「清流の国ぎふ」文化祭2024
毎年、各県を順に回って開催されている ”国民体育大会” が2024年から名前を変えて ”国民スポーツ大会” と新しく生まれ変わった。今年は佐賀県で開催され、スポーツ選手が熱い戦いを繰り広げた祭典だが、実はあまり知られていない ”国民文化祭” もあるのはご存じだろうか。
国民文化祭とは伝統芸能や音楽、文学、美術、食文化から、観光や国際交流、福祉、教育などそれぞれの特色を生かし、全国で発表、交流する文化の祭典のこと。日本の昔から伝わるものから近年に至るまで、文化によって生み出される様々な価値を継承し、発展及び創造に活用していき国民の文化活動の水準を高めるという取り組みだ。
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「清流の国ぎふ」文化祭2024ガイドブックよりーJournal-ONE撮影
そんな国民文化祭が今年は ”「清流の国ぎふ」文化祭2024” として10月14日から11月24日の42日間に渡り開催された。岐阜県での開催は25年ぶりということで、県内の様々なところで約1ヶ月半もの間、イベントが開催されていた。
今回、Journal-ONE編集部が向かったのは岐阜県可児市にある、ぎふワールド・ローズガーデン。この公園には日本でここにしかないという、遠い北アフリカの国・モロッコ王国(以下、モロッコ)の伝統的な造りをした庭園があり、文化祭のイベントとしてモロッコの手工芸品の展示や食文化を体験できると聞いた。なぜ遠い異国の庭園が岐阜県に造られたのかという自治体との繋がりを聞くために取材をした。
モロッコと岐阜の繋がり
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モロッコの地図ーモロッコ王国大使館提供
日本からの距離はおよそ11,630㎞もあるモロッコは、アフリカ大陸の北西端に位置しておりアフリカ諸国の中でもヨーロッパに一番近い国である。ラバトを首都とし毎年世界中から1400万人以上の観光客が訪れている人気観光地であり、古代都市やローマ遺跡などの9つの世界遺産がある。
国旗にもあるように日本は ”日の出づる国” として称されているが、モロッコは ”日の沈む国” と言われている。日本と対照的な理由としてモロッコは北アフリカ(西)に位置し、アルジェリア・チュニジアを含め ”マグレブ3国” と呼ばれている。 マグレブとは ”太陽の没する大地” と言う意味があるそう。
2007年にモロッコ北部にあるウジュダ・アンガッド府、2018年には人気都市・マラケッシュ=サフィ地方と友好協力に関する覚書を岐阜県が締結している。それもあり自治体交流で一番関わりがあった岐阜県に友好の証として、モロッコの伝統的な庭園を造ることが決まったという。
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ぎふワールド・ローズガーデンにあるモロッコガーデンーJournal-ONE撮影
そこで今回、25年ぶりの国民文化祭である「清流の国ぎふ」文化祭2024が行われるにあたりモロッコの魅力を発信しようと11月2日(土)、3日(日)の2日間で開催されたのが モロッコイベント 。
モロッコ食文化で新たな発見
「モロッコのイベントが日本で行われることはとても光栄です」と話をしてくれたのは駐日モロッコ王国大使館 文化参事官のズバイダ・クレイマさん。「モロッコと聞くと、遠いアフリカにあって、国名は聞いたことあるがよく知らないという印象があると思います。実際の文化は全く違いますが、日本との共通点は意外とあるのです。すごく離れている国ではあるけど共感してもらえること、違う国だからこそ新しく発見してもらえる良い機会だと思います」
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モロッコの魅力を教えてくれたズバイダ文化参事官ーJournal-ONE撮影
取材に訪れた初日は生憎の雨で肌寒い気候だったが、イベントは朝9時から始まった。訪れた人はモロッコガーデンの中を散策、入口のテントにある手工芸品や民族衣装の展示を見たり、日本には馴染みのない ”ミントティー” や ”ハリラスープ” の試食会で食文化を味わっていた。
モロッコのミントティーはヨーロッパ商人が伝えたと言われる中国緑茶がベースで、フレッシュミントを使用した国民的な飲み物。暑い国なので清涼感のあるミントを使用、そして砂糖をたくさん入れて甘くして飲むのが人気であり、おもてなしとして欠かせないもの。日本にある茶道と同様、モロッコにも昔から飲まれるミントティー独特の茶道があるそう。