「育てながら勝つ」勝負の後半戦へ好位置をキープ –西地区4位(10勝8敗)
JDリーグ元年の2022シーズン、西地区代表としてダイヤモンドシリーズ決勝へ進出。翌2023シーズンもダイヤモンドシリーズ準決勝へ進出。初代女王・ビックカメラ高崎ビークイーン、昨年の覇者・トヨタレッドテリアーズに続き、JDリーグチャンピオンに最も近い結果を残しているチームが豊田自動織機シャイニングベガだ。
投打の柱、“推しのソ” のDallas Escobedo(ダラス・エスコベド)投手と、同じく ”推しのソ” の田井 亜加音主将を中心に、試合ごとに戦術、戦略を理解して一丸となって戦う選手たち。相手チーム、相手投手、試合展開に併せて緻密なソフトボールを魅せてくる豊田自動織機シャイニングベガのプレーは、目の肥えたソフトボールファンや指導者たちをも唸らせる。
勝利を義務づけられているチームであるがゆえ、将来にわたってチーム力を維持、強化していくためには次世代の選手育成も必要。豊田自動織機シャイニングベガの前半戦は、永吉 慎一監督が多くの若手を起用し、順位争いが熾烈となる後半戦に布石を打ち続けた。
実践を通してチームの底上げを行う中、ここ一番でチームを勝利に導いたのは、昨シーズン途中からダラス投手とのバッテリーで出場機会を勝ち取った池上 桃花選手。ほぼすべての試合でマスクを被り、若手投手陣をリードすることはもちろん、打率.378、打点11とバットで何度もチームの窮地を救い、機会を与えられている選手たちの目標となる活躍を見せた。
同じ下位打線では、昨シーズンもダイヤモンドシリーズで光るバッティングを見せてくれた竹中 真海選手も活躍。西地区2位の打率.385、盗塁13と池上選手の打点を呼ぶ打撃はもちろん、58打席で三振0という抜群のミート力で相手投手にプレシャーをかけ続けた。
「日本のソフトボールに適応しようと、学ぶことを怠らない意識の高い選手」と永吉監督が称賛する新加入のMakena Smith(マケナ・スミス)選手も、打率.378、5本塁打、19打点と西地区三冠王を狙う勢いを見せた。
永吉監督が目を細めるのは、その打撃力だけではなく、チームの勝利に献身する出塁率の高さだ(西地区トップの.541)。コントロール良くボールゾーンを巧みに使って勝負してくる日本人投手に対し、闇雲にバットを振るだけでなく16四球を選んで打線の繋ぎ役もできるプレースタイルは、緻密なソフトボール・豊田自動織機シャイニングベガの戦いを支えた。
ダラス投手に続け!第2の柱がプレーオフ進出のカギに
ダラス投手に続く先発の柱として入団した、ゴールデンルーキーの山下 千世投手。昨年、大学生から唯一、“日米対抗ソフトボール2023”の日本代表に選出されるなど、正式競技に復活する2028年のロサンゼルスオリンピックでの活躍が期待されている。
今年2年目となる井上 あやめ投手との若手左腕コンビは、二人で3勝を挙げているものの、投球イニング数は30回弱。今シーズンも100イニングス超の登板が確実な、ダラス投手の負担を軽減するためにも、後半戦での更なる活躍を期待したい。
こういった台所事情を鑑み、後半戦に向けてKelly Maxwell(ケリー・マックスウェル)投手を獲得した豊田自動織機シャイニングベガ。
“日米対抗ソフトボール2024” で素晴らしい投球を見せたマックスウェル投手は、7月にイタリアで開催された”XVII Women’s Softball World Cup 2024 Finals(第17回 女子ワールドカップ ファイナル)” でもアメリカ代表としてMegan Faraimo(メーガン・ファライモ[トヨタ])投手、Ally Carda(アリー・カーダ[ホンダ])投手と共に、銀メダル獲得に貢献した実力派。
マックスウェル投手がダラス投手とローテーションを担い、山下、井上、浅井投手らがわきを固める投手陣が形成できれば、3年連続のダイヤモンドシリーズも期待できる。
待たれる打線の主役復活とチャンスに応えるラッキーガールの登場
豊田自動織機シャイニングベガ、後半戦の巻き返しにはチームの主役復調も欠かせない。核弾頭を務める日本代表・須藤 志歩選手と、繋ぐ4番の “推しのソ” 田井 亜加音選手だ。