次はボールを使い、短距離でのパス練習へ。少年サッカーチームの仲間数人と参加している子ども、サッカーを初めてやる子ども、1人で参加している子どもと、様々な子どもたちが集まったイベントであったが、すぐに仲良くサッカーを楽しむ姿を見ると、改めてスポーツの素晴らしさに気付かせられる。チームワークが築かれたところで、いよいよ実戦さながらの連携メニューに入っていった。
ボールを奪いに来る相手からドリブルで守るというオフェンス・ディフェンスの練習では、1対1、8人グループ内と子どもたちでのボールの取り合い対決を終え、いよいよアスルクラロ沼津の3選手との対決へ。10秒以内に選手から8人一組の小学生チームがボールを奪うことができれば子どもたちの勝利となる。
先ほど初めて顔を合わせた子どもたちだが、互いに指示を出し合い、フォーメーションを組むなど即席チームを形成してプロサッカー選手に挑んでいく。「負けないように全力で守りました」と、少し息を切らしながら振り返った伊東選手は、見事なフットワークやボールさばきで子供たちを軽快にかわしていく。子供たちが徐々に本気モードに突入すると、最後はコート全面を使って約50人の小学生チームvsアスルクラロ沼津の選手3人の激闘に変っていった。
60周年記念マッチの結果は?
「東海道新幹線60周年を記念して制限時間は60秒です!」と試合開始が告げれると、一斉にアスルクラロ沼津の選手たちに襲いかかる子どもたち。菅井選手が華麗なドリブルで、子どもたち10人あまりの間を切り抜けると、保護者の皆さんから「すごい!」という歓声と拍手が沸き起こる。
伊東選手と柳町選手は、二人でコートを広く使ったパス回しで会場を盛り上げる。グラウンド内には子どもたちだけではなく、近くで観戦する保護者も大勢いる珍しいシチュエーション。しかし、そのような状況でも人と人の間をすり抜け、針穴に糸を通すような正確なパス回しをする伊藤選手と柳町選手のテクニックが、参加した大人も子供も魅了していた。
全てのプログラムを終え、ナイターの明かりが灯った18時頃からは、子どもたちからの質問タイムに。「試合で緊張しますか?」「得意なプレーは何ですか?」と様々な質問が飛ぶ。
「試合が始まる前に緊張することはあるけど、試合中はボールに集中しているので緊張はしません。みんなもそうでしょ?」と伊東選手が笑顔で話しかけると、子どもたちみんなが頷く。
「得意なプレーはシュートです」と柳町選手が答え、「みんなも何でも良いので、得意なことを一つ身につけておくことが大事だと思います!」と菅井キャプテンからアドバイスを受けた子どもたちは嬉しそうに「はい!」と力強く答えていた。
たくさんの笑顔を生んだ新たな取り組みの先
「今回のイベントは、広い地域から様々な子どもたちが参加してくれて本当に良かった」と話す、アスルクラロ沼津の高島社長。「サッカーが盛んな静岡県ですが、サッカーチームも多くある激戦地域です。これを機会にアスルクラロ沼津を知っていただけると嬉しいです」と、笑顔でサインに応じる選手たちを見ながら期待を寄せていた。
鉄道とサッカーの東海道新幹線60周年コラボは、地域に笑顔を育む新たな交流を生んだ。新たな地平を目指し、初のJ2昇格に挑むアスルクラロ沼津と、東海道新幹線60年の歩みを活かして、リニア中央新幹線という日本の大都市圏を結ぶ新たな交通網の整備に挑むJR東海。
新たな夢を追うスポーツチームと鉄道会社の連携が、夢を追う子どもたちはもちろん、地域の皆さんにこれからも素敵なギフトを贈り続けてくれるだろう。