紅葉も楽しめたリーグ戦
パリオリンピックから3ヶ月、夢と感動を与えてくれたアスリートたちは国内の競技大会やリーグなどでも熱いプレーを見せる。間近で観戦できる機会が増えてきた。
猛暑を越え、やや遅れ気味と言われる今年の “紅葉シーズン”。世界屈指の観光地として知られる古都・京都が国内外から最も多くの観光客が訪れる11月、卓球の国内リーグ・ノジマTリーグ女子のリーグ戦が京都御所の直ぐ横にあるKBSホールで開催された。
パリオリンピック、卓球日本代表は女子団体で銀メダル、女子シングルスで早田 ひな選手が銅メダルを獲得。東京オリンピックに続く複数種目でのメダルに日本中が歓喜に沸いた。男女ともに、各チーム、ホーム12試合、アウェイ12試合、セントラル1試合の計25試合を戦い、3月に行われるプレーオフ進出チームを決定するノジマTリーグは、今シーズンの折り返し地点に差し掛かっている。
根付きつつある古都での卓球観戦
ここまで12試合を消化し、いまだ勝ち星の無い京都カグヤライズだが、地元開催のリーグ戦には多くのファンが詰めかけた。「卓球を観戦する文化が根付くにはまだまだ」と池袋 晴彦GMは課題を口にするが、「今まで卓球に触れる機会の無かった方たちが、観戦に来ていただけるようになった」と手応えも感じながら、忙しそうに笑顔で来場者の対応に追われていた。
試合前のエスコートキッズに参加した子どもたちの中には、「卓球はやったことがない」「観に来るのを楽しみにしていた」と、嬉しそうに京都カグヤライズのユニフォームに袖を通す。いよいよ選手たちと手を繋いで登場する場面では、スポットライトと歓声を浴びて少し緊張した面持ちとなったものの、京都カグヤライズの選手たちとの特別なセッションに最後は笑顔を見せて小走りで舞台を後にしていた。
音響と光りをふんだんに使った劇場のような空間の中央、レッドカーペットの上には舞台装置のように卓球台が設置されている。プレーが始まる直前、静寂に包まれた会場にボールを打つ乾いた音が響くと、選手たちの息づかいやラケットが切り裂く空気音も加わり、まるでリズミカルな音楽を聴いているような感覚になる。
あり得ない速さでテーブルを行き来する小さな白いボールに目を凝らず観客たちは、「シャァ!」という勝者の雄叫びで我に返り、一斉に大きな拍手や歓声を送る。長いラリーが起こった後には、長い集中から解き放たれたため息も聞こえてくるほど、選手と観客は一体化しているのだ。
地元企業も期待を寄せる
一流アスリートたちとファンがシンクロするノジマTリーグの演出に富んだリーグ戦開催には、地元企業の協力も欠かせない。「地元・京都でのリーグ最終戦を、勝利で飾っていただきたい」と挨拶したのは、京都カグヤライズのスポンサーを務める西日本旅客鉄道株式会社 近畿統括本部の阪奈支社長・水口 英樹さんだ。
”JR西日本マッチデー” となったこの試合、始球式を務めた水口さんは、「神奈川(木下アビエルの本拠地)から新幹線で多くの方が京都までお越しいただき有難い」と、遠方から来たファンを歓迎。
来春4月13日に開幕する “EXPO2025 大阪・関西万博” を盛り上げるべく、大阪駅うめきたエリア公式キャラクターの “びりーばー” を背中にプリントした特製の京都カグヤライズユニフォームを身にまとい、強烈なスマッシュを決めて観客を沸かせていた。