大学最後となる4年生となった秋のリーグ戦だが、卒業後に野球を続けない部員は大学選手権で選手を引退。就職活動や卒業論文の作成に残りの半年を費やすのが、東京農業大北海道オホーツク野球部の慣例だと岩本選手が教えてくれた。
本格的な野球から退いた岩本選手。既に山梨県にある訪日外国人をターゲットとしたハイクラスホテルへの就職が決まっている。「内定をいただいた会社では、私たちの世代が一期生なのです。新しい土地で新しい仲間と野球を学んだオホーツクでの時間は本当に充実していました。社会人でも同じ環境で働きたい。これから始まる新しい会社で、新しい土地で新しい仲間と充実した社会人生活を送りたいです」と、笑顔で話してくれた。
高校の恩師に言われたとおり、男を磨き続けた4年間がいかに充実した時間であったか。それを詳しく聞くまでもなく、爽やかな笑顔と未来を見据える強い眼差しが、三垣野球が素晴らし野球人を社会に送り出していることを表していた。
新チームで目指す明治神宮大会
呼人球場で行われた、秋のリーグ戦第2節。大学選手権でも好投したエースの神宮 僚介投手(群馬・桐生第一高)を怪我で欠く事態であったが、「豊富な投手陣が奮起してくれると信じている」という三垣監督の言葉通りの展開で、今秋に1部昇格を果たした釧路公立大との二連戦を共に9 – 0の大差で圧倒した。
第1戦に先発した、寺門 京佑投手(群馬・桐生第一高)は2年生、第2戦に先発した根布 一嘉投手(北海道・北海学園札幌高)は1年生。松本コーチの “推し選手” が、次の大学野球選手権での活躍を期待させる好投を見せた。
打撃では、プロアマ交流戦・北海道ベースボールウィーク2024において、北海道社会人・大学選抜チームの核弾頭として非凡な打撃センスを見せた江川 輝琉亜選手(4年・熊本工業高)の活躍が光る。2回戦の4回には、右翼スタンドへ豪快な2点本塁打を放ち、さらにレベルの上がる社会人野球での活躍を予感させた。
春の王者の貫禄を見せて連勝した東京農業大北海道オホーツクであったが、試合後には三垣監督から考える野球についてのさらなる課題が提示される。
「毎日の体調、精神面はみんな異なる。自分で今日の調子を把握して試合の入り方を工夫しなければ、初回からゲームに入ることはできない。決められたことをルーティンとしてやることも大事だが、結果を出すために今日の自分は何をすべきかを考えるように」と、大学生として行うべき自己管理の大切さを説いていた。
この秋は惜しくもリーグ制覇を逃し、明治神宮大会への出場は果たせなかった東京農業大学北海道オホーツク野球部。チーム一丸で元気にグラウンドを駆け回る若さに溢れた野球と、大学生らしく心技体を高いレベルで管理できる野球を併せ持つ北の大地の強豪が、ひと冬を越してさらに成長した姿を神宮の杜で見せてくれることを楽しみに待ちたいと思う。