殆どの生徒たちが手を挙げる様子を見ると、「こんなにたくさんの人が緊張すると手を挙げている」と、誰もが緊張するものだと認識させた上で、「いつも母から、『練習は本番のように、本番は練習のように取り組むように』と教わり、練習も試合も取り組んできました」と、世界で戦うトップアスリートのメンタル強化について真剣にアドバイスしていた。
学生時代は仲間との繋がりを大切に
“学生時代で辛かったことは?” との質問には、少し間を置いてゆっくりと話し始める村竹ラシッド選手。
「高校2年生の時に、腰椎分離というケガで苦しんだ。5mも走れず、4ヶ月をリハビリ費やしたことですね」と静かに答え始める村竹ラシッド選手の言葉に会場の雰囲気は静まり返る。
「でも、たまたま同時期に同じ怪我した友達がいて、励まし励まされながらリハビリを乗り越えることができた。怪我だけで無く、みんなもそえぞれ苦しいことがあると思います。その時は、友だちや周りを頼って下さい。話してみるだけでも楽になりますよ」と、仲間と繋がることの大切さを教える村竹ラシッド選手に、生徒の誰もが首を縦に振って感心した表情で応えた。
「人生の目標は陸上で稼いで(笑)、神奈川に豪邸を建てて悠々自適に過ごすこと」と、夢を話した村竹ラシッド選手。「競技人生ではオリンピックなどの世界大会で金メダルを獲ることです。まだ出場決まっていませんが、来年の世界陸上を目標にしているので是非観に来て下さい」と、日本で18年ぶり、東京・国立競技場では34年ぶりとなる “東京2025世界陸上競技選手権大会(以下、世界陸上)” での活躍を誓い、大きな歓声を受けていた。
最後は、花束贈呈セレモニーと全校生徒との記念撮影で、母校凱旋を笑顔で締めくくった。
懐かしのグラウンドを眼下に
母校凱旋で後輩たちと楽しいひとときを過ごした村竹ラシッド選手は、懐かしのグラウンドを眼下に取材陣の質問に答える。
「伴奏を聞いて自然と歌えた」と、全校生徒との校歌斉唱も行った村竹ラシッド選手は、「こうやってグラウンドを見渡すのは卒業以来ですね。本当に当時と変わっていません」とグラウンドを指さしながら、「あそこの倉庫の横が陸上部のテリトリーでした。ここから先生が見ていて・・・ 厳しい練習だったが良い経験でした」と、つかの間のタイムスリップを楽しんでいた。
「また良い成績を残して、母校に戻ってきたいです」と、大好きな地元・松戸市への恩返しを誓う村竹ラシッド選手は、同じ市内にある母校・千葉県立松戸国際高校の周りに広がる梨園も思い出したのか、「松戸と言えば梨も有名ですし、ラーメンも朝から整理券をもらわないと食べられないような美味しい店 “中華蕎麦 とみ田” もあります」と、地元PRも忘れない。
オリンピック日本人最高記録を更新した決勝のシーンは、「初めての経験なので思いっきり楽しもうと臨んだのが良かった。ジョジョ立ちも外国人選手からもとても反響があって」と、想像以上に私たちに与えた影響の大きさに驚いていた村竹ラシッド選手。
「日本人アスリートは、種目を越えてみんな明るい。ひとりひとりのパフォーマンスも含めて、是非様々な大会を観に来て欲しいですね」と、更なる陸上競技の盛り上げにも意欲を見せ、母校を後にした。
年内は怪我の回復に専念し、年明けに大会標準記録を突破して世界陸上でメダルを狙う村竹ラシッド選手の活躍はもちろん、陸上競技日本代表選手たちの更なる活躍をこの目で観る機会が待ち遠しい。