パリ五輪で日本人初の快挙
世界中の人々に感動を与えた “パリオリンピック” から2ヶ月余りが過ぎたものの、その興奮と感動は未だ覚めやらない。24種目49選手が出場した陸上競技の日本代表選手団では、北口 榛花選手が女子やり投で女子トラック&フィールド種目における史上初の金メダルを獲得したほか、9種目で10の入賞を出す素晴らしい成績を残したことは記憶に新しい。
入賞数10の成績は、これまでの日本代表選手団として過去最高に並び、戦後では過去最高の成績。中でも男子110mハードルで、1932年のロサンゼルスオリンピック100m走における吉岡 隆徳選手(6位)以来となる決勝進出。加えて、五輪日本人最高記録(13秒21)という素晴らしいタイムで日本人初となる5位入賞を果たした村竹ラシッド選手(JAL 所属)の活躍は、トラック&フィールド種目に取り組む日本の子どもたちに「メダル獲得」という夢を与えてくれてた。
その村竹ラシッド選手が10月23日、自らの母校である千葉県松戸市立相模台小学校、同第一中学校を凱旋訪問。1,300人を超える後輩たちにパリオリンピックでの活躍を報告すると共に、後輩たちとの笑顔溢れる交流を行い、地元・松戸市への思いを語ってくれた。
アスリート輩出タウン・松戸市
東京都葛飾区、江戸川区に隣接する千葉県松戸市。首都圏の住宅都市として発展を続け、現在では50万人余りが住む街だが、史跡や緑豊かな憩いの場も数多い。江戸時代には徳川御三家の水戸藩士たちが幕府との連絡で頻繁に往来した水戸街道が縦断する松戸市は、最後の将軍・徳川 慶喜の実弟にあたる水戸藩主・徳川 昭武(あきたけ)が建設した戸定邸(国指定重要文化財)が当時の趣のまま観光客を出迎えている。
そんな松戸市はスポーツも盛ん。高校野球の名門・専修大学付属松戸高校に代表される野球や、女子ソフトボールのトップリーグ・JDリーグにOGを輩出している小学生ソフトボールチームなど、こどもから大人までが様々なスポーツを楽しむ環境を活かしたウェルビーイングな街づくりを進めている。村竹ラシッド選手を始め、東京オリンピックで金メダル、パリオリンピックでも銅メダルを獲得した、レスリング女子フリースタイル50kg級の世界ランキング1位(2024年7月時点)須﨑 優衣選手など、オリンピアン、パラリンピアンも多い。
こういった環境下で青春時代を過ごしている松戸市立第一中学校の生徒たちが、世界で活躍する “先輩” との初対面にどういった反応を示し、刺激を受けるのか。JournalーONE編集部は、その模様を取材すべく村竹ラシッド選手を待つ松戸市立第一中学校の体育館に向かった。
栄光の先輩を迎えるべく体育館に集まったのは、全校生徒約900名と先生方。全員が入場を終えると、村竹ラシッド選手を待つ間にパリオリンピック決勝の映像が放映される。世界中で話題となった村竹ラシッド選手が登場シーンで見せた “ジョジョ立ち” から、ゴール寸前までメダル争いを演じた先輩の一挙手一投足に改めて目を奪われていた。
登場演出に戸惑いながらトークへ
映像視聴で暗くなっていた体育館がパッと明るくなると、司会から「いよいよ、村竹ラシッド選手の登場です!」というアナウンス。全校生徒が振り返る中、最高峰の鉄扉が勢いよく開き “主役” が登場した。
歓声、拍手、黄色い声が上がると、やや戸惑った表情を見せながら深く一礼した村竹ラシッド選手。万雷の拍手で出迎える約900人の後輩たちの真ん中を通って壇上に上がった。
司会から促され、先ずは村竹ラシッド選手の自己紹介から始まった。
松戸一中在学時の思い出に触れる場面では、「今、陸上部に所属している人は手を挙げて。(手を挙げた人数を見て)うーん。部員が少ないですね。僕らの頃は、もっと多かったのですが」と、生徒たちとの掛け合いも交えながら楽しく振り返った村竹ラシッド選手。