40歳を越えるプロダンサーの踊りに心をつかまれたのを、今でも覚えている。ダンスの魅力にはまった瞬間だった――日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」にはそんな個性豊かなダンサーたちを擁するチームが、14チームもある。特にSEGA SAMMY LUX(セガサミールクス)は2020年の開幕初年度から参戦する人気チームで、拠点を置く品川区での地域活動も盛んだ。連載でセガサミールクスの魅力を特集する。第1弾では、東京ガーデンシアターのステージに立つまでの練習に迫った(取材日:2月19日)。
スタジオで聞こえてきた会話
「この動き、面白そうだね!」
「サス(※1)の動きに僕らがついて行く?」
「一回、音(=演目で使う楽曲)聞かせてください!」
※1.サスペンションライトの略。ステージの天井から吊ってある特定の人物に当てる照明器具のこと

練習中はダンサー同士の会話が響き渡る‐Journal-ONE撮影
都内にあるダンススタジオで、練習に打ち込んでいるプロダンスチームの様子を見ていると、ダンサーたちからいろいろな会話が聞こえてきた。振り付けや動きのアイディアを出し合いながら、次の公演に向けて作品を形作っている真っ最中だった。
会話の主役たちは、日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」に参戦中のSEGA SAMMY LUXである。2020年に9チームで開幕したD.LEAGUEは、昨秋から始まった24-25シーズンで14チームが参戦する規模に成長している。有明にある東京ガーデンシアターをメイン会場に、ラウンドと呼ばれるレギュラーシーズンの公演が今シーズンは14度あり、ラウンドごとに各チームがマッチと呼ばれる試合へ臨む。1チームがダンスを披露する持ち時間は、2分から2分15秒。8名のダンサーが作品を披露し、マッチごとに5つの審査項目とオーディエンスジャッジの全6項目で勝敗が決まる。優勝決定戦のチャンピオンシップに進めるのは、上位6チームだけだ。
ただ、結果以上に個性豊かなダンサーたちがひとつになって踊る様子には心揺さぶられるものがある。
その最高峰のステージへセガサミールクスはリーグ開幕初年度から参戦しており、レギュラーシーズンで優勝経験もある人気チームだ。今シーズンは、90年代初頭から日本のヒップホップ・ダンスシーンを牽引してきたU-GE(ユゲ)がチームディレクターを務め、12名のダンサーが所属している。その顔ぶれは多彩だ。

撮影したパフォーマンスを確認しながら進めていく‐Journal-ONE撮影
最年長43歳のCanDoo(キャンドゥー)は見る者の心をガッチリとつかむダンスが印象的であり、冒頭のエピソードは彼によるもの。リーダーのTAKI(タキ)をはじめ11名のダンサーは平均年齢が22歳と若く、華のある面々がそろう。セガサミールクス入りをきっかけにプロになったメンバーも多く、成長が楽しみなダンサーばかりだ。
生みの苦しみのほうが多いけど…
そんな彼らは、本番ステージと同じサイズにテープが引かれ、同じフロア素材が使用されたダンススタジオで練習をしていた。訪れた日は、ジャズの楽曲に載せて『Glide or Slip』をテーマに踊るラウンド.9(2月27日)に向けて作品を制作をしているときだった。
ディレクターのU-GEにラウンドに向けた作品作りの流れを聞くと「基本的には僕が作品のお題を考えて、そのお題に沿ってみんなとすり合わせをしながら、ダンサーたちとともにダンスに落とし込みます。作品の中身作りは、ダンサーを軸に進んでいきます」とのこと。ラウンドによっては振り付け師などを起用する場合や、ダンサーたちがお題を発案する場合もあるが、いずれにせよチームで試行錯誤していく。

チームを率いるU- GEさん‐Journal-ONE撮影
当然、時には上手く作品作りが進まないときもある。TAKIはリーダーとして「制作の流れが悪くなったら、一度練習の様子を客観視するようにしています。スタジオが広く見える場所に座って全体を見渡したり、とりあえずやってみようよとみんなに声を掛けたり、普段からするようにしてますね」と話す。生みの苦しみのほうが多いそうだが「だからこそ何か良いものが練習中に生まれたら嬉しい」とも明かしてくれた。

俯瞰して見ることが自分たちで作品を創るうえで大切だと話すTAKIさん‐Journal-ONE撮影
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