在阪プロ野球チームに似たリングネームの “タイガースマスク”、”ブラックバファロー”。西暦600年に創建された大阪の商業を護る神様として崇敬されている今宮戎神社を出身とする “えべっさん” や、大阪粉もんグルメの象徴 “タコヤキーダー” など、ユーモア溢れる選手たちの動きやトークも絶妙なスパイスだ。
リングサイドの観客はもちろん、列車待ちをしていた訪日外国人観光客たちも、スマホを片手にシン・大阪プロレスの興行を楽しんでいる。プロレスのパフォーマンスは、老若男女、国境に関係なく人々を惹きつけていた。
大阪プロレスと新大阪駅のご縁
そもそも、駅構内のイベントでプロレスをやろう発想にはなかなか辿り着かないが、「ちょっとした立ち話から始まったのです」と、水口さんがそのご縁を話し始めた。
「大晦日の夜、新大阪駅に年末年始輸送の応援に訪れたときに、『60周年記念に何をしようか』と話しをしていたら・・・」と、JR西日本 新大阪駅長の藤村 一博さんを紹介してくれた。
「私、根っからのプロレス好きなんです。自分が駅長の時に60周年という記念すべきイベントがあるならば、自分の好きなプロレスでイベントをやりたいなと(笑)」と、笑顔で話してくれた藤村さんは、オープニングイベントで上がった憧れのリングでノリノリの「出発進行」を披露してくれたばかり。
「でも最初は何の伝手もなく、思いだけが先行していました。しかし、その思いを周りに伝えていたら駅構内の店舗さんに大阪プロレスを知っている方がいて、快く縁を繋いでくれたのです」と、藤村さんの一念が岩をも通して大阪プロレスまで辿り着いた訳だ。
「しかし、いきなり駅イベントという訳にもいかないので、秋の交通安全でゼウスさんに一日駅長をお願いし、駅員たちと共に啓発活動などをしていただいたのです。すると、駅員たちがすっかりゼウスさんや大阪プロレスのファンになり、駅員総出でこのイベントを開催することになりました」と、振り返った先には駅員手作りのポスターや案内プラカードがたくさん。
その後行われた、新大阪駅員プロレス教室+リング体験では、藤村さんを筆頭に男女幅広い年代の駅員さんたちが、自腹で即日購入した大阪プロレスのTシャツを着てリングに!普段、子どもプロレス教室で行われる”大声での自己紹介”や”手押し相撲”で会場を沸かせる。楽しそうにリング上でリングポーズを決める姿や、司会のレスラーとの絶妙な掛け合いは、駅員の格好をしたタレントさんなのでは?と見誤る程のパフォーマンスを見せてくれた。
お客様が滞留しないよう、導線を確保する係や、記録写真を撮影する係など、このイベントを成功させようと参加している新大阪駅のみなさんも、誰もが笑顔で上司や同僚のお茶目な姿を見守っていた。
新大阪駅の社員たちが一体となって盛り上げた、新大阪駅開業60周年。その取り組む姿勢が、大阪プロレスの皆さんを引き込み、多くの駅利用者に笑顔を与えたことは間違いない。来る2025年4月13日から始まる “EXPO2025大阪・関西万博” を目当てに、新大阪駅には今までにない数の旅行者が新大阪駅を利用するだろう。JR西日本、JR東海、大阪メトロ一体となったおもてなしが、大阪万博で来阪した利用者の皆さんに笑顔を与えてくれることも間違いないだろう。