迎えた決勝を振り返ると、4v4の醍醐味が詰まった試合が繰り広げられたのも記憶に新しい。U10では ”GAMER” (愛知県)と ”Seasons” (東京都)が激突。終盤に0-3の劣勢からGAMERがシュートを突き刺して同点に追いつくと、サドンデスのPK戦を3-2で制して優勝を飾った。MVPには、その同点弾を叩き込んだ工藤 碧人選手が選ばれた。
続くU12では、 ”バルサ奈良” (奈良県)が ”LIV FOOTBALL CLUB U-12” (北海道)を5-0で下して初代王者になった。173cmのゴールキーパー・木村 亮太選手がMVPに輝いたほか、チーム一丸となった優勝を示す場面も。予選大会には出場したものの、今大会は登録人数の都合でベンチ入りが叶わなかった仲間たちのユニフォームを優勝メンバーが掲げた姿は、オフザピッチのハイライトとも言えるだろう。
日本代表のレジェンドたちが小学生とガチ勝負!?
だだ、JAPAN CUPは日本一を決めてフィナーレを迎えるわけではない。その先にもまだまだ見どころがあるのだ。なんせチャンピオンチームには、本田が出場をオファーしたサッカー日本代表がそろったレジェンドチームとスペシャルマッチが待っているのだ。今回のレジェンドは三浦 知良をはじめ、内田 篤人、乾 貴士、原口 元気、宇佐美 貴史、昌子 源、細貝 萌、青山 敏弘というメンバーが名を連ねた。
しかも本田は戦前、レジェンドたちへケガに気を付けてほしいと伝えた上で「ガチ勝負」を要請。U10の試合では乾が先制ゴールを決め、三浦 知良が続き、ゴールキーパー本田はシュートを決めるとすぐに全力疾走で自陣へ戻った。U12の試合でも内田がゴールを射抜き、バルサ奈良のシュートもしっかりとディフェンス。本田から三浦、乾という鮮やかなパス回しから得点が生まれ、細貝や宇佐見らも見せ場を作った。もちろん失点はいずれの試合もゼロである。
シュートが決まった場面を思い返せば、三浦知良の“カズダンス”も期待されたが、4v4ではそんな場面は無かった。今年プロ40周年を迎えるレジェンドは記者会見で「ルール上ね、ゴールしたあとはそのまま(試合が)始まってしまうんでね。すぐに切り替えて戻らないと本田さんに怒られるかなと思って急いで戻りました(笑)。ダンスどころじゃなかった」と報道陣の爆笑も誘ったほど。そんなガチ勝負の真意について、当の本田はメディアに説いてくれた。
「僕が子どものときに(大人に)勝利をアシストされても嬉しくなかったんです。逆の気持ちになって考えたら、本気で上を目指しているのであれば、今日負けたことをしっかりと体で覚えて、明日からの練習に生かすはずだと思います。明らかにそっちの方が子どもたちにとって意味があると思っています」
そしてレジェンドたちも本田の考えに共感を示した。原口、宇佐美はいう。
「彼らは全国でトップレベルの技術を持っている選手たちだと思いますが、プロの選手たちはそういうレベルじゃないんだぞというのを見せることによって目標設定が高くなるでしょう。それが圭佑くんの一番の狙いだと思います」(原口)
「プロのスピード感、シュートやパスの質、ひとつ一つを流してやるよりも、見せつけて大差で勝つ方が僕は美しいと思います。そういう感じでやるんだろうと思って今日も楽屋に入ったんですけど、本田さんから“子供たちに絶対に負けられへんぞ”という言葉をいただいて、しっかりアップしました。プロはこれぐらいやれないとダメなんだよっていう姿を見せられるように意識しました」(宇佐美)