昨シーズン、ラグビーW杯2023で負傷し全休となった南アフリカ代表のMalcolm Marx(マルコム・マークス)選手が開幕からボムスコッドとして機能したS東京ベイ。第1列の紙森陽太選手、ヘル選手と共にチームにモメンタムをもたらして強豪・トヨタVに競り勝ったのだ。
激しいプレーが多い現代のラグビーは、途中で交代するリザーブの選手が大事な役割を果たす。特にFWを中心に体力の消耗が激しく、試合終了までパフォーマンスを維持することが難しくなっているため、ボムスコッドの投入が試合の雌雄を決するといっても過言ではない。この日も、両チームのボムスコッドに注目が集まる試合展開となった。
埼玉WKが攻勢で開幕戦と真逆の展開
ファンの名を“オレンジアーミー”と称するS東京ベイの鮮やかなオレンジ色のジャージーと、埼玉WKのPanasonicブルーのジャージーのコントラストが映える熊谷スポーツ文化公園ラグビー場の芝生の上では、激しいボールの奪い合いで始まった。
先ずは2分、ハーフウェイ付近の攻防から初めてのスクラムを組んだ埼玉WKが、センター(CTB)Damian de Allende(ダミアン・デアレンテ)選手の突破で陣地を進めるも、タックルされたプレーヤーがボールを離さずにグラウンドに倒れた場合に発生する反則(ノットリリースザボール)で攻撃の芽を摘まれる。
今度は3分、埼玉WK陣内10mからのラインアウトでS東京ベイのロック(LO)Merwe Olivier(メルヴェ・オリヴィエ)選手が突破を図るも、埼玉WKの日本代表FL(フランカー)Ben Gunter(ベン・ガンター)のタックルで反則を奪う。
互いに得意とするスクラムだが上手く噛み合わない展開が続いた9分、S東京ベイ陣22mラインからパスを繋いで右ゴールラインまで攻め込んだ埼玉WKはペナルティを奪うとショットを選択。これをSO(スタンドオフ)山沢京平選手が決めて3-0とリード。S東京ベイも12分、埼玉WK陣内10mのスクラムからWTB(ウイング)のHalatoa Vailea(ハラトア・ヴァイレア)選手、No8のマキシ選手の突進でタックルした選手が倒れたまま相手選手のボールを出そうとする行為を妨害する反則(ノットロールアウェイ)を得る。これをSOのフォーリー選手が決めて3-3の同点と譲らない。
すると15分、埼玉WKインパクトプレーヤー陣のLO・Esei Haangana(エセイ・ハアンガナ)選手、ガンター選手、No8・Jack Cornelsen(ジャック・コーネルセン)選手の突破から起点を作りフェーズを重ねるが、S東京ベイディフェンスが厚くS東京ベイ陣22mから先に進めない。突然降り出した雨に一気に冷え込む中、遂にノットロールアウェイで得たキックを再び山沢京平選手が決めて6-3とリードを広げた。
21分、自陣22mラインからボールを支配したS東京ベイが埼玉WK陣内に少しずつ侵略し始めるも、ディフェンスの穴を突いて一気に陣地を攻め返した埼玉WK。26分にS東京ベイ陣5mのラインアウトとトライチャンスを得る。
S東京ベイのゴールライン付近で攻防が続く中、プロップ(PR)海士広大選手を10分間の一時退場(シンビン)で欠くS東京ベイに対し、29分に三度目となるラインアウトからボールを得た埼玉WK。パスでディフェンスを切り崩すと、山沢京平選手からフォローに入ったCTBのDylan Riley(ディラン・ライリー)選手にラストパスが通りゴールポスト左側へトライ。山沢京平選手が3本目のPGを決め13-3とリードを広げた。
キックで陣地を獲得しようとするS東京ベイだが、そのボールをWTB・竹山晃暉選手がS東京陣内深くに蹴り返して再び敵陣深くに入り込む埼玉WK。すると38分、S東京ベイゴール5mのラインアウトからモールを作った埼玉WKの出したパスに、S東京ベイFLのTyler Paul(タイラー・ポール)選手が接触。これがパスを妨害したとみなされて(結果、シンビン)認定トライ。PGも決まって20-3と埼玉WKが大きくリードを奪って前半を終えた。