「パワーピッチャーに代わったところで、得点できなかったのは課題」と試合後に北九州ウォーターウェーブの来條 美穂監督が試合後に振り返った、須藤監督早めの継投・Samantha Show(サマンサ・ショー)投手が後続を力でねじ伏せ、大垣ミナモもモメンタムを渡さない攻防が続いた。
両チームの意地がぶつかる見事な攻防
この試合、最もスタジアムが沸いたのは4回裏の両チームの攻防だった。
先頭の “推しのソ” 細野 摩な選手が、三塁手前の緩いゴロを放って全力疾走。「サマーブレイク中、最後まで全力でプレーするタカギらしいプレーを徹底してきた」と、来條監督が目指すプレーを主力選手が実践して三度試合が動き始める。
続く、乙津 向茄秋選手も「追い込まれた厳しいカウントでも、次の塁に進めるバッティングをしっかりと練習してきた」と今夏の練習の成果を見せる高い打球の進塁打で自らも出塁する。
無死一、二塁で、前の打席に安打を放った “推しのソ” 山根選手に犠打を命じた来條監督は、1 – 2 と追い込まれた続く柏坂選手に出したサインはスクイズエンドラン。これを見事に決めた柏坂選手は、野選での出塁も果たして1死一、三塁と一気呵成に攻め込んだ。
このままズルズルといきそうな展開となる中、今度は大垣ミナモが意地のディフェンスを見せる。強肩の岩月 優衣捕手が、二盗を試みた柏坂選手をレーザービームで刺殺。さらに四球で歩いた兼平選手が再び盗塁を試みるが、これまた岩月捕手の投じたレーザービームを今度は二塁手の近本 和歌子選手がカットして本塁へ矢のような送球。
ミットに収めた岩月捕手が、本盗塁を狙う乙津選手を本塁で封殺する素晴らしい内野連係を見せて、この回も大ピンチを1点で凌いで見せた。
初のクーリングタイム後もモメンタムを渡さない
4回終了後、JDリーグ公式戦では初めてとなる”クーリングタイム”を実施した。この”クーリングタイム”は、昨今問題となっている猛暑下の熱中症対策として、さまざまな屋外スポーツで取り入れられている。
先月、阪神甲子園球場で開催された国民的行事・夏の甲子園で一躍名が知られるようになったクーリングタイムだが、この途中休憩直後に幾つもの試合の流れが変わってしまった。各チームにとっては、このブレイク明けの入り方にも新たに注意する必要があるのだ。
実は、同じ時期に開催されていた国民スポーツ大会のブロック予選、女子ソフトボールの試合でも同じことが起こっていたようで、「九州ブロックが開催された宮崎県で、クーリングタイムを経験していたので」と話した来條監督。
初回からテンポ良く、安定した投球を見せていたタカギ北九州ウォーターウェーブの先発・今村 みなみ投手は、5回表のサマンサ選手から始まる大垣ミナモの中軸を集中力を保った投球で三者凡退に抑える。
その後も、絶妙な投球術で大垣ミナモに三塁を踏ませずに抑え込んだ今村投手が見事に完封勝利。試合後に勝利者インタビューで盛り上がる選手たちを温かい目で見つめていた来條監督は、勝利を待ち望んでいた坂森 俊介ソフトボール部長とグータッチ。118日ぶりの喜びを分かち合っていた。