そんな、関谷と深水らユース選手たちに寄り添うのが、千葉ジェッツユースでディレクターを務める大久保 恭輔(おおくぼ きょうすけ)氏だ。チームの方向性や選手・スタッフの育成に携わる立場にあるが、新卒で入社した当時はU18もU12も無かったころ。それら組織を0→1で立ち上げていったという。「ジェッツ愛がある選手」を育てるべく奮闘中の27歳に迫る。

最後は関谷選手、深水選手二人とも笑顔でインタビューを終えた-Journal-ONE撮影
現取締役へお問合せメールをして入社へ

次に話を聞いたのは大久保ディレクターーJournal-ONE撮影
―― 千葉ジェッツユースに入るまで、どんなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。
学生時代からコーチングの勉強に力を入れていて、自分でU12やU15のチームを立ち上げるなど育成年代に携わっていました。
そんな中で、ヨーロッパにも勉強に行って下部組織から選手が育っていく環境を目の当たりにしたんです。現地の小学生年代の選手たちがやっている練習試合を地元の方が見に来て応援している様子もあって。だからこそ子どもたちがプロになったときには、地元の方も熱量高く応援できるんだなとも思いました。
その環境が、当時の日本のバスケットボール界では無かったんです。将来、私はそういう育成組織を作っていくのを仕事にするのが一番楽しそうだと思って、取締役の佐藤 博紀と話しをする機会をいただきました。当時、千葉ジェッツもユース組織はU15しかなく、佐藤も同じビジョンがあったので“一緒にやらせてください”と言って入社しました。
―― 育成組織作りの0→1を任されたんですね。
U12、U18の開設から携わりました。貴重な経験ができていると思っています。
―― 佐藤取締役とは、どんなきっかけでお話をしたのですか。
私から連絡しました。生え抜きの選手が育って、トップチームで活躍して引退するまでのキャリアを作っていける組織作りをやりたいのですが、やっていますか?という問い合わせをしたと記憶しています。
―― まさか、お問い合わせフォームから直接ご連絡されて!?
そうです(笑)。
―― ちゃんと佐藤取締役も、返信して場を設けてくれたんですね。
ダメもとでしたが、会ってくれましたね。

驚く我々を笑顔でみる大久保ディレクターーJournal-ONE撮影
―― いま、千葉ジェッツユースではどんな活動方針をお持ちなのでしょうか。
U12からU18までは選手たちは、部活動など他のチームとの掛け持ちをしないで、千葉ジェッツユースの活動に専念してやってもらっています。我々としては、選手育成のメソッドを作って「育成と言えば千葉ジェッツ」と言われるように熱を入れてやっているところです。
ユースの活動理念としては「RISE」(ライズ)を掲げています。チーム名のジェット機になぞらえて、子どもたちが右肩上がりで育っていけるようにという思いを込めています。頭文字のRは「リスペクト」(=尊敬)、Iは「インデペンデンス」(=主体性)、Sは「スペシャル(=個性)」、Eが「エナジー」という意味付けをして、共通言語としています。
―― RISEからは、ひとりの人間としてもしっかりと育ってほしいという思いも感じます。
人間性を育てることを特に重視しています。企業様の協力をいただいてライフスキルを向上させる研修も毎月やっています。ファン・ブースターの皆さんから応援される選手になってほしいと考えています。
また、各カテゴリーで選手を迎えるときはトライアウトを行いますますが、選考では目の前に壁があったときに壊そうとできる選手であるかどうか。これも、コートでの振る舞いや面談などを通してしっかりと見極めるようにもしています。
―― 選手はユース活動に専念していますが、皆さん全日制の高校に通われているのですか。

ユースの方針を分かりやすく説明してくれる大久保ディレクターーJournal-ONE撮影
全日制がほとんどですが、通信制に通う子も増えています。関谷もその一人です。Bリーグではユース育成特別枠選手として高校生でもトップチームの公式戦に出場できる制度があります。ただ、そのチームの練習は昼間ですから、授業を休ませるわけにいきませんので、今後は通信制に通う子も増えるかもしれません。千葉ジェッツもユース育成特別枠として試合に選手登録する場合は、チーム練習に少なくとも1週間は参加して、戦術も覚えてもらいます。

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[写真]=Nobuhiro Fukami