2023-24シーズンは、”Bリーグ”が誕生して8シーズン目。3部にあたるB3リーグは、5月25日に愛知県稲沢市の”豊田合成記念体育館エントリオ”で”B3リーグ令和6年能登半島地震復興支援チャリティオールスターゲーム2023-24″を開催した。
BリーグのオールスターにはシーズンによってB2クラブが参加したこともあったが、現在B1・B2リーグと別組織で運営されているB3にとっては、これが初開催。ほとんどのクラブ・選手にとっても初めての舞台となった。
能登半島地震がきっかけとなったオールスター開催
その契機となったのは、1月1日に発生した”令和6年能登半島地震”だ。石川県七尾市を拠点に活動する”金沢武士団”(かなざわサムライズ)は約3週間の活動停止を余儀なくされ、リーグ戦も8試合中止に追い込まれた。リーグ戦復帰後も、被災状況によってホームゲーム開催が不可能な体育館もあったが、そこで助け舟を出したのが”豊田合成スコーピオンズ”。
2月9日・10日に石川県内で予定されていた試合を、愛知県で開催される豊田合成のホームゲームと共同開催にしたのである。そして、2月9日夜に開かれたリーグ・各クラブ関係者の懇親会でオールスター開催の話が持ち上がり、トントン拍子に決まったという。
収益は石川県バスケットボール協会に寄付されるチャリティオールスターとして開催することとなり、連絡を受けて感極まったという金沢の中野秀光代表は、Bリーグ以前に存在した日本初のプロバスケットボールリーグ”bjリーグ”の代表を務めていた人物。今回の開催に関し、「震災は確かに不幸なことではあるものの、逆に絆を深めた形になりました。やっぱり日本人は優しいですね」と感慨深げに語る。
リーグではなく各クラブが主体で運営
「通常はオールスターというとリーグが主導で、私もbjリーグの時はそうでしたが、今回は主軸が各クラブの皆さんなんですよ。今朝、みんなが設営のために集まって、かけ声を出したりハドルを組んだりという光景は今までなかったので、本当に素敵だなと思いました。B3は各クラブのフロント同士が情報交換をする機会がありそうでなかったですし、震災はいろんなところに良いきっかけを作ってくれたと思います」。
完全プロリーグであるB1・B2リーグと異なり、豊田合成のような企業クラブも参戦できるB3はその分、制約もあまり多くない。今回のオールスター開催に際しても、自由度の高い『B3らしさ』を盛り込もうという意図があったと、中野代表は証言する。
「B3は自由感があるので、私たちでなければできないことがある。だからこそオールスターも自分たちのアイディアで一体感を示していこうという話をしていました。Bリーグは拡大路線で、人気もあるおかげで全国にクラブがある状況ですが、B3はまだヨチヨチ歩きなところもあります。この機会は、そこで一枚岩になって、日本のバスケット全体を盛り上げようという機運が感じられました。本当に感謝しています」。
ファンも巻き込んだB3らしい東西対抗企画
『B3らしさ』を追求した結果、このオールスターは全18クラブをEAST(埼玉、東京U、品川、東京Z、立川、八王子、横浜EX、湘南、金沢)と、WEST(福井、岐阜、三重、岡山、山口、徳島、香川、鹿児島、豊田合成)に分け、東西対抗企画として、6つの部門で勝敗が争われることになった。順に
・各クラブのファン・ブースターを対象としたクラブ応援席のチケット販売枚数
・招待された被災地の子どもたちに本戦出場選手を交えて行う混合エキシビションマッチ
・東西3選手ずつが競う3ポイントシュートコンテスト
・本戦のハーフタイムにファン・ブースターが参加するモップがけリレー
・東西別応援Tシャツの販売枚数
そしてオールスター本戦。ファン・ブースターをこれだけ巻き込んで勝敗を競うという点は、B3ならではの試みと言っていいだろう。