モロッコ王国が誇るアルガンオイルに迫る!
日本から11,630㎞離れたアフリカ大陸の北西端に位置する“モロッコ王国”(以下モロッコ)。Journal-ONE編集部は2024年夏のある出会いをきっかけに、モロッコ大使館との絆を深めており、そこから大使館ご協力のもと、モロッコと日本の関係を紹介するべくモロッコ特集を行っています。
前回の記事ではモロッコの食文化を紹介すべく、大使館のモロッコ人ご夫妻と共にモロッコで親しまれている料理を紹介。そして迎えた第3弾のテーマはモロッコでしか作られない“アルガンオイル”。一体どんなオイルなのか、その謎を解いていきます!

前回は、日本に住んでいるベルバシール夫妻にモロッコ料理を紹介していただきました‐Journal-ONE撮影
地中海と大西洋に面し、アトラス山脈という高い山があるモロッコ。アトラス山脈のサハラ砂漠側には雨がほとんど降りませんが、反対側の湿った風が入るところに “アルガンの森” があります。地中7メートル以上も深く根を伸ばし、丸1年以上雨が降らなくても枯れないと言われるアルガンの樹は、この地域にしかない植生に基づいた生育環境の中で育っているモロッコ固有の樹木です。

モロッコの地図ーモロッコ王国大使館提供
アトラス山脈、地中海や大西洋などの様々な自然に囲まれたモロッコの南西部、サハラ砂漠の北端にある”アルガンの森”にしか生息しないアルガンの樹。アルガンオイルはその種子から採れる希少なオイルであり、実は健康と美容の両面で世界的に注目されていることを知っている人はまだ少ないのではないでしょうか。
今回はモロッコが世界に誇る希少な特産品“アルガンオイル”について詳しく知るため、モロッコ大使館に紹介していただいた茨城県にある国立大学法人筑波大学にやってきました。
“研究学園都市・つくば”の中心に、2,577,286㎡の広大なキャンパスを有する筑波大学は、この春から秋篠宮家の長男・悠仁さまが学ばれている大学として話題になっています。
その一角、学内共同教育研究施設にある“地中海・北アフリカ研究センター”を訪ね、アルガンオイルが繋ぐモロッコと日本の絆について話しを聞きました。

茨城県にある筑波大学に伺いましたーJournal-ONE撮影

様々な研究センターが集まっていますーJournal-ONE撮影
世界に先駆けるアルガンオイルの研究について
研究室を訪ねると、生命環境系・教授の礒田 博子博士と卒業生のメリエム・ボウホウト(Meryem Bouhoute)博士が笑顔で迎えてくれました。地中海・北アフリカ研究センター長の礒田教授は、2005年からモロッコを訪れてJST-JICA共同事業 STTREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム[対象国:モロッコ王国・チュニジア共和国])の代表研究者を務め、アルガンオイルをはじめとする地中海の食薬資源の機能性について研究を行っている第一人者。

礒田先生にアルガンオイルについて詳しく説明いただきましたーJournal-ONE撮影
そしてメリエムさんはSTTREPS事業による奨学生として筑波大学で博士号を取得し、礒田教授と共にアルガンオイルの機能解析と有効利用に関する研究。モロッコの優れた若手研究者に授与される賞である“ヤングリサーチャーファーストアワード”も受賞した将来が期待される方なのです。
お二人がどんな研究をしてきたのか、そしてその研究で分かったアルガンのパワーを今回は時間が許す限り、たくさん教えていただきました。
はじめに、アルガン研究を始めたきっかけを礒田先生に聞いてみると「地中海の食薬資源の一つとして、モロッコにしかないアルガンオイルに着目しました。アルガンオイルをモロッコの人たちが食用だけでなく、化粧品として顔や髪に塗ったり、湿疹などの皮膚薬としても使用する伝承薬効を持った素材に興味を持ったこと、そしてアルガンオイル抽出に伴う副産物が多く廃棄されているのでその有効利用に取組むことがきっかけでした 」と教えてくれました。
