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右中間に本塁打を放つ杉本梨緒(日立)-Journal-ONE撮影
左右揃った強力な投手陣も躍動
NPB(プロ野球)よろしく、左右の強力な投手陣を擁して年間でローテションを回して戦ったスタイルも、JDリーグでは希有な存在。
日本代表に選出され、チームの主将も務める右腕・坂本投手は、東地区2位の防御率(1.53)が物語る安定した投球をシーズン通して見せ続けた。先発、ロングリリーフ、抑えとどんな役割でもこなす器用さを持つ坂本投手は、優勝を決めた最終節のホンダリヴェルタ戦で、先発と抑え(リエンター)の二役を演じて胴上げ投手となった。
左腕では、タイプの違う二人の投手が躍動。前半戦、規定投球回数に達し防御率トップに躍り出た田内 愛絵里投手は、「ここ一番の場面で勝ちをもたらした投手」と村山監督から絶大な信頼を寄せる。シーズン終了後は、惜しくも僅かに規定投球回数には満たなかったが、防御率1.71で7勝を挙げた田内投手は左のエースとして初優勝に貢献した。
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大事な場面での好投が光った田内(日立)-JournalーONE撮影
同じ左腕で忘れてはならないのが、”推しのソ” 長谷川 鈴夏投手だ。坂本投手、田内投手に投球回数は及ばなかったものの、奪三振率は両投手を上回り防御率も2.20。田内投手を上回る8勝を挙げる活躍で “三本柱” の一角を務めあげた。また、長谷川投手と言えば、リーグ屈指の「おしゃれ番長」としても高い人気を誇る。華やかなヘアスタイルで好投するその姿で、JDリーグを華やかさでも演出してくれた。
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出で立ちも華やかな長谷川(日立)-JournalーONE撮影
一発勝負に注目したい選手起用の妙
タレント揃いの日立だが、ビックカメラ高崎相手の一発勝負にどういった選手起用で臨むのか?村山監督が提出するオーダー表から注目が集まるところ。
1勝1分けと分の良いビックカメラ高崎戦では、いずれも先発に田内投手を起用している村山監督だが、先発投手に誰を起用するのかは蓋を開けるまで分からない。
プレーオフ2ndラウンドの勝利監督インタビューでは、ビックカメラ高崎の岩淵 有美監督がダイヤモンドシリーズの先発に世界のエース・上野投手を起用することを示唆。そうなると、10月6日のJDリーグ 第11節で演じた延長9回タイブレークで壮絶な引き分けとなった直接対決の再来を予感させる。
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上野から同点弾を放った森山(日立)-JournalーONE撮影
この試合、ビックカメラ高崎に先制を許した日立だったが、最終回に森山 遥菜選手が値千金のソロ本塁打を放ち、土壇場で同点に追いつく粘りを見せた。これ以降、全ての登板で先発完投勝利を挙げ、抜群の安定感を見せている上野投手が先発するだけに、強力・ビックカメラ高崎打線に先制点を許すことはできない。
打線も、軸となる1番・藤森選手を中心に、上野投手のパワー、テクニックの両方に対応できる打線をどう組んでくるかに注目だ。捕手で出場が予想される山内 早織選手、アメリカ代表・ Dejah Mulipola(デジャ・ムリポラ)選手のパワー、豊富な経験も合わせ持つ杉本選手、森山選手の勝負強い打撃にも期待がかかる。これに加え、今シーズンを通して力を発揮した若い選手たちが重圧をはね除け、自分らしい打撃を貫いて、上野投手に向かっていけるかが勝敗のカギとなるだろう。
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本塁打を放ち祝福される平田(日立)-JournalーONE撮影
百戦錬磨のベテランに調子を上げる若手選手
若手の成長にかけては、ビックカメラ高崎も負けていない。
リーグ戦終盤では、東京2020金メダリストの藤田 倭選手、内藤 実穂選手がここ一番の場面で「流石!」とファンを唸らせる打撃を見せ、勝ち星を重ねてきたビックカメラ高崎。これに加え、プレーオフ2ndラウンドでは若手選手も躍動した。
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決勝本塁打を量産した藤田(ビック)-JournalーONE撮影