【試合結果】JDリーグ東地区最大のライバル対決は日立の積極打法が世界のエース・上野を攻略 - 日立vsビックカメラ高崎 - 3ページ目 (4ページ中)

リーグ戦で再三披露した藤田（ビック）の左翼への豪快な打球は惜しくも左飛に-JournalｰONE撮影

廣瀬選手を二飛に打ち取り二死とした坂本投手だったが、ここでこういった場面にめっぽう強い藤田選手との対決を迎える。本塁打で同点となる場面、内角に投じたドロップに反応した藤田選手の打球がレフトへ高く上がる。リーグ戦で何度も見せたこの打球、ビックカメラ高崎応援団から「同点だ！」と声が上がる。懸命に背走するレフト・平田選手と打球の行方を見ながら、一塁へ走り出す藤田選手。フェンス直前、長身平田選手が腕いっぱいに伸ばしたグラブにボールが収まり得点には至らなかった。

終盤に決めた主砲の一発

ビックカメラ高崎が流れを掴みきれない6回裏、順調に二死を取った上野投手は第1打席で本塁打を放った主砲・山内選手と三度目の対決に臨む。

「どのボールも素晴らしいが、一番長打を打たれないボールを選択した」と、炭谷捕手が振り返ったボールは2-1から内角に投じたドロップだった。

これを見事にすくい上げた山内選手が、「上野投手の落ちる球の軌道を何度もイメージして練習してきた」と話せば、「バッターが打ちたいボールを打ちたい場所に投げてしまった」と振り返る上野投手。初回と同じような打球音を残した打球は、同じスライス軌道を描きながらセンターの頭上を越えていった。

ダメ押しのソロ本塁打を放ちベンチで祝福される山内（日立）-JournalｰONE撮影

貴重な1点を先に取った日立は、代打・デジャ選手、森山選手が詰まりながらも外野の前に打球を運んで2死から得点圏に走者を送る。猛攻を見せる日立打線に流石の上野投手の表情もこわばっていく。

「わっしょい！わっしょい！」の日立応援団コール中、平田選手に代わり堀口佳乃選手を代打に送り一気呵成に攻め込む村山監督。初球から積極的にスイングする堀口選手もファールで粘るが、投球数100球を超えてきた上野投手も最後の力投を見せて内野ゴロに打ち取った。

最終回、3点差を追うこととなったビックカメラ高崎の攻撃は、”推しのソ” 炭谷選手から。ボール先行となった3-1からファール3つで徐々にタイミングを合わせていくと、内角に食い込んできた速球を身体の前で上手くさばいた打球は左翼ポール際へ。「とにかく出塁することだけを考えた」と話した炭谷選手のパワーが見せた、意地のソロ本塁打。

ビック・炭谷が追撃のソロ本塁打-JournalｰONE撮影

こちらも100球を越える熱投となった坂本投手に対し、井出選手も3-2から執念で二塁手の頭を越える安打を放つ。最後の最後、本塁打で同点のチャンスまで持ってきたビックカメラ高崎。村山監督がマウンドに向かい、長いタイムの中で下した決断は、二刀流・田内投手をリリーフに送る継投策だった。

2番・DHで出場していた田内（日立）が緊急リリーフで好投-JournalｰONE撮影

対するはこの試合、2安打と当たっている花浦選手だが、ここで岩淵監督が授けた作戦は犠打。2点差ながら得点圏に走者を進め、先週のプレーオフで安打を放っている打撃好調の遠藤選手に期待を寄せた。

2安打1犠打と上位打線との繋ぎを果たした花浦（ビック）-JournalｰONE撮影

高卒ルーキー・井出選手に続き、しぶとく右前にボールを運んでチャンスを拡大した遠藤選手。ビックカメラ高崎の将来を背負う若手選手たちの勢いに、岩淵監督はここで20歳の代打・椋梨咲楽選手を打席に送った。この緊張感ある場面に抜擢された椋梨選手は、井出選手、遠藤選手に続けと若さ溢れるフルスイングを見せたが三振に倒れて悔しさを滲ませる。

二死までこぎ着けた日立は、ここで再び田内投手から坂本投手にスイッチ。右の強打者・藤田選手との勝負に挑んだ。打ち取れば勝利、打たれれば同点、さらには逆転とこの試合一番の勝負所を見せる展開に両チームのスタンドから大きな歓声が沸き起こる。