小学生くらいのお子さんを連れたファミリー、20代前半のカップル、富樫選手の応援グッズを手にした女性3人組、シニアのご夫婦は「創設(2011年)以来ずっと応援している」という筋金入りの船橋市民もいてファン層の広さに目を見張った。
「試合開始2時間前に、これだけ観客がいるとは」と驚いたが、来場者数10,358人という結果を聞いてさらに驚いた。これは、千葉ジェッツの人気の高さに加え、JR南船橋駅から徒歩圏内という立地の良さ、新アリーナの話題性も大きな要素となっているだろう。
選手入場時や試合開始直前のスターティング5発表時には、巨大スクリーンや照明、コンサート会場としても使用されるだけあって音響もライブ感満点。千葉ジェッツの試合を盛り上げるフライトクルー(チアダンスチーム)”STAR JETS“の華やかなパフォーマンスも、観客の目をコート上に惹きつける。
そして何よりもファンを喜ばせていたのが、コートに入れるイベントが用意されていること。選手入場時のエスコートキッズはもちろん、応援パフォーマンスに長けていたファンがコート上に降り立ち、景品を掛けたフリースローに臨むイベントでは、我も我もと選ばれるために一生懸命応援パフォーマンスを繰り広げていた。
さらに試合後には、地元・船橋で選抜されたU12の男女チームが近接する千葉県の印旛選抜とエキシビションマッチを開催した。憧れのBリーグ、地元の千葉ジェッツが熱戦を演じた「聖地」でプレーができるとは、何とも夢のある催しだろうか。この経験が、子どもたちのさらなるバスケットボールへの意欲を掻きたてると共に、大人になっても千葉ジェッツを応援していくマインドを醸成することにも役立つだろう。
選手のモチベーションも上げる
しかし、残念ながらこの日の試合は怪我で渡邊 雄太選手を欠いた千葉ジェッツにとって苦しい結果となった。
東地区3位に着ける”群馬クレインサンダーズ“を迎えた一戦は、第1クォーターこそ21-16と順調にリードを奪ったものの、第2クォーターに入ると相手の積極的なオフェンスに抗えず5-18と大きく差を広げられ、26-34のビハインドで試合を折り返す。
第3クォーターでは、「流れを変えなければ」とTrevor Gleeson(トレヴァー・グリーソン)ヘッドコーチ話したオールコートディフェンスで、14-12と反撃を開始するも、第4クォーターでは群馬のTrey Jones(トレイ・ジョーンズ)選手を中心に得点を許し、最終スコア53-71と大差を付けられた。
怪我の影響で満足なラインが組めなかったとは言え、「1万人のファンに無様な試合は見せられない」と、この日チーム最多の14得点を挙げた金近 廉選手が悔しさを滲ませれば、「富樫さんに頼り切りは申し訳ない。たくさん観に来ていただいたファンのためにも、もっと精度を上げなければ」と、12得点を挙げた小川 麻斗選手も更なる成長を誓う。
選手からこのようなコメントが出てくることを見ると、多くの観客が来場する環境が選手たちのモチベーションを上げ、日本バスケットボール界のレベルアップにも貢献するのではないだろうか。
バスケットボールが地域にもたらすもの
年明け1月19日(日)には、”りそなグループ B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2025″が、ららアリーナ東京ベイで開催される。
この週は、1月18日(土)に”B.LEAGUE ASIA RISING STAR GAME”、19日にも”インフロニア B.LEAGUE U18 ALL-STAR GAME”と世代を超え、国を超えたファン獲得を狙うB.LEAGUEの中長期的な戦略が見て取れる。
地域のインフラ整備が街に新たな価値を生み、その住民はもちろん周辺地域の住民にとって「地域自慢のスポーツチーム」の活躍が地域のアイデンティティを創る。子どもたちが憧れ、世界各国のプレーヤーたちが憧れるリーグが日本バスケットボールのレベルを押し上げる。