この素晴らしい道場を、世界各国の選手たちにも解放していることにJournal-ONE編集部が感心していると、「柔道の創設者・嘉納治五郎師範の教えである “自他共栄” の言葉にあるように、互いに助け合って高め合っているのです。私たちが欧州に遠征する際には、彼らの道場で練習をさせてもらうのですよ」と、中村さん。
柔道の聖地・講道館で第5代館長の上村 春樹さんに教えていただいた嘉納師範の “精力善用” “自他共栄” の教えは、日本の実業団チームはもちろん、世界各国のクラブチームでも当たり前のように実践されているのですね。
「私たちの颯志道場は、海外のクラブチームに負けずとも劣らない素晴らしい施設です。海外はクラブチームの活動が盛んで、その施設も本当に素晴らしいのです。フランスの “パリ・サン=ジェルマン” はサッカーチームが知られていますが、実は柔道チームもあるのですよ。(男子100kg級で3度のオリンピック金メダリストである)テディ・リネール(Teddy Riner)も所属する人気ビッククラブです。そういったビッグクラブと比肩できる程の施設を用意していただける会社の協力には本当に感謝しています」と、続ける中村さん。欧州の柔道人気の凄さを知ると共に、素晴らしい選手たちが所属する日本の実業団チームの試合ももっと盛り上がれば良いのに・・・と思うJournal-ONE編集部です。
練習の熱気は暖房要らず!?
この日は、今春から入社する込山(こみやま) 未菜選手、米川 明穂選手も加わり、音楽に合わせたランニングで身体を温めていきます。リラックスした雰囲気でストレッチを終えると、一気にギアが上がってきました。
二人の選手を畳の中央に残し、残った部員と男子コーチたちが横一列に並びます。「どういった練習が始まるのかな?」と興味津々で見守っていると、突然、列の一人が前に出て組み合いました! 一人を投げたと思うと、次の選手が列から前に出て・・・ どんどん技を掛け続けています! 息が荒くなってきますが、次から次へと選手が出てきて組み合うこと何と12セット! 良く観察していると、掛ける技全てが違っていました。全ての技を掛けてウォーミングアップする練習だったのですね。
続いては、道場全体に均等に散らばった選手たちが開始ブザーと共に一斉に乱取りを始めました。階級の違う選手と組んだり、男子コーチと組んだりとそれぞれが課題を持った乱取りをしているようです。試合時間である4分間の中で、何度も同じ技や組手を試し、相手と会話をしながら丁寧に課題に向き合っているのです。
総監督の松岡 義之八段が、乱取りをしている選手たちにアドバイスを送ります。「(相手の)顔を見て! 前のめりにならないように組んで。そうそう!」など、松岡監督が一人一人に違ったアドバイスを送ります。何組もの選手たちが一斉に乱取りをする中で、幾つ目が付いているのか? と不思議に思ってしまうほど、選手ひとりひとりに違ったアドバイスをしています。
4分後に終了ブザーが鳴ると、選手が入れ替わって次の乱取りが始まるのですが、連続して乱取りに臨む選手もいます。柔道の聖地・講道館で行われた ”朝稽古(初心者体験コース)” に参加したJournal-ONE編集部は、1分動き続けても息が上がってしまいました。それを4分間フルに動き、続け更に4分間続けるなどとても常人では考えられないスタミナです。選手たちの熱気にまだ冬の冷たい空気に包まれた柔道場が暖かくなっていきました。