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「地域ごとの実状を踏まえた上で、“生徒のスポーツ権” の確保を最大の目的として。生徒がスポーツの目的・嗜好・技能等に応じて、自らが行いたいスポーツに親しむことができる環境を整備する。中学生の生徒にとって相応しいスポーツ環境の構築が、他の世代にとっての地域スポーツ環境の改善につながるように環境を整備する。」と、友添会長はその波及効果についても言及します。

子ども達のためにスポーツ環境を再構築することが、私たち全ての世代がスポーツを楽しみ続けることが出来ると言うことなんですね。

賛否両論と言うことで、先ずは部活動の良さとして “全ての生徒に参加選択権が保障されている公平性” “参加費が無料で経済的な負担が少ないこと” “正規教員の責任下で指導に当たることによる安心感” などを挙げる一方、「国は学校の本来業務に部活動が該当していないことを明言している。」と、実は部活の法的位置づけが曖昧でるという驚きの実態を話してくれました。

更に、中学校部活動顧問の現状について調査した結果でも驚きの声が上がります。

「部活動の顧問に携わる教員の45.9%が体育教員以外であり、現在指導している競技の経験が無い。それ故、39.5%が自分自身の専門的指導力の不足を感じていたり、公務が忙しくて思うように指導できないと25.6%の教員が回答している。」と、指導する教員のご苦労をうかがわせる数字が出てきます。

「9割近くの学校が、部活動の顧問になることを勧めており、教員が部活動に費やす時間は平均で、平日1時間、土日で3時間。中でも毎日指導している教員の学校滞在時間は、平均で何と11時間55分です。就寝や食事、通勤時間を含めると殆ど自分の時間が無いということになります。」と、教員の逼迫する労働環境について数字を挙げて説明する友添会長。

また、中学校の生徒数と部活動数の推移も紹介します。

「2004年から2016年の12年間で、毎年1万人、合計で12万人の生徒数が減少していますが、運動部の数は男子65,000、女子57,000からそれぞれ僅か2,000部程度しか減っていません。これにより、ひとつの運動部あたりの所属生徒数が大幅に下がっているということが分かります。そのような状況下でも、教員の皆さんが部活動の維持に踏ん張ってきたことが言えるのではないでしょうか。」と、現場の教員の奮闘ぶりに敬意を表する一方で・・・

2001年から2020年の間で、部活動を行う生徒の数が、全国で70万人も減った(263万人から193万人に減)こと。それが単なる少子化の影響だけではなく、主に女子生徒を中心にスポーツに興味はあっても部活動に参加しない数が増えていること。友添会長は、「運動部や地域のスポーツクラブに所属していない中学生が運動部活動に参加したいと思う条件として、好きな、興味のあるスポーツを友だちと楽しく、自分のペースで行うことが出来るのならばやってみたいと言う声が多く、特に女子中学生の6割前後が男子でも4割がそういったニーズがある。」と、生徒側の嗜好の変化にも目を向けます。

少子化、教員の多忙化と疲弊で生徒のニーズに応じた部活動自体が成り立たなくなっているという課題を分かりやすく数字を見立てて説明することで、部活動の改革が待ったなしであることが良く分かりますね。

「こういった状況を踏まえた上で、運動部活動の地域移行に関する検討会議提言では、少子化の中でも将来にわたり我が国の子どもたちがスポーツに継続して親しむことが出来る機会を確保しようという立場の下で、“楽しさ” “喜び” というスポーツの本質論に立とう。地域の持続可能で多様なスポーツ環境を一体的に整備し、単なる水平移行ではない、子どもたちの多様な体験機会を確保しよう。そのためには、スポーツ団体等の組織化、指導者や施設の確保、複数種目の活動機会も提供しよう。」と、ここまでの提言は実態との強い関連性があってのことだと話します。

では実際に、休日の地域スポーツクラブ活動はどのように変わっていくのでしょうか?

友添会長は、市町村が運営団体の場合、民間団体が運動団体の場合、そして学校部活動の地域連携として整理した後に民間に移行していくといケースといった3つのモデルケースを挙げて移行イメージを図示します。

ただし、地域移行に際しての課題もあるようです。

「地域での受け皿をどうするか? 教員に頼らない指導者をどう確保するか? 学校施設を出来るだけ活用できるか? 大会に参加できない問題、会費の問題、保険加入などの安心安全の問題、運営団体と実施主体、予算の問題など・・・まだまだ解決すべきことはあります。」と友添会長は更なる課題を挙げます。

部活動の在り方については、随分前から問題視されていました。「運動部活動については、徐々にその課題を提起してきました。2018年に運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを出して、学校単位から地域単位に移行しなければならないと少しだけ書いていた。そして2020年には学校の働き方改革を踏まえて地域スポーツの地域移行が名言化された。そして2022年12月には学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的ガイドラインが出た。これからもさまざまな意見やアイデアを出していただいて、議論しながら進めていきたい。」と話す友添会長。

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