自信を持って世界陸上のメダルに挑む
1時間26分33秒という記録は、条件こそ異なるとはいえ、パリ五輪のメダルライン（3位：1時間26分25秒）に迫るもの。5km以降を単独でレースを進めたうえで、昨年大きく急落したラスト3kmを含めた最後の5kmで大きくペースアップ。最速ラップとなる21分26秒で押しきってのフィニッシュは、山西同様に、『進化』と呼べる成長ぶりだった。
序盤から先頭に立った藤井は、5km以降を独歩。最後の5kmは21分26秒にペースを上げて押しきった-児玉育美撮影
「これで自信を持って“メダルを狙う”と言える」と藤井。26歳になって迎えることになる東京世界選手権では、ジュニア時代からライバルとして競い合ってきた他国の同世代選手たちと、メダルを巡る戦いに挑む。
分厚い日本競歩の選手層、2人に続く選手も
代表選考基準において、最も優先順の高いこの大会では、即時内定に至らなくても、3位以内に入ることが大きな鍵を握る。6位までが派遣設定記録をクリアし、入賞となる8位までが2時間18分台で世界陸連が設定する参加標準記録（2時間19分20秒）を突破するレベルの高さとなった男子。
内定した山西に続いたのはベテランの丸尾。序盤から先頭を率いてハイペースをつくりだし、1時間17分24秒という好タイムをマーク。20kmでの出場をほぼ確定させた。
実は丸尾は35kmを主戦場とする選手。ロンドン世界選手権では50km競歩で4位入賞も果たしている。川野が内定している35kmでも、代表入りの有力候補。レース後には、「20kmと35kmの2種目で代表入りを目指す」と頼もしい言葉を残している。
丸尾に続いて3位に食い込んだのは若手の吉川絢斗。先頭集団でスタートしたものの、「これは速すぎる」といったん後退して順位を上げていくプランに変更したことが功を奏した。自己記録を大きく更新する1時間17分38秒でフィニッシュし、自国開催の世界選手権代表の座を大きく引き寄せた。
8位までが1時間18分台。2位・3位を占めた丸尾・吉川は、世界選手権代表入りに王手を変える形となった-児玉育美撮影
女子では、藤井が日本記録を更新したことによって、前日本記録（1時間27分41秒、2019年）保持者となった岡田久美子が、セカンドベストの1時間28分17秒をマークして2位に。世界陸連が設定する参加標準記録（1時間29分00）を突破して、代表入りの必要条件を手に入れた。
世界大会には2015年北京世界選手権に初出場して以降、五輪、世界選手権の代表入りを続けてきた選手。女子35kmでも日本記録（3時間 44分11秒）を持つほか、昨年のパリ五輪では初採用となった男女混合競歩リレーで8位入賞を果たしている。
「これまで何度も『集大成』と言ってきたけれど、今回が本当の集大成（笑）。国立競技場で皆さんの応援を受けて、幸せな気持ちでゴールしたい」と岡田。自らが掲げた花道を、入賞という結果で飾ることを目指しての現役最後のシーズンとなりそうだ。
ベテランの岡田はセカンドベストの1時間18分17秒で2位。参加標準記録を突破して、6大会連続代表入りの必要条件をクリアした-児玉育美撮影
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