町田 瑠唯、馬瓜 エブリンの3人は特筆すべき存在だ。髙田は東京大会でキャプテンの大役を務め上げた、女子代表の精神的支柱。Wリーグでのキャリアは既に16年に及んでいるが、昨シーズンは2年連続3度目のリーグMVPにも選出されるなど、一向に衰える気配を見せない。
町田は東京大会で1試合18アシストというオリンピック新記録を叩き出し、大会ベスト5も受賞。宮澤、髙田とともに今回が3度目のオリンピックとなる。東京大会以降、髙田とともにテレビ出演で一気に名前の知れ渡った馬瓜 エブリンは、“人生の夏休み”と称して一昨シーズンを全休したが、復帰した昨シーズンは新天地のデンソーアイリスに皇后杯初優勝をもたらしている。日本バスケット界全体を代表する存在と言っても差し支えないこの3人は、パリでも抜群の存在感を発揮するはずだ。
レジェンド・吉田 亜沙美、東京五輪”3×3″出場経験の馬瓜 ステファニー、山本 麻衣
残る3人は東京大会から入れ替わる形となったが、その3人のうち、37歳の吉田亜沙美は2016年のリオデジャネイロ大会でフロアリーダーとなり、大会アシスト王にも輝いた実績の持ち主。
昨年の現役復帰前には、恩塚HCの下でインカレ5連覇を果たした東京医療保健大学のACを務めた経験もある。かつて在籍したENEOSサンフラワーズでWリーグ11連覇の立役者にもなったスーパースターの存在は、ベンチに控えているだけでも心強い。“恩塚イズム”を浸透させる意味でも、重要なカギを握ることになるだろう。
馬瓜ステファニー(エブリンの妹)と山本麻衣も、3人制バスケット”3×3″の日本代表として前回の東京大会に出場し、金メダルのアメリカに唯一土をつけたことでにわかに脚光を浴びた。2人はWリーグでも、トヨタ自動車アンテロープスの連覇に貢献した過去を持つ。5人制で臨む2度目のオリンピックは、打倒アメリカを目指す日本の中心的存在となることが期待される。