この日、3回を投げて1失点と、ワールドカップに向けて調整中の後藤投手だったが、ベンチで味方を鼓舞する元気いっぱいのパフォーマンスと、俊敏なフィールディングは健在。2回表に訪れた無死二、三塁のピンチではヒットエンドランの小飛球に素早く対応。滅多に見ることの出来ない 1 – 5 -4 の三重殺を完成させて詰めかけたファンを魅了した。
トヨタでも後藤投手をリードする切石捕手も存在感を見せた一人。強肩とインサイドワークに注目が集まる切石選手だが、昨年から進化を見せているのが長打力。
トヨタではクリンアップに座る切石選手だが、この試合の打順は9番と日本代表の “層の厚さ” が覗える打順。3回裏には決勝点となる豪快な2点本塁打を放ち、どこからでも得点を取れることをファンに見せ付けた。
同じトヨタ所属選手に目を向けると、キャプテンを務める1番・石川 恭子選手にも注目だ。昨シーズン西地区首位打者を獲得した打撃、堅実な守備もさることながら、宇津木監督が「好投手ばかりの国際大会では、いつも打って点を取ることは難しい。相手守備にプレッシャーを与える走塁は大事」と、捕手のハンブルを見逃さず3塁を陥れた石川選手の隙のない走塁を称えていた。
東京2020、昨年のアジア大会中国・杭州の金メダル獲得に貢献した日本代表の4番・内藤 実穂選手(ビックカメラ高崎ビークイーン)から、”不動の4番” の座を継承したトヨタの4番・下山 絵理選手も存在感を見せた。
昨シーズン、西地区本塁打王と打点王の二冠に輝いた勝負強い下山選手だが、この試合で2つの四球を選んでチャンスメーカーとしての役割を果たした。
スタッフとして試合をサポートしていた内藤選手は、「(自身がロンドン、リオと正式種目にならなかった経験から)オリンピックが決まっている状況での日本代表はモチベーションも上がる。ここからプレッシャーが大きくなると思いますが、次へ続く後輩たちに夢を繋いでいくためにも頑張って欲しい」とエールを送る。
日本代表の経験がリーグのレベルも上げる
トヨタ組以外で注目するのは、様々なチームから選ばれた選手たちだ。
JDリーグ東地区を前半戦首位で折り返した日立サンディーバからは、唐牛 彩名選手と坂本 美桜投手が選ばれている。
日米対抗ソフトボール2023で代表に選ばれた唐牛選手は、広い守備範囲と器用な打撃で2番打者として結果を出し、この試合も2番・中堅でスタメン出場を果たした。
シュアな打撃と積極果敢な走塁で2塁打を放った唐牛選手は、セカンドベース上で返球を待つ同僚の杉本 梨緖選手の足元へヘッドスライディング。返球を受けた杉本選手が ”強めのタッチ” でヒットを称えるという親善試合ならではの光景も見せてくれた。
投手陣での注目は、タカギ北九州ウォーターウェーブから初の代表選出となった左腕・鹿野 愛音投手と、シオノギレインボーストークス兵庫の三輪 さくら投手だ。