交流戦初戦を対照的な結果で終えて
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第7節。静岡県掛川市にあるいこいの広場野球場で行われた “NECプラットフォームズレッドファルコンズ” と ”伊予銀行ヴェールズ” の一戦。
前日、投打が噛み合い快勝して波に乗る地元開催のNECに、わずか1安打で完封負けした伊予銀行と、対象的な交流戦初戦を終えた両チーム。試合後、併設するグラウンドで居残り特打を行う伊予銀行の石村 寛監督は、「選手たちも何とかしようと居残り練習を決めてやっている。明日は、早くから仕掛けて試合を動かす展開にしたい」と、悔しさを滲ませていた。
一方のNECは、満塁弾での劇的な “地元勝利” にファンや応援団は盛り上がっていたものの、この満塁弾は徹底した粘り強い攻撃のほんの一部。攻守に溝江 香澄監督、西山 麗コーチの戦略が浸透しつつあるチーム力は上位チームにも肉薄してきている。
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試合中に大塲投手と話す溝江香澄監督(NEC)-Journal-ONE撮影
低気圧の影響で、他のラウンドが早々に試合中止を決める中、時折見せる雨粒に試合進行を心配する声があがるこの試合。その雨雲をかき消すような熱い一戦が行われた。
何が何でも塁に出る
出塁への執念を燃やす伊予銀行打線は、2回表にNECの先発・横谷 瑞希投手を攻め込む。
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地元連勝を託され力投する横谷瑞希(NEC)-Journal-ONE撮影
先頭の4番・本間 紀帆選手が打ち損じた三塁前のゴロに全力疾走で内野安打とすると、「早くから仕掛ける」と宣言していた石村監督は、早くも代走に庄村 瑠衣選手を送って勝負に出る。
すると、松瀬 清夏選手のバント安打、安川 裕美選手のヘッドスライディングでもぎ取った内野安打で2死満塁と選手たちも “何が何でも塁に出る” 気迫を前面に出していく。
ここで打席に入ったルーキー・岩永 優衣里選手に対し、プレッシャーから横谷投手が頭部に死球。一瞬ヒヤッとする場面となるも元気に一塁に向かう岩永選手を見て、伊予銀行応援団から大きな歓声。泥臭い全員攻撃で伊予銀行が1点を先制した。
打線好調のNECも反撃
その裏、打線好調のNECも、伊予銀行の先発・庄司 奈々投手を攻め込む。
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落ち着いたマウンド捌きの庄司奈々(伊予銀行)-Journal-ONE撮影
先頭の元気印・木村 友奏選手が中前安打を放つと、犠打と四球で2死一、二塁と同点のチャンスをつかむ。ここで打順は1番に戻って諏訪 いろは選手が打席に。
庄司投手の変化球に対応した諏訪選手は、三遊間を真っ二つに破る左前安打!三塁コーチャー・溝江監督の右腕がぐるぐる回り、木村選手がホームへと駆け抜けていく。
同点打かと思われたこの打球に素早くチャージしたレフト・齋藤 明日加選手が、勝利への執念を燃やすベテラン選手たちに刺激を受けたか、鋭いレーザービームを見せて本塁タッチアウト!今度は若手がチームのピンチを救った。
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柴田(NEC)の本塁突入を阻止する安川捕手(伊予銀行)-Journal-ONE撮影
流れに乗った伊予銀行
齋藤選手のビックプレーで流れをつかんだ伊予銀行は、3回表に “推しのソ” 辻井 美波選手が西地区トップタイとなる左中間へのソロ本塁打を放ってモメンタムを加速させていく。
この流れを断ち切るべく、NECは4回表から高橋 未来投手をマウンドに送って流れを変えようと試みるが、伊予銀行の勢いが勝る。
5回表、齋藤選手の安打と2つの四球から1死満塁のチャンスを作ると、打席には地元・静岡県(裾野市)出身の川口 茉菜選手が打席に入る。
「家族や友人がたくさん応援に来てくれていたので、何とか結果を出したいと必死で打った」と話した川口選手。厳しい内角攻めをするNECバッテリーの配球に負けじとフルスイングした打球は、執念でライト前に落ちる適時打!