”LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)”に吊り下げられた大型ビジョンを見ると「17歳でプロ」「ワールドカップ優勝」などと出場選手たちの目標が目に入った。未来のサッカー界を担う若手たちは可能性にあふれていると思わずにはいられなかった――
サッカー元日本代表の本田 圭佑が育成年代向けに開発した4対4の新しいサッカー「4v4」(フォーブイフォー)の全国大会「4v4 JAPAN CUP 2024 RESPECT YOU, au」のファイナルが昨年12月26日に開催された。今大会はことしで2回目。U10とU12カテゴリーの日本一決定戦と思えないほどのスケール感が、見る者の期待感を煽る。
「何度でも挑戦しろ」…4v4とは?
まず時計の針を少し戻したい。この新競技が生まれたのは、2023年7月にさかのぼる。小学3、4年生のU10に向けた全国大会がない状況を踏まえ、子どもたちにとって結果こそ重要ではないが、真剣勝負の中から得られるものがあると考えて4v4は開発された。本田は「負けるな。勝て。もっと上を目指せ。何度でも挑戦しろ」というメッセージを何度も発信している。
それを体現できるよう、4v4はルールや仕組みが随所に工夫されている。試合は4対4で行われ、10分一本勝負。より攻撃的な展開を実現するため、攻撃では20秒以内にシュートを打つ時間制限があるほか、ボールがコートの外に出た場合はドリブルで試合を再開できたり、シュートはハーフウェイラインを超えてからしか打たれないため、4人のうち1人が務めるゴールキーパーも攻撃に参加できたりする。得点もゴール前のペナルティーエリアの外側から決まったシュートは2点あるのに対して、ペナルティーエリア内から決めたシュートは3点が入る仕組みだ。
さらに注目すべきは “監督・コーチ禁止” のルールである。ベンチメンバー2名以外の関係者はピッチに入ることができない。つまり、選手たちが考え、交代やタイムアウトのタイミングを判断しなければならないため、子どもたちの自主性と判断力の向上につながっていくのだ。
選手たちが出場する大会も、2024年は4月から11月までの8ヵ月間、全国で600以上も開催された。大会は16回あるゴールド大会を筆頭に、シルバー、ブロンズの3つにランク分けされており、戦績に応じてポイントが得られる仕組みに。JAPAN CUPにはゴールド大会の優勝チームだけでなく、敗れてもなお大会を転戦してポイントを獲得していった上位チームにも道が開かれる。
2024年の日本一は奈良県と愛知県のチームに
昨年12月のJAPAN CUPにはU10と今年より新設されたU12を対象に、それぞれポイントを獲得したランキング上位32チームと、ゴールド大会を制した16チーム、さらに「4v4 au CUP」でラストチャンスを手にしたワイルドカード1チームを加えた合計49チームが出場。12月24日、25日の2日間でグループステージを行い、各カテゴリーのベスト4が同26日のファイナルに駒を進めた。
優勝決定戦の舞台となった”LaLa arena TOKYO-BAY”は、Bリーグの ”千葉ジェッツふなばし“ がホームアリーナとして使用する会場だが、この日ばかりは4v4のコートが出現。吊り下げ式の大型ビジョンやコートを囲むリボンビジョンと連動した映像演出はもちろん、特設の大型LEDビジョンも設置されたほか、サッカー界では珍しい試合中に音楽を流す新たな試みも行われた。
そして、この日の主役は選手たちだけではなかった。決勝戦がはじまる前には、小学2年生のDJ RINOKAがアリーナのボルテージを上げ、ドラマー・村井 道奏も圧巻のパフォーマンスを披露。小中学生のヴォーカル&ダンスカンパニー・PGより5人の小学生が登場してオープニングアクトを務めたほか、選手をピッチへ呼び込むMCも務めた。3人組のyohaisenもダンスで大会に花を添えるなど、次世代が堂々たる姿を次々に見せてくれた姿が印象深い。