すると前半21分、敵陣10m付近でのスクラム(この試合5回目)からボールを展開した埼玉WKは、PR(プロップ)稲垣啓太の中央からのアタックを起点に攻撃。S東京ベイのディフェンスを中央に引き付けると、一気にボールを左に展開して最後はFB(フルバック)山沢拓也がパスを受けてトライ。Gも決まって14-7と再び埼玉WKが勝ち越しに成功した。
再びハーフウェイライン付近での攻防が続く。スクラムでの主導権争いは激しさを増し、スクラムアゲインで組み直しとなると、今度はキックを使った空中戦による陣取り合戦を展開する。これでも両者チャンスを掴めないまま時間が進む。

二桁を越えるスクラム戦は両チーム一歩も譲らず‐Journal-ONE撮影
すると前半30分、埼玉WK陣5m付近でのスクラムからボールを奪ったS東京ベイ。得意の縦へのアタックで攻め込むと、今度は細かくパスを繋いでWTB(ウイング)根塚洸雅が左隅へトライ。難しい角度のGをフォーリーが決めて、またもやS東京ベイが14-14の同点に追いついた。

根塚洸雅のトライで再び追いすがるS東京ベイ‐Journal-ONE撮影
その後は三度、ハーフウェイラインを挟んでのスクラム攻防が続く両者。ここでペナルティを得たS東京ベイが、敵ゴールライン7m手前からのラインアウトを獲得し逆転のチャンスを掴むも、埼玉WKのディフェンスが踏ん張りこのピンチを切り抜ける。
そして膠着状態が続いた前半35分、敵陣10mラインから細かいバスを繋いで前進した埼玉WKがフェーズを重ねる。3分以上続いた連続攻撃は、WTB長田智希の左サイドからの切り込みで結着。S東京ベイを突き放すトライを挙げた埼玉WKが、前半終了直前に19-14とリードを奪いハーフタイムに入った。

満員のバックスタンドからも交互に声援が送られた‐Journal-ONE撮影
息つく暇ない攻防の結着はラスト1分
S東京ベイのキックオフから始まった後半も、ハーフウェイラインを挟んでの主導権争いから始まった。キックの応酬からこの試合8回目、9回目とスクラムを組むもスクラムアゲインが続き、両者相譲らず。決定的なチャンスを作りきれない展開が続く。
この状況から抜け出したのは後半10分の埼玉WK。敵陣15m付近のゴール中央でオフサイドからペナルティを得ると、この試合初めてショットを選択。このPGを山沢京平が落ち着いて成功させ、22-14と埼玉WKが突き放しに掛かった。

山沢京平のPGで突き放す埼玉WK∸Journal-ONE撮影
しかし直後の後半12分、S東京ベイも敵陣22mラインを越えてスクラムを組むと、埼玉WKがニーリングでペナルティ。ここでショットを選択したS東京ベイは、フォーリーの正確なキックで22-17と点差を詰めて離れない。
ここからは、両チームのディフェンスが光り試合を一層の膠着状態にする。二度のスクラムから出たボールをパスカットするS東京ベイに、アタックを重ねるオフェンス陣からスティールする埼玉WK。息を突かせぬハイレベルな攻防に、スタンドからは両チームの選手たちに大きな拍手が送られる。
決定的なチャンスを得られない両チームの均衡がわずかに崩れた後半24分、ついに右サイドラインで得意のモールアタックに挑んだS東京ベイに光が差した。スパイクも脱げ落ちる激しいアタックを一度は防いだ埼玉WKだったが。ここから一気にパスを繋いだS東京ベイが後半26分、FB押川敦治が埼玉WKディフェンスラインをすり抜けてトライを挙げと、Gも決まり24-22とついに試合をひっくり返した。
モメンタムを得たS東京ベイは後半28分にさらに攻め込む。敵陣10mからのスクラムでアーリーエンゲージのペナルティを得ると、ラインアウトで埼玉WKのゴールラインに迫る。
しかしこのピンチを凌いだ埼玉WKが後半31分、自陣5mでの13回目となるスクラムから、素早いアタックで敵陣22mラインを越えて攻め込む。この連続アタックから後半34分、ゴールライン前まで迫った埼玉WKは途中出場のオッキー・バーナードがS東京ベイのタックルを飛び越えて逆転トライ。山沢京平のGも決まって29‐24と、土壇場で埼玉WKが再逆転に成功した。