プレーオフ進出へ 4位同士の直接対決
今回、栃木県足利市のジェットブラックフラワーズスタジアムで行われた、女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第10節・交流戦の最終戦。
記録的な猛暑から一転、日中でも肌寒さを感じるような日が増えてきた。屋外でのスポーツ観戦に最適な気候となったこの日、足利ラウンドの最終戦では地元・ホンダリヴェルタが豊田自動織機シャイニングベガと激突。両チーム共に13勝、それぞれの地区で4位につけプレーオフ進出へ負けられない戦いが続く。
プレーオフに進むには、レギュラーシーズンの上位3位までの6チームと、東西地区4位のうち勝率の高い1チームの合計7チームが出場権を獲得できる。プレーオフまで各チーム約6試合と残り僅かで、一試合も落とせない争いになっていく中、プレーオフ進出にかける2チームの直接対決は見逃せない。
期待の新戦力で戦いに挑む
7月に愛知、静岡、神奈川で行われた “日米対抗ソフトボール2024” で、日本代表を7回までノーヒットに完璧に抑え込むピッチングを見せた投手がいた。その好投手が、後半戦から豊田自動織機シャイニングベガの一員に加わった、左腕のKelly Maxwell(ケリー・マックスウェル)投手。180cmに迫る長身から鋭く落ちるドロップとライズボールを織り交ぜた力強いボールを投げ込む。
プレーオフ進出に向け、後半戦に大きな補強をした豊田織機の戦略通り、フォード投手と両者一歩も譲らない投手戦を演じ、延長タイブレークにまでもつれ込んだ。
投手戦の中でも、試合は初回から動きを見せていた。1番・須藤 志歩選手がホンダ先発のJailyn Ford(ジェイリン・フォード)投手から死球で出塁すると、2番・大平 あい選手も四球で続く。
立ち上がりに不安がある好投手から、無死一、二塁と先制の絶好のチャンスを得た豊田織機。しかし、ここからホンダバッテリーにスイッチが入る。
フォード投手 – 棚町 佳奈選手のホンダバッテリーが、変化球を使った抜群の配球を見せて後続から2三振を奪い、本塁を踏ませずにピンチを凌いだ。
その裏、ホンダにもチャンスが訪れる。1死から2番・大川 茉由選手が内野安打で出塁すると、すかさず盗塁を決めて得点圏にランナーを進める。
さらに2死三塁と走者を進めたところで、打席に入るは4番・山口 未葵選手。前日の東海理化チェリーブロッサムズ戦でもヒットを放った4番に期待を込めて盛り上がるホンダのスタンド。しかし、ここはマックスウェル投手が見事な投球で空振り三振に切って取り、互いに先制点を許さない緊張感ある立ち上がりを見せた。
均衡を破ったのは豊田自動織機
「出塁はできているので、ランナーを返す最後の一本が今年の課題です」と話していた豊田織機の永吉 慎一監督。後半戦開幕に当たっては、「トーナメントだと思って戦う」と選手に背水の陣を敷くと伝えたとのこと。その名将の思いを受け、豊田織機はこの試合の主導権を握る。
3回表、2死から3番のMakena Smith(マケナ・スミス)選手が右中間を破る2ベースヒットでチャンスを作る。パスボールで2死三塁となったところで、4番・”推しのソ” 田井 亜加音選手がセンター方向にゴロを放つ。誰もが抜けると思った打球を、鮮やかに好捕したのがホンダの “推しのソ” ショート・吉田 彩夏選手。
しかし、一塁に送球するには至らず内野安打となると、三塁からマケナ選手が生還して先制。パスボールでの進塁が流れを呼び、豊田織機が執念で一点を先制した。
しかし、地元の大声援を背にするホンダベンチのモメンタムは失われない。その裏、1死から1番・ “推しのソ” 塚本 蛍選手が高めをコンパクトに振り切ると、打った瞬間それと分かる弾丸ライナーがセンターのフェンスを越えるソロ本塁打。あっという間に同点に追いつく。
「W杯で一打席対戦した時は打ちとられてしまったので、リベンジできてよかったです。」と、頼れるキャプテンが放った豪快な一発は、観客を沸かせると共に豊田織機に傾きかけた流れを一気に引き寄せた。
両者粘りの攻防
膠着状態が続いた試合は同点のまま7回へ。豊田織機の先頭・竹中 真海選手が中前安打で出塁すると、続く7番・池上 桃花選手がセーフティバント気味の犠打で二塁へ走者を送る。
2死三塁となった場面で勝負に出た永吉監督は、代打の切り札・福重 さくら選手を打席に送り勝ち越しを狙った。期待に応えた福重選手が上手くミートした打球はセンター後方を襲う。