オリンピックイヤーに開業した東海道新幹線
パリオリンピックで世界中が熱狂した今夏から、遡ること60年。日本ではアジア初の東京オリンピックが開催され、日本代表はもちろん世界中から集まった94カ国5,500人のトップアスリートたちが繰り広げる素晴らしいパフォーマンスに熱狂。今では日本中でオリンピック種目をはじめとする様々なスポーツが、生活の一部として親しまれている。
この年、東京オリンピックが開幕するわずか10日前の1964年(昭和39年)の10月1日に開業した東海道新幹線。今ではビジネスに観光に、日本人はもちろん世界中から訪れる人たちに親しまれている。1日あたりの利用者は460,300人、東京から博多を結ぶ東海道・山陽新幹線となれば、1日あたり658,500人だ。 (JR西日本コミュニケーションよりデータ引用)
最高速度285 km/h、東京駅 – 新大阪駅間を最速約2時間21分で運行する東海道新幹線。誰もが一度は目にしたことがある、白い車体に青いラインが入ったN700系新幹線は、子供から大人までが目を奪われる世界でも人気の乗り物だ。日本にとって重要な基盤インフラであるこの東海道新幹線が2024年10月で60周年を迎えた。
開業60周年で実現した東海道新幹線とサッカーのコラボ
東海道新幹線が開業60周年を迎えるにあたり、東海旅客鉄道(以下、JR東海)では小学生を対象にしたサッカー教室と鉄道体験ができるイベントを静岡県三島市のJR東海 総合研修センターで開催した。
サッカー教室の講師となるのは地元・静岡県、沼津市を拠点として活動する日本プロサッカークラブ(Jリーグ)に加盟する ”アスルクラロ沼津”。沿線の自治体、観光施設などと地域連携に注力しているJR東海だが、沿線のスポーツチームとの新しい地域連携の取り組みに、静岡県内はもちろん、様々な地域から応募があり、この日は約100人の小学生たちが滅多に入ることが出来ないJR東海 総合研修センターに集まった。
J3リーグ開催中にもかかわらず、この記念すべきイベントに駆けつけたのは、アスルクラロ沼津のキャプテン・菅井 拓也選手、柳町 魁耀選手、日本代表としてアトランタオリンピックに出場しブラジル戦で決勝ゴールを決めた “マイアミの奇跡” の立役者・伊東 輝悦選手と、アスルクラロ沼津サポーターでなくとも注目するメンバーが小学生とその父兄たちを迎えた。
鉄道×サッカーの思わぬ相乗効果
「東海道新幹線開業60周年を記念したこのイベントで、サッカーと鉄道のどちらにも新しいファンがついたら良いと思っています」と話す、JR東海総合研修センター所長・杉山 尚之さんの期待通り、会場に集まった小学生たちの参加理由は様々のようだ。
JR東海総合研修センターは、教室や実習設備などの研修施設のほか、図書館・ 体育館・グラウンド・宿泊設備などを備えたJR東海人材育成の総合拠点。普段は、JR東海の社員、関係者以外は立ち入ることができない “秘密の施設” に参加者のテンションも上がる。
2025年1月で引退することが発表された、JR東海の新幹線電気軌道総合試験車 “ドクターイエロー“ がプリントされた帽子をかぶりサッカーボールを携えた小学生や、アスルクラロ沼津のレプリカユニフォームを着たお父さんと一緒に、車庫に留置されている黄色い保守用車を笑顔で指さすサッカー少年など、鉄道×サッカーのコラボが生んだ普段目にすることのない親子の光景に取材している報道陣からも笑顔がこぼれた。
アスルクラロ沼津の3選手も笑顔
15時からはじまるイベントに先駆け、アスルクラロ沼津の3選手が特別な体験を楽しんだ。
その体験は、東海道新幹線の”車掌体験”。2人が乗務にあたる東海道新幹線の車掌だが、様々な業務の中でもひときわ目に留まるのが、最後尾車両で行うドアの開閉業務。案内された施設の中には実物大の新幹線車両が設置されており、その様子を見た選手たちからは思わず笑顔がこぼれる。