宇都宮を象徴する春の風物詩
3人制バスケ・3x3(スリーエックススリー)は国際バスケットボール連盟(FIBA)が、3on3(スリーオンスリー)の名で親しまれてきた3人制バスケを世界統一のルールをもとに競技化。2010年にスタートした新しいバスケットボールである。2021年の東京五輪で初のオリンピック正式種目になり、昨夏のパリ五輪では現地で20万人以上が見たと言われている。2028年のロサンゼルス五輪では出場チーム数が男女各8チームから、12チームに増えることも決まった。
そんなワールドワイドに発展している3x3で、世界的に注目されている都市が栃木県宇都宮市だ。2016年から「FIBA 3x3 ワールドツアー宇都宮マスターズ」という3x3のクラブチーム世界No.1を決めるツアー戦の宇都宮大会を7度開催。2022年大会からは「FIBA 3x3 ワールドツアー宇都宮オープナー」として、シーズンの大事な開幕戦を務めている。

神社の一角に建てられた壮大なコートー@FIBA.com
今回は、4月26日(土)に開幕する2025年大会へ出場するUTSUNOMIYA BREX.EXE(ウツノミヤ ブレックス エグゼ)所属の齊藤 洋介に、大会の魅力を訊いた。YOSK(ヨースケ)のニックネームで愛されるベテランは、宇都宮大会に過去4度出場。海外で開催される3x3の大会にも数多く出場し、最新の3x3日本ランキングでも2位(4月14日時点)を誇る。餃子に負けない、まちを象徴する春の風物詩に迫る。
選手が熱狂の中で戦える「華やかな舞台」
―― 宇都宮で開催される3x3クラブ世界一を決める大会に、4度出場されました。大会の魅力をどう感じていますか。
YOSK)世界トップクラスのチームと、ホームで戦える最高の大会ですね。日本だと子どもの頃に5人制バスケからはじめる子が多くて、NBAなどを見るうちにアメリカやヨーロッパは強いと思うでしょうが、3x3だと日本人選手もそういった国々の出身選手たちと対等に戦えます。そんな競技の魅力を一番肌で感じられて、お客さんの熱狂の中で世界と戦える華やかな舞台が、宇都宮オープナーだと思います。

普段見ているバスケとは全く違う、新感覚のスポーツだ‐@FIBA.com
―― 2018年7月に初出場した宇都宮大会のことを覚えていますか。
YOSK)覚えていますよ。でも、あの時は僕が信州ブレイブウォリアーズで5人制のプロ選手を引退して、3x3に転向した1年目でした。だから、もう大会の凄さも分からずに、何かを感じる余裕もなく、出ていました(笑)。しかも、台風みたいな風が吹き荒れた日に、こんな過酷な状況でシュートを決めなきゃいけないのかよ!と思ったのが感想でした(笑)。
―― その後、コロナ禍を経て2022年に再び開催された宇都宮大会で2度目の出場をされました。オープナーというシーズンの開幕戦として位置付けられて注目を集めましたが、声援が選手の背中を押してくれる感覚は得られるようになりましたか。
YOSK)そうですね。宇都宮の皆さんが集まってくれて、本当に応援してくださったと感じています。でも、お客さんの入りは予選の土曜日よりも、決勝トーナメントが開催される日曜日のほうが多いんですよ。僕らは2018年に続き、2022年も予選で負けてしまって日曜日に進めなかったんです。ホームの僕らだけ唯一、声援を力に変えて勝てるチャンスがあるのに、2日目に残れないのは宇都宮にとっても、僕らにとっても良くない。何とか2日目に行きたいという気持ちがより強くなりました。
昨年は「“超”思い出に残る」大会に

鮮やかな青のユニフォームで試合に臨むYOSK選手たち(右)-@FIBA.com
―― そんな中で2023年は、初日で日本のチームを破って1勝1敗で予選を突破。2日目に初めて行きました。
YOSK)やっと2日目の、より大きな声援を浴びることができてホームの力を感じました。チームは僕が所属していなかった2016年大会も含め、ブレックスとして4度目の挑戦でようやく決勝トーナメントに進めたんです。
―― 去年は、ヨーロッパの強豪チームから宇都宮で初めて勝利をもぎ取って、2年連続で決勝トーナメント行きを決めました。大接戦の試合で終盤に19-19の同点から、2ポイントシュートが決まってKO勝ちするという鳥肌が立つような試合だったと感じています。

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[写真]=Nobuhiro Fukami