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Journal-ONE | 第96回センバツ高校野球 低反発バット
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プロ野球は木製バットにかかわらずその2倍以上の頻度で本塁打が出る。そんな高校野球が「飛ばないバット」に切り替わったのだから、さらに本塁打は減り、ロースコアゲームも増える。1回戦の16試合を振り返ると、完封が4試合で、9回で決着がつかずタイブレークとなった試合も3つあった。

低反発バットで本塁打を打てば本物

たとえ延長までいかなくても、「最後まで分からない」展開は確実に増えていた。必然的に守備のミスが命取りとなりやすくなり、堅守の必要性も高まる。長打が減る分、球速が低くても制球力が高い「打たせて取る技巧派投手」の価値が上がる印象も受けた。

相手の守備位置が浅くなるため「2塁に走者を進めても、ワンヒットで生還させられない」ケースも増えていた。そうなると無死1塁でとりあえずバントという高校野球のセオリーも無効化される。今回の大会で様々なデータが収集され、高校野球の常識を変えるのだろう。

Journal-ONE | 第96回センバツ高校野球 低反発バット

創設100年を迎えた阪神甲子園球場-スポーツ企画工房撮影

何より本塁打が減った。1回戦の16試合を終えた段階で、柵越えはモイセエフ・ニキータ(豊川)、正村輝大(神村学園)が放った2本にとどまっている。しかもこの2本は「ライトポール際にぎりぎり」で刺さった最短距離の当たりだった。

ただし、この2人はいずれも「プロ注目」の左打者だ。モイセエフは180センチ・82キロの登録だが、神宮球場の通路ですれ違ったときの「目測」は185センチ前後。走塁、送球のレベルも高く、仮にプロ志望届を出せば上の順位でプロから声がかかるレベルの外野手だろう。正林も昨夏の甲子園で「2年生の4番」として4割を超す打率を残し、ベスト4入りに貢献した外野手。やはり大会前から注目されている逸材だった。

野球ファンとして慣れ親しんだゲームが変わる寂しさはある。とはいえ、選手や指導者はそこに適応して、新たなスタイルにたどり着くのだろう。

新基準バットで本塁打を打てば本物――。まずはそんな逸材探しの新基準が生まれた、2024年の第96回選抜高等学校野球大会だった。

■記者プロフィール
大島 和人
1976年に神奈川で出生し、育ちは埼玉。本籍地は和歌山で、現在は東京都北区に在住する。2010年からライター活動を開始し、全国津々浦々に足を運んでいる。
主な取材対象はバスケットボール、サッカーだが、野球やラグビーも守備範囲。取材の疲れをスポーツ観戦でいやす重度の観戦中毒でもある。
軽度の「乗り物好き」でもあり、お気に入りの路線バスは奈良交通「八木新宮線」、沖縄バス「名護東線」と今はなき宗谷バス「天北宗谷岬線」など。
取材・文:
大島 和人( 日本 )
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