大一番の先発を託された日立のキャプテン・坂本-JournalｰONE撮影

変わって初回の日立の攻撃。上野投手に対峙するは、東地区首位打者の藤森 捺未選手だ。驚異の打率.476と文字通り「サンディーバの核弾頭」として優勝に貢献した藤森選手は、今シーズンの直接対決で上野投手から安打を放っている。

藤森選手、田内選手、”推しのソ” 杉本 梨緒選手と続く日立打線は、全員がファーストストライクから積極的にスイングしていく。プレーオフ2ndステージで早いカウントから追い込む投球を見せていた上野投手のストライクボールを叩く戦略だ。

大応援団を背に二安打を放った杉本（日立）-JournalｰONE撮影

これが功を奏し、二死から杉本選手が中前安打を放ち出塁すると、上野投手の剛球にパワーで対抗できる4番・山内 早織選手が打席に向かう。初球からフルスイングする山内選手に対し、的を絞らせない投球を見せる上野投手。勝負は2－2と追い込んだ6球目、上野投手が投じた外へのシュートを山内選手が捉えた打球は左中間に高々と上がった。

スライスしながら吹き上がった打球を見るや、日立ベンチも応援席も総立ちになる。打った瞬間それと分かる先制2点本塁打！初回から積極打法で日立が主導権を握った。

先制の2点本塁打を放った山内（日立）-JournalｰONE撮影

両投手の力投で膠着する展開

「坂本投手の速球はなかなか打たれない。積極的に攻めるリードを続けた」と山内捕手が話したとおり、この日の坂本投手はここ一番のパワーボールが威力を見せる。

2回、パワーヒッターの ”推しのソ” 炭谷 遙香選手を力でねじ伏せて遊飛、続く6番・ルーキーの井出 久美選手も右飛に打ち取る。二死から花浦 ひかり選手が右前安打を放つも、続く高卒二年目ながら、ビックカメラ高崎のセカンドを守り通した遠藤 愛実選手を三邪飛に抑えた。

今度は3回、藤田選手が内角攻めを読み切り左前に落とす安打で出塁。1死二塁と得点のチャンスを作り、工藤選手、内藤選手、炭谷選手と続くクリンアップに期待をかけた。すると、坂本-山内の日立バッテリーは、速球を見せ球に追い込んでからの低めのチェンジアップを使った配球で工藤選手を打ち取り、得点を許さない。

試合中に調整をしながら力投したビック先発の上野-JournalｰONE撮影

「前日練習ができず、マウンドとのアジャストを試合中にするのに苦労した」と話した上野投手は、ファーストストライクから積極的にスイングスしてくる日立打線に頭脳的な投球で対抗する。先の直接対決で痛恨の同点を浴びていた森山 遥菜選手を高めにボールになるライズボールで邪飛、続く平田 唯花選手、唐牛 彩名選手を内野ゴロに仕留めて流れを掴む。

小雨が降り始めた3回裏、村山 修二監督が代打に保谷 蓮選手を送りプレッシャーをかけるも、二ゴロに打ち取った上野投手。先頭に戻り、好調の藤森選手の一打に期待する日立応援団から、「藤森～」と大声援が飛ぶ中、アウトコースの落ちる球を打たせて左飛。続く、二刀流・田内選手に3-2まで粘られるも低めの落ちる球で三振！想定通りにこの回も打者三人で抑えた上野投手。両投手が持ち前の投球術を披露し、一度動き始めた試合が膠着する展開で中盤へと向かった。

動き始めた中盤の攻防

試合が再び動き始めたのは4回、徹底的に好球必打を貫く日立打線だった。先ほど先制のきっかけを作った”推しのソ” 杉本選手が、第一打席同様の積極的なスイングで内野安打を放ち出塁すると、見事な先制本塁打を放った山内選手に繋ぐ。

「二度目は無い」と山内選手を外のドロップで内野ゴロに仕留めた上野投手だったが、続く笠原選手が放った打球がのみぞおちを直撃する弾丸ライナーに。スタジアムにヒヤリとした空気が流れるも、これを素晴らしい反射神経で好捕した上野投手。周囲に大丈夫と手を振ると、一発のある森山選手を遊ゴロに打ち取り軽快にベンチへ戻っていった。

直後の5回表、今度はビックカメラ高崎が坂本投手を揺さぶりにかかる。こちらも前の打席で安打を打っている花浦選手が、執念のプッシュバントのような小飛球をマウンド後方に放った。これをショートの名手・杉浦 穂華選手が気迫のダイビングキャッチを試みるも数センチ及ばず、先頭打者を出塁させたビックカメラ高崎。続く遠藤選手が犠打で得点圏に走者を進め、代打の切り札・廣瀬 夏季選手を打席に送った。