金井:「柄と茎を固定するために用いられる小さな金具です。滑り止めと手溜まりを良くする機能を備えていた一方で、時代が下るにつれて装飾性が高められ、縁起の良い動物や植物など、様々な意匠が施されるようになりました」と重田さん。目貫は日本刀の中心線に正確に付けられていて、この中心線のことを “目貫通り” と呼ぶのだそうです。そういえば、市街地で最も人通りの多い中心的な通りのことを “目貫(目抜き通り)” と呼びますが、この言葉も由来は豪華な装飾金具の “目貫” から来ているのですって!現代で私たちが何気なく使っている言葉にも刀剣の部位があるとは驚きです。
いよいよ甲冑を着てみる
竹内:いよいよ私が最も楽しみにしていた甲冑を着る体験です。遠州掛川 鎧屋さんは、現代甲冑、武具、模擬刀、居合刀、時代小道具、戦国グッズ、幕末グッズ、忍者グッズ、日本のお土産など3,000点以上の品ぞろえを誇ります。その中でも、甲冑や時代衣装、忍者衣裳で掛川城をバックに記念撮影ができるサービスはここ掛川ならではの体験です。
金井:「テレビドラマの撮影、イベントや結婚式などにレンタルもしています。徳川家康の甲冑などは、大河ドラマ “どうする家康” で松本 潤さんも着ていました」と、紹介されたのは黄金色に輝く “金陀美具足” です。10代の頃の家康公が、桶狭間の戦いの前哨戦で身に着けたとされる金陀美具足のお値段は何と270万円とのこと!この鎧は、NECプラットフォームズレッドファルコンズが誇るスラッガーの竹内さんに着ていただきましょう(笑)。
竹内: 270万円という値段と、金色に輝く外観に思わず腰が引けてしまいます(笑)。恐る恐る重田さんに着付けていただきます。甲冑を実際に着させていただくと、イメージと装着感が全然違います。大部分は固く守られているのですが、関節の部分はとても動きやすく機能性に優れているなと感じました。「この金陀美具足は一見絢爛豪華ですが、決して贅を尽くした物ではなく、素材などは一般武士と同等の物を用いていたと言われています」と重田さん。なるほど、実戦での使用に耐えられる実用本位で仕立てられた甲冑だったのですね。
金井:とにかく緩やかなカーブを描いた様々な部品が組み合わさっているので、身体にとてもフィットします。「円は接点が点になるので、刀や槍の突きが刺さりにくいのです」と、重田さんが装着感と防具としての機能性を兼ね備えた甲冑の特徴を教えていただきながら着付けてくれます。脛当ては、私たちが自打球よけで使うレッグガードに似ていますが、甲冑の方が軽くてフィット感があります。試合でこの脛当て使いたいなぁ(笑)。
竹内:金井さんが着る甲冑は、紺色の落ち着いた色合いが素敵ですね。兜の後立にある金箔貼りの飾りはインパクト抜群です。神社の祭祀で神官さんが持っている御幣のようなデザインですね。「こちらは、掛川城主だった戦国武将・山内 一豊の甲冑です。後に土佐国(高知県)の大名に出世した山内 一豊のように、ソフトボール界でも大成功してください」と、重田さんが笑顔で金井さんを激励しながら着付けしています。因みに山内 一豊の甲冑も110万円なんですって!
掛川城をバックに最高の思い出作り
金井:着付けをしていただき、私たちもすっかり戦国武将の気分です。模擬刀も貸していただき、いよいよ掛川城をバックに記念撮影に向かいます。現代用に軽く作っていると聞きましたが、歩いてみるとやはり甲冑は重いです・・・