予想通りの優勝決定戦に神宮が燃える
大学野球の聖地・神宮の杜で、大学日本一を決める決勝戦が行われた。
“第73回全日本大学野球選手権大会” は6日間の日程の最終日。ここまで、全国の大学野球連盟を代表した27チームが、 “東京ドーム” と “明治神宮野球場” を舞台に、ここまで26試合を消化。
27試合目の決勝戦に進んだのは、早稲田大学(東京六大学野球連盟)と青山学院大学(東都大学野球連盟)。共に戦前から優勝候補としてあげられていた強豪チームだ。
神宮球場で普段からリーグ戦を行う両チーム。応援席には試合前から多くの学生やOB、ファンが集い、特長ある応援合戦を繰り広げている。
大学野球選手権大会で5回の優勝を誇る早稲田大学と青山学院大学、6度目の栄冠をつかむのはどちらの大学か? 快晴の初夏の空の下、運命のプレーボールが主審から告げられて熱い戦いが始まった。
初回から激しい攻防
早稲田大学の先発は、4年生の鹿田 泰生(東京・早稲田実業高)投手。187cmという長身から、最速149Km/hの直球と多彩な変化球のコンビネーションが魅力の投手だ。
「春先のオープン戦での怪我から復活し、投げたくてウズウズしていたのではないか」と話した小宮山 悟監督の期待に応え、躍動感溢れる投球を披露した。
その鹿田投手を早速、青山学院大学のリードオフマン・藤原 夏暉(大阪桐蔭高)選手が中前安打で出塁すると、1死一塁で小田 康一郎(岐阜・中京高)がセンター頭上を襲う大飛球を放つ。
「センターオーバーで青山学院大学先制か?」と、スタンドが一瞬静まる中、この打球を尾瀬 雄大(東京・帝京高)選手が好捕。さらに2死一、二塁から、西川 史礁(京都・龍谷大平安高)選手がライトへ大きな打球を放つが、これも𠮷納 翼(愛知・東邦高)選手が好捕と、早稲田大学は外野手の2つのビックプレーで流れをたぐり寄せる。
一方の青山学院大学先発の中西 聖輝(智辯和歌山高)投手も最速152Km/hの直球を誇る本格派。高校3年時には夏の甲子園で21年ぶりの優勝を母校にもたらした実績十分の投手。
しかし、1回表の好守備で勢い着く早稲田大学打線。その裏2死から、3番・𠮷納選手、4番・印出 太一(愛知・中京大中京高)選手の連打と四球で2死満塁と、甲子園V投手を追い詰めるが、フルカウントまで粘る小澤 修平(群馬・健康福祉大高崎高)選手を一ゴロに仕留めて先制点を与えない。
隙の無い走塁で先制点をもぎ取る
初回のピンチを脱した鹿田投手、中西投手が本来の投球を取り戻し、投手戦の様相を呈してきた中盤に早稲田大学が “脚” で試合を動かしにかかる。
4回裏、先頭の小澤選手が四球で出塁すると、続く梅村 大和(早稲田実業高)に小宮山監督が命じた作戦は送りバント。俊足・梅村選手の絶妙なバントに処理を焦った渡部 海(智辯和歌山高)捕手が一塁へ悪送球。無死一、三塁と早稲田大学が小技でチャンスを作る。
ここで、暴投のボールが内野に戻ってきたところで、三塁まで到達していた小澤選手が本塁に突進!渡部捕手のバント処理でバックアップの居ない本塁へスライディング。無安打で早稲田大学が先制点を ”脚” でもぎ取った。