リーグ制覇地区屈指の守備力から試合の流れを掴み取った前半戦 – 東地区4位(11勝7敗)
安定した守備力に支えられ、どこからでも得点できる破壊力満点の打撃と、アメリカが誇るAlly Carda(アリー・カーダ)、Jailyn Ford(ジェイリン・フォード)両投手のパワーピッチング。タレント揃いのホンダリヴェルタは昨シーズン、悲願のダイヤモンドシリーズに進出した。
リーグ戦3戦3勝と「この舞台」を想定して結果を出していた相手、王者・ビックカメラ高崎ビークイーンとの対戦となったダイヤモンドシリーズ準決勝は、序盤で自慢の守備力が普段通りの実力を発揮できない予想外の展開に。投手陣もリズムに乗れずに大量得点を許し、悔しいシーズンオフを過ごすこととなった。
捲土重来を期して臨んだ開幕戦は、奇しくもビックカメラ高崎ビークイーンとの再戦。万全の準備をしてきたホンダリベルタだったが、再び意気込みが空回りしたのか、初回に大量得点を許す「ホンダらしくない」試合運びに。
この開幕戦を引きずるかのように、優勝候補の一角であるホンダリベルタは低空飛行の序盤戦を余儀なくされる。続く埼玉県大宮市で行われた第2節では、大型補強で優勝候補に躍り出た戸田中央メディックス埼玉、格下のNECプラットフォームズレッドファルコンズ、大垣ミナモに3連敗してしまう。
自らチームのムードメーカーも務める明るい加藤 一秀監督も、苦しいチーム状況に「確実性を高めるために、ホンダらしい思い切りが見せられなくなっている」と、危機感を募らせていた。
とは言え、勝負勘に長けた選手の多いホンダリベルタは、伝統の堅守に欠かせない “推しのソ” 吉田 彩夏選手が戦線に復帰すると、途端にチームの歯車が噛み合い反転攻勢に打って出る。
5月末の第6節(高崎ラウンド)、前半戦の天王山・ビックカメラ高崎ビークイーンと戸田中央メディックス埼玉の首位対決に割って入ったホンダリヴェルタは、木村 愛選手、山口 未葵選手が2点本塁打を放ちビックカメラ高崎ビークイーンを下すと、続く戸田中央メディックス埼玉戦では、最終回に “推しのソ” 吉田選手が同点三塁打、さらに “推しのソ” 大工谷 真波選手がライトへ技ありのサヨナラ適時打を放ち、息を吹き返した。
吉田選手がショートに復帰し、持ち前の手堅くリズミカルな守備で流れを掴んだホンダリヴェルタは、6月を負け無しの3連勝として前半最終戦のトヨタレッドテリアーズとの対戦に臨んだ。
前年王者、今シーズンもここまでリーグ戦17戦全勝と圧倒的な強さを誇るトヨタレッドテリアーズを相手に、本来の調子を取り戻したホンダリヴェルタは6回までスコアレスという互角の投手戦を見せる。
最終回、2本のソロ本塁打で勝ち越しを許すも、ここまで無失点に抑えられていた日本代表のエース・後藤 希友投手から、大工谷選手のバット一閃。「同点2点本塁打か!?」と思われる大飛球がレフトへ。
この打球を、フェンスに全体重をかけて山田 柚葵左翼手が伸ばしたグラブの先には黄色いボールが。見事に同点本塁打になる打球をもぎ取り、トヨタレッドテリアーズが逃げ切る結果となったが。ホンダリヴェルタ本来の姿を見せ付けて前半戦をまずまずの成績で終えた。
3冠投手の復活がプレーオフ進出の必須条件
昨シーズン、東地区の投手3冠(最優秀防御率賞 1.34、最多勝利投手賞 11勝、ベストナイン)に輝いたフォード投手の復活。これがホンダリヴェルタ、プレーオフ進出への絶対条件となる。
昨シーズン同様、カーダ投手は安定した投球を見せてくれているものの、緊迫した試合が続く中で無難な完投勝利を求めるのは酷というもの。
前半戦、カーダ、フォード投手のUSA二枚看板を支えた、新人・新宮 怜美投手(早稲田大)の存在は心強い。U-19日本代表でも活躍し、JDリーグでも2勝を挙げている新宮投手に期待したいところだが、プレーオフ進出に負けられない戦いが続く戦いで、新生右腕に勝利を託しきるのも勇気の要る選択となる。