やはり、プロ野球選手だけにデカい。誰だか知らないけれど、これだけで少し得した気分になる。よく見ると、チケットの列に並ばず、選手たちの入り待ちをしている人々の姿も。2軍は選手とファンの距離感が1軍とは違うようだ。
チケットを購入し、スタジアム内へ入場するとスタンドは内野席のみで、芝生の外野スタンドには観客は入れない模様。一塁側の外野スタンドに見える満開の桜がこれ見よがしでもなく、さりとて控え目でもないのが何とも憎い。やはり日本の春は桜花である。

横須賀スタジアム、開門前のチケット売り場の列∸平床大輔撮影
座席は言うまでもなくガラガラなので、取り敢えず、1軍の試合では買えないネット裏のシートに着席。日が中天に差し掛かると、まさに春うららなポカポカ陽気となり、ウィンドブレーカーを脱ぎ、Tシャツに綿のカーディガンという出立ちに。
改めてフィールドを見渡すと、視界の大半は青空でなんとも開放的。今やシカゴ・カブスのエースとなった今永昇太も、若かりし頃はこの場で汗を流したのかと思うと、それなりの感慨は込み上げてくる(実は私、故あって野球で一番好きなチームはシカゴ・カブスなのです)。
左翼スタンドのさらにその先には、日産自動車の工場が見える。ちなみに、この日は生憎やっていなかったが、日によっては予約制で工場見学もできるようなので、野球観戦に自動車工場の見学を絡めるという、なんとも大人な休日プランを実現することも可能である。気になる方は、ウェブサイトを見てください。
青空の下、『しうまい弁当』を食べ、ビールを飲む
フィールド内では、ちょうどベイスターズの選手たちが打撃練習を終えたところらしく、選手自らトンボでフィールドを均していた。プロ野球というよりは、部活っぽい風景であり、この辺も2軍ならではであろう。
少し時間をおいて、日ハムの選手たちが手早く守備練習を終わらせると、その後、ベイスターズが守備練習を開始。当然のことながら、みな上手い。これでNPBの2軍なのだから、世界は広い。
それにしても、この練習だけでもみどころ満載で、見ていて飽きない。ノッカーが様々な打球を打ち分けているところを見ているだけ楽しい。これはサッカーでもそうだし、ゴルフなんかもそうだが、試合前の練習はプロスポーツ観戦の醍醐味の1つだと思う。プロのアスリートが基礎ルーティンをビシッとこなす姿は、美しいものである。
守備練習が終わると、バックスクリーンの時計は12時半を指し、見るべきものも見当たらなくなったので、ランチタイム。ここへ来る道中、横浜駅で買い求めた崎陽軒の”しうまい弁当”を取り出しつつ、売店でゲットした生ビールのコップを傾ける。
平日の昼間、青空の下、港町にあるボールパークで生ビールを飲みつつ、しうまい弁当。うーむ、至福である。やはりスポーツ観戦は電車移動に限る。
ちなみに、売店はスタジアムの外に1軒だけあり、入場後に何か買いに行く場合、チケットの半券を持って出ないと再入場できないので要注意だ。値段は生ビール(中ジョッキほどの大きさ)が500円、レモンサワーとハイボールが400円と、至って良心的。

スタジアムに唯一ある売店-平床大輔撮影
いよいよプレーボール
青空のもと、至福のランチを終えると、ほぼ定刻通りにプレーボール。2軍の試合は1軍と違って鳴り物がないので、乾いた打球音が耳に心地良い。ボールパークでベースボールを見ている、と言う感じがする。そうかと思うと、ダグアウトの掛け声が、そこいらのおっさんの草野球とさして変わらず、その辺の対比も面白い。
ベイスターズの掛け声担当は誰だか知らないが、任されるだけあって味のある良い声をしている。ただ、アメ横あたりの商店のおっさんの声にも似ており、意識は自然と「ボールパーク」から「野球場」へと切り替わる。
スタンドもガラガラとはいえ、流石に試合が始まってしばらくすると、ネット裏の良い席は4割方埋まってくる。繰り返しになるが、火曜の昼間である。明らかに隠居の域に達している年配の方々も居なくはないが、大半は現役世代だ。
自分のことを棚に上げてなんだが、仕事、大丈夫なのでしょうか。まあ、見方を変えれば、日本もそれなりに良い国になっているということなのかもしれない。
ベイスターズ先発の小園という投手は、最速145キロほどのフォーシームの制球が良く、見ていて小気味良い。スタンドのノイズが少ないので、投じる際の「よいしょ」の掛け声もはっきりと聞こえる。
アンパイアは球審と塁審2人の3人のみ。そのうちの1人は2塁と3塁の塁審を担当しており、それなりの運動量を要求される。状況に応じて色々な動きを見せるので、テレビ観戦とはまた別の角度から野球が見られて興味深い。なるほど、とうなずかされるのである。
