選手ひとりひとりが課題に向き合う
「若いうちから練習でスタミナを付けておいた方が良いと、先輩たちからアドバイスを受けて取り組んでいます」と話すのは、チーム最年少の57Kg級 江口 凜選手です。玉のような汗をタオルで拭いながら笑顔で話す江口選手は、Journal-ONE編集部が指導を受けた講道館の指導員・有川 勇貴六段に小さい頃から指導を受けている “姉弟子” なのです!
8分間動き続ける江口選手に、「最後までやり切るよ!」と中村アドバイザーからも激励の声が飛びます。実際の試合では、どちらかの選手が先に有効以上のポイントを勝ち越すまで続く延長戦 “ゴールデンスコア” が採用されています。実力が拮抗する主要大会の試合では、ゴールデンスコアで8分近く戦う場面もしばしば見られるため、こういった体力と集中力を養う練習も大事なのですね。
男性コーチを相手に、何度も懐に入って技を掛け続けているのは78Kg超級の冨田 若春(わかば)選手です。組み手から相手をどう崩していくのかについて、何度も話し合いながら乱取りを行っています。徐々に息づかいが荒くなり、「よぉし!」と大きな声も出てきました。
インターバルの時間に松岡総監督と技の出し方について話し合っているのは、コマツ女子柔道部の主将でパリ五輪63kg級の日本代表選手である髙市 未来選手。また、柔道場の壁沿いで何度も打ち込みをしているのは、昨年の講道館杯全日本体重別選手権で銀メダルを獲得した副主将で78kg級の泉 真生選手と70kg級の西願寺 里保選手です。各階級の実力派選手たちが集うコマツ女子柔道部の練習は、どちらを向いても見応え充分です。
約2時間の練習はあっという間に終わりましたが、コマツ女子柔道部の選手たちが高い意識を持って自分自身を磨いている姿に、実業団チームの存在が日本の競技柔道のレベルを高め、世界で活躍する選手を多く輩出する原動力になっていることが良く分かる取材となりました。
逸材が集まるコマツ女子柔道部
女子柔道78kg超級で、昨年秋に行われた “第19回アジア競技大会(中国・杭州)” や世界選手権、グランドスラムなど、主要国際大会で数々のメダルを獲得している冨田 若春選手もコマツ柔道部で汗を流す選手のひとりです。
「母がソフトボールをやっていて、私も何かスポーツをやろうと思っていました。そんなとき、テレビで観た田村 亮子選手の世界選手権6連覇に “カッコいいなぁ” って思い、柔道を始めたんです(笑)。母と同じ高校(埼玉栄高校)に進学し、コマツ女子柔道部に進んで柔道を続けていることを家族も喜んで応援してくれています」と、素敵な笑顔で話し始めた冨田 若葉選手。
大きな選手がその体躯を活かし、どっしり構えての試合運びを見せる78Kg超級において、冨田選手は身長166cmと小柄な印象。しかし、この日の練習で見せていたスピード感ある足さばき、矢継ぎ早に仕掛ける技の数々は最重量級には珍しいプレースタイルです。
「まさに私の持ち味は、自分より大きな選手にも怯まずに技を掛け続けて、試合を動かしていくところなんです!」と元気に受け答えしてくれる冨田選手は、その実力が出るのは会社の皆さんのおかげだと話します。