戦後過去最高の日本陸上
パリオリンピック陸上競技は、大会終盤となる8月1日~11日、11日間の日程で開催された。チームジャパンは24種目に、49選手が出場。女子やり投で金メダルを獲得したほか、9種目で10の入賞を出す成績を残した。
陸上競技での五輪金メダルは、2004年アテネ大会以来20年ぶり。また、10の入賞数は過去最高に並び、戦後では過去最高成績となるものだ。チームジャパンの戦いを振り返っていこう。
北口、日本女子トラック&フィールド種目で初の金
チームジャパンが待ち望んでいたメダルは、大会最終盤ともいえる陸上競技10日目の8月10日にもたらされた。メイン会場のスタット・ド・フランスで行われるトラック&フィールド種目最終日のイブニングセッションで、女子やり投の北口榛花が、金メダルを獲得したのだ。
陸上競技での日本女子の五輪優勝は、これまでマラソン(2000年シドニー大会:高橋尚子、2004年アテネ大会:野口みずき)のみ。女子トラック&フィールド種目における史上初の金メダルは、大会10日目まで、上位入賞がなかった今大会の陸上選手団にとっても、待ちに待ったメダルでもあった。
まさに「他を圧倒する」パフォーマンスだった。12名で行われた決勝の第4投てき者としてピットに立った北口は、1回目にシーズンベストで今季日本最高となる65m80のビッグスロー。6回目で記録を伸ばしてくることが多い北口のこの先制攻撃は、ライバルたちに大きなプレッシャーを与えることになった。
風が回る難しいコンディションも重なって、他選手が記録を伸ばしていくことができないなか、北口は5回目でも2位の記録を上回る64m73をマーク。逆転する者は最後まで現れず、北口は、自身最後の試技に臨む前の段階で、待望のオリンピックタイトルを手にすることとなった。
村竹が男子トラック個人種目最高の5位入賞
男子ではメダル獲得には届かなかったが、トラックでフィールドで、日本勢が躍進した。男子110mハードルでは、村竹ラシッドが、この種目で日本人初の決勝進出を果たすと、メダル争いに絡むレースを展開。予選でマークした五輪日本人最高記録(13秒22)を再び更新する13秒21(-0.1)でフィニッシュラインに飛び込み、5位入賞を達成した。
これは、男子短距離における個人種目での過去最高成績。予選・準決勝(13秒26)・決勝のすべてで、来年の東京世界選手権参加標準記録(13秒27)を上回るハイパフォーマンスだった。
3000m障害の三浦は2大会連続入賞を達成
男子3000m障害では、村竹と順天堂大学での同期である三浦龍司が、6位入賞を果たした前回の東京大会に続いて、難なく決勝に進出。8位(8分11秒72)でフィニッシュして、2大会連続入賞を果たした。三浦も予選(8分12秒41)・決勝ともに東京世界選手権参加標準記録(8分15秒00)をあっさりとクリアする走りを披露した。
フィールド種目で気を吐いたのは、男子走高跳の赤松諒一だ。前回東京大会の戸邉直人に続く決勝進出を果たすと、決勝では、2m27を2回目に越えて、この種目で88年ぶりとなる入賞を確定。
続いて挑んだ2m31は、自己記録(2m30)を上回る高さであったが、正念場ともいえたこの場面で、みごと1回目にクリアしたことにより、日本の男子走高跳史上最高順位となる5位に収まった。赤松にとっては昨年のブダペスト世界選手権(8位)に次ぐ世界大会連続入賞であった。
男子は2つのリレーでともに入賞
男子リレー種目はメダルには届かなかったものの、2種目ともに入賞を果たした。4×100mリレーは、予選でサニブラウン アブデルハキームを1走に据え、栁田大輝、桐生祥秀、上山紘輝とつなぐオーダーで臨んでシーズンベストの38秒06をマークして、決勝に進出。